2013年9月30日月曜日

9/20 - 9/23/2013 Steve Kimock @ Fur Peace Ranch




今朝FPRにいる夢を見てとても気持ちよく目覚めた。
「そろそろ書いたら?」みたいな感じだったので、書こうかなとおもった。 


実は今回で4回目のFPR。
1回目は2010年の11月 with Steve Kimock。単純に寒かった。凍えながら外で2時過ぎまで師匠とだべっていたのを覚えている。
2回目は2012年の9月 with Steve Kimock。このときは妻、友達とともに行った。いい思い出にはなったが、正直三人連れで行くようなものではないと思った。苦笑
3回目は今年の5月 with David Lindley。もー Mr. Daveは本当にいい人。
4回目の今回。またしてもwith Steve。
Kimock からレクチャーを受けるのは実はこれで5回目になると思う。そのわりに全然ギターが上達しないのは僕がとてつもなくレイジーな証拠だろう。
2012年の1月にSweetwaterでWorkshopがあったし、さかのぼる事2008年の3月にもEurekaでのWorkshopにも出た覚えがある。
あと、これまたさかのぼる事2005年のHighsierraでも確かWorkshopがあったはずだが、これは寝坊して聞き逃した気がする。

FPRでのワークショップでしぼって言うと、3回も出ていると大体内容がかぶる部分があって、それはおそらくとてつもなく重要な事だと思うのでカヴァーするようにしている。
曰く
スケール練習
Finger Independence practice
1, 4, 5, のコード練習
これについてはどのワークショップでも口を酸っぱくして言っている。


またその基本のルーティンをベースにして毎回色々な細かでかつ興味深いトピックが出てくる。
今回は事前に「僕ラップスティール持っていくからね」とメールしておいたからか、懇切丁寧に練習法やらどういう風にこの楽器をとらえるべきか、というような事を語ってくれた。

基本的に彼のレクチャーは、具体的に曲をマスターさせるタイプのワークショップではなく、ギターというチューニングが一定でない楽器をどのようにとらえるか。
どうしたらその不安定な楽器でいい音を出せるかという理論でまずガツンとやる。
とりたてて用意したクラスという感じではなく、ふと口に出したトピックで次から次へつながっていくタイプのレクチャーで、ここまで4日間話してもタネがつきないというところが凄い。

もっとここで色々理論を紹介できたらいいのだけれど、僕も正直今現在消化中な上、当たり前な話全て英語なのでそれを慣れない日本の音楽用語に置き換えながらというのはレイジーな自分には無理です。笑 すみません。

毎回クラスごとに性格があって面白いなと思うのだけれど、今回はたったの8人という超少人数のクラス。
大体10人集まると一人はスティーブが話している時でもでかい音でギターを弾いたりするような問題児がいるものだけれど、今回のクラスはそういう意味ではいやな奴がいなくてとてもいいクラスだった。
面白いなと思ったのは、マニアックな人が多かった事。
機材にお金がかかっている金持ちが多かった。
Scott Walkerや、ArtingerのギターにRed Plate ampを持ってきていたり、Santa Cruz Guitar Companyのなんて初めて弾かせてもらってあまりの音のよさに感動した。
まぁ確かにtuitionも割高だし、そこで経済的にきつい人たちははじかれちゃうのはわかるけど、ここまでお金持ちなクラスには結構びっくりした。
いつものことだが、このクラスじゃ僕が多分一番年下だっただろう。
つまり歳をある程度とって、経済的にも十分余裕があって余暇にギターを追求しているような人たちが非常に多い。
ロックスターが乗ってツアーするようなでっかいRVでのりこんで来たえぐい人もいた。

今回は珍しいことに僕より若いデッドヘッド/ジャムバンドファンがJack Cassadyのクラスに2人いたので、3日目のstudent performanceの時に一緒にMorning Dewを演った。
Jorma, Jack, Steveというそうそうたるロックスターの前でのパフォーマンスは多分ガチガチになるんだろうなと思っていたが、案外気持ちよく楽しめた。
その後、恒例のクラス全員がステージに上がる。前の晩にさんざん盛り上がったAfro beatでジャムった。

2日目のAcoustic Hot Tuna with Steve Kimockも素晴らしかった。


First Set:
1. True Religion
2. Children Of Zion
3. Second Chances
4. Hesitation Blues
5. I See The Light
6. Mama Let Me Lay It On You with Steve Kimock
7. 10 Minutes of Steve… his wizardry
8. Barbeque King with Steve Kimock
9. Nobody Knows You When You’re Down And Out with Steve Kimock
10. Keep Your Lamps Trimmed And Burning with Steve Kimock
Second Set:
1. I See The Light
2. Candy Man
3. Things That Might Have Been
4. 99 Year Blues
5. I Am The Light Of This World
6. Ten Minutes of Steve with more musical Magic
7. Come Back Baby with Steve Kimock
8. Trouble In Mind with Steve Kimock
9. Good Shepherd with Steve Kimock
10. How Long Blues with Steve Kimock
11. Nine Pound Hammer with Steve Kimock
12. Encore: Uncle Sam Blues with Steve Kimock
このセットリストはJormaのブログからだけど、面白いのは1st set, 2nd setともに10minutes of SteveというSteveのソロスロットが入っていた事。

俺は絶対10分以上弾くのだ。

多分Steve、10分以上弾いていたと思うけど。
1st setはインド風な無国籍なインスト、2nd setは多少アメリカーナっぽいでもインド風なインスト。
この人のインストは本当に国境を越えて、ぶっ飛んで宇宙が見えるくらいの感じになる。なので面白い。エクストリーム。


ハッピーキャット、Ms. Kitty。




めでたしめでたし。


2013年9月12日木曜日

Bill Evens Soulgrass w/ Steve Kimock 09/06/2013 @ Yoshi's Oakland, 09/07/2013 @ Sweetwater, 09/09/2013 @ Kuumbwa Jazz Center




最終日最後のショーが終わって外に出るとキモックがタバコを吸っていた。
「完璧に正確なピッチ、最高だったよ」というとマジな笑顔が返ってきた。
僕は最終日スティーブのアンプから20センチのところでがっつきマジで彼の音だけを聞いていた。彼もそれを知っていた。

5月にDavid Lindleyのクラスに行って以来、ピッチマニアになった。腕のいいミュージシャンはいっぱいいるけど、正確なピッチを出せるミュージシャンはほとんどいない。
「ユー達が僕の周りを囲んでくれていたのは、本当に助けになったよ」とスティーブ。

6日間のラン。
Southern CAのSan Diego, Hermosa Beachが1日目、2日目。で中盤がベイエリア。Oakland, Mill Valley。5日目にオレゴンにほど近いArcataまで行って10時間近くドライブで6日目のSanta Cruz。
誰が計画したのか、むちゃくちゃなツアー。
その距離を日本で例えてみれば、沖縄で二日ショーをして、3日目4日目に東京、5日目に北海道まで行って、最終日に名古屋ってな感じ。


最終日のセカンドステージ、彼はステージでコーヒーを飲んでいた。おかわりを持っていくとそれも全部飲んだ。
「食べる?」とオファーしたケーキも彼はあっという間にたいらげた。スティーブは疲れていたと思う。
でも彼のピッチに全く狂いはなかった。すさまじい。笑


それにしても、なんてすごいランだったか。
凄腕のミュージシャンがステージ上に集まってプレイすると雷が落ちたみたいになる。
文字通り超ラウド。
あちこちで火花がちるような演奏で、見ているだけでとても熱い。トゥーマッチと思う瞬間もあったくらい。
あんなに音数の多いショーは本当に久しぶりだ。


このバンド編成でキモックを見るのは初めて。
というよりもBill Evansというと、かの有名なピアニストの方が先にきてしまう。
今回のBillはサックスの方。
しかもピアニストの方もこちらのサックスの方も二人とも時代こそ違えどMiles Davis Groupの一員だったという過去の経歴があったりしてややこしい。
そういえばMitch Steinも二人いる。
結構こういうのがあるのは、ファーストネームのヴァライエティーが案外限られているからかもしれない。

ところで、いつもRandy Craig's Trip、カフェトリエステで会う友達のアートも来ていた。
彼は今は録音しているかわからないが、テーパーの彼とインターミッションの時におしゃべりしてたんだけど、「Billはどちらかというと…」といってiPhoneのメモ帳を開いて。
何が書いてあったか。

「Kenny G」

爆笑。


学究ジャズ(スムースジャズともいいます)。
元々ジャズミュージシャンはブルーズやロックミュージシャンと同じように、ものすごい人生を送っている人が多かったと思うんだけど、体系として学問になってしまって。それ以来あんまり面白くなくなってしまっている。
そういうミュージシャンはちゃんと弾ける。そうちゃんと仕事ができる。
でもそういう人たちだけが集まってショーをすると芸達者な人たちだけの学芸会みたいになる。聞いていて怖くない。スムーズだから。
そういう意味でこのランはロックではなかった。セックスドラッグロックンロール、ではない。

よって会場もジャズセンターだったり、ヨシズだったりする。フィルモア、グレートアメリカン、とかじゃない。
しかもいつものように1st set, intermission, 2nd setという形式じゃなくて、early showとlate showで客の入れ替えがある。
Cornyで、しかもお高い。
そのせいかどうなのか、いつもキモック関連のショーで見かけるクレイジーなヒッピーなファン達はこぞって出社拒否な感じだった。
三つのベイエリアショーを制覇したのはケムとうちらくらいだと思う。

そういえば最近のファン事情も結構面白い。
SKBからのコアなファン達を最近見かけない。
いつもキモック関連のショーでは最前列にいたスティーブ(やっやこしいでしょ?)は去年の夏のLake Tahoeのショー後
「もうKimockはどこへも連れて行ってくれなくなった」。それ以来彼は最前列から消えた。
いつもステージ上にクリスタルを置いて、写真をとっていたジャニスも今回は見かけなかった。

ショーでキモックの音のスペースが、おそらく以前と比べると最近はかなり減ってきているのは確かだと思う。
Talking Headsのカヴァーに飽きたファンも多いはずだ。
彼自身も「Electric Guitar Flagを最近は振らないことが多いよな」とインタビューで言っていたのを覚えている。

何が言いたいかというと、そんな理由で生キモックをあきらめるのは惜しいよなー。ということ。
コンサートの中でキモックがあまりソロ弾かなくても、後ろでリズムを弾いていたり、ハーモニクスをしていたり、それがいちいち「正しい」し「興味深い」。
なのでソロが多かろうが少なかろうが彼がそこにいてギターをいじっていさえすれば、それだけで結構。
その全然スムーズじゃない、むしろ日本の伝統芸能のような一挙一動に緊張感がほとばしるような音、それが聞けるだけで僕は幸せを感じる。


どんな曲だったか。
ジャズ、ファンク、ブルーグラスベースの曲にそれぞれのソロが入る感じ。うたものも結構レパートリーの中にあった。
メンバーはBill Evans: Sax, Josh Dion: Drums, Ryan Cavanaugh: Mandrin, Dave Anderson: Bassに、ゲストとしてRailroad EarthのTim Carboneがfiddle。Jeff Pevar: Guitar。彼はCrosby Stills & Nash、Rickie Lee Jonesなど。
それにKimock。

僕が聞けたのはYoshi'sのearly show, late show, Sweetwater, Kuumbwa jazz centerのearly show, late show。
おそらく一番よかったのは、最終日のKuumbwa。陣取った位置もキモックの真下。アンプの真横30センチ。
ラッキーすぎた。

Kimockの機材はアンプはYoshi'sとSweetwaterではTwo Rocks。KuumbwaではFender Twin。
ギターはPhil and FriendsのCD"Love Will See You Through"に映っているCripe。それとScott WalkerフレットレスPhoenix。あとラップスティール。
ペダルはワウ、ミュートロン、ボスのリヴァーブ。あとあのホーンの音になるGDPペダル。
ワウは主にラップスティールと一緒。
いつもと比べ今回は超簡素な音作り。
誰かがソロを弾いている時は、ハーモニクス多用。


一日目のYoshi's Oakland。高い!! でもセカンドショーはよかった。

Jeffさん。スティーブとは全然違うタイプ。引き出しが多い。色々な音を間違いなく出せるとても器用なギタリストだなーという印象。ただ、アクションがいつも付いてくる。



2日目のSweetwaterにて。このマンドリンの人が凄かった。マンドリンの音というと、糸車がカタカタ回るような粗末なイメージしかなかったのだけど(超粗末なイメージだけど:笑)、彼の音は糸車超高速大回転という感じで、音が洪水になってる感じは圧巻だった。