2013年2月17日日曜日

02/16/2013 David Lindley @ The Kanbar Center for the Performing Arts, San Rafael

何度目になるかDavid Lindley。この春も北カリフォルニアをツアーしてくれた。14日はChico, 15日はWest Sac, 16日はSan Rafael。家からサンフランシスコ湾をかけるリッチモンドブリッジを渡って、30分。最近のショーはマリンばっかりだ。 
思ったよりかなりデカい会場。天井も高いし、ジューイッシュ関係の建物らしく、なにかと金がかかっている気がする、気のせいか。 
あと、来ているオーディエンスも超コケイジャンばっかりで、白が99%占めている中、黄の自分がいる。 
建物のせいもあるんじゃないかと思う。デカくて明るいので、いやがおうにも人がわかってしまう。そのぶんじゃ薄暗く狭いSweetwaterのようなパブの方が居心地がいいのは、お互いがそれほどはっきり見えないからだと思う。 

ともあれ、1時間半のショー。 
5分で終わったかのように感じた。 
いつも通り釘づけで開いた口がふさがる前に終わってしまったという感じ。 

今回は実はいつもよりよりポップだったように思う。 
国の境がどこにあるかわからないような不国籍な音楽ではなく、客に合わせたのか結構普通なポップな感じの歌ものから、アパラチアンな感じのあくまでアメリカンな古いポップ。Warren Zevonのカバーが2曲入ったのには驚いた。あとお約束のエキセドリン中毒のコミックな歌。 
ただポップといってもさすがMr. Daveで普通の6弦のアコースティックギターは一度も今回は手にしなかった。とかく自然にその時に合わせた曲をピックした結果そうなっただけの事だろう、スコーンと突き抜けた天才職人。 

いつも通りステージに出てきた瞬間から面白いことを言って客を一気に味方につける。 
別に何か意味のある事を言うわけでもなんでもない、ステージに置きっぱなしにした靴下を見つけて、いかに自分の靴下がにおうかということを表情豊かに話したり。今回のMCは特に本当にしょーもない話題でいっぱいだった。昨夜ベイエリアで突如起こった隕石騒動のことやら、例の靴下、ギター改造して何が悪い?の話やら、近所のおっちゃんと話している感。MCで馬鹿こいている時は、単にビール腹の愉快なおじいちゃんだ。 

で楽器を手に取ると、一気に空気が変わる。特に歌が入らない7/8 Suiteなんかはピリッとした緊張感すら感じる。ちょっと気温が下がったように感じたくらいだ。 
楽しみにしていたBeneath the Vast Indifference of Heavenは、明るめのラップスティールバージョン。とても良かった。 

コンサート後にMr. Daveサイン会があって、自分は何も買っていないのだけれどギタリストだし、5月にFur Peace Ranchで彼のギターワークショップに参加予定なのでちょっと自己紹介がてらお話しした。 
Suproのエレクトリックラップスティールを持っていると言ったら、あのピックアップは最高だよねっていう話題。ワークショップに向けてはこういう準備をしてね、というようなことから、なかなか話がつきなかった。とてもユーモラスで感じがよく、話していることがとても分かりやすい。かれこれ15分から20分くらいは話してしまって、後ろもつかえていたことだし、また5月に会いましょうってことで別れた。 
やべーなーちょっと本腰入れてラップスティールに取り組まねば。 
ちょっと怖くなってきた。笑 

2013年2月16日土曜日

02/14/2013 Merl Saunders’ 79th Birthday Gala starring Keystone Revisited @ George’s Night Club


          2005年の9月14日。僕はBerkeleyのGreek Theaterにいた。 
一人旅でこっちに遊びに来た。目当てはJerry Garcia Tribute。没後10年をDead残党メンバーはもちろん、Jerryとゆかりのあったミュージシャン達と一緒に祝おうというイベント。
誰がいただろうか。思い出せるだろうか。
Bob Weir, Mickey Hart, Melvin Seals, Trey Anastasio, String Cheese、あたりがパッと思いついた面子だ。Philはいなかった。どうしていないのかと隣の人に聞いたら、なんだか自分の子供の学校の卒業式だとかなんだとかで、「なんだそれ」と思った。笑

で、一番ガツンと来たのがMelvin Seals。当時は名前も知らなかったのだが、Hammond B3でここまで持って行かれたのは初めてだったからだ。
Melvinのとなりにソファーをおいて座っていた大柄の黒人がいた。これが僕の最初で最後のMerl Saunders体験になった。彼は見るからにとても弱っていた。ふらふらとステージに出てきてドスンとソファーに座っているだけで演奏はしなかったが、Melvinのプレイを心底楽しんでいる様子だった。


おととしあたりにバークレーのいつも行く古書店にRainforest bandのDVDが格安で売っていたので買った。もうMerlが亡くなって久しく時間が経っていた。そのDVDにはMerlがオルガン、彼の息子Tonyがベース、でとても若いKimockがギターを弾いていた。


去年Jerry and Merlの4枚組ライブアルバム”Keystone Companions”がリリースされて、あまりのジューシーな音にやられた。Jerryのギターは水が滴るようだし、Merlのオルガンは曲によっては悪意を感じられるくらいファンキーでかっこよかった。とにかくぶっ飛んだ。毎日聞いていても全然飽きない。


そんな時にKeystone RevisitedというTonyのバンドが近所でMerlのバースデーギグをやるという情報が飛び込んできて、飛びついた。
San RafaelにあるGeorge’sというパブ。
9時半に始まると書いてあって10時半に「遅刻したー」と思ってパブに着いたのだが、バンドはまだサウンドチェック中という状態だった。
客は音楽目当てというより、むしろ家族か知り合い、またはたまたまその場に居合わせた酒をのみに来たバーの客という感じで、Merlのシーンへの音楽的功績を思い返してみるとなんだか寂しい感じがした。
ギグが始まる前からステージの前に陣取っていたのは僕だけだった。

まぁそんなことはどうでもいい。
演奏が始まったら、そんなことはどうでもよくなった。
メンバーはドラマーにBill Vitt (Jerry/Merl, Sons of Champlin,) ギターがMichael Hinton(Mickey Hart, Rainforest Band, Barry the fish Melton,) ベースTony Saunders (Jerry/ Merl, Eric Clapton, Ringo Starr, David Crosby,) キーボードがSteve Abramson (Living Earth,) Mitch Stein。この5人が基本のメンバー。それにゲストとしてギタリストMark Karan (Rat dog,) Pat Wilder, Barry the fish Melton, フルートMindy Canterが出たり入ったりした。
Harder They Comeがオープニングで、ファンキーな線のしっかりしたTonyのベースを軸にギグが進んでいった。
このバンドは自分にとっては初めてのバンドで1時間くらいどこを見ていいのかわからない状態だった。ただただ踊っていた。オーディエンスもいつもの顔見知りのオーディエンスと違うので、アウェーでひとり楽しんでいるような感じ。

Pat Wilderがステージに上がってギターを弾き始めた瞬間に安心した。救われたと思った。
これだこれだ。
この安定感とかっこいいブルーズの疾走感が、一人アウェーチームだったことを忘れさせてくれた。
Patricia Wilder。はじめてみた黒人女性のブルースギタリスト。歌も歌う。こーれがものすごくシブい。

どの曲もわかりやすい曲なのだが、リズム感が抜群なのと、ギターのドライな音質がMichael Hintonのウェットで滴るような音(短絡的で申し訳ないが、Jerry的なと言ってしまおう)、このバランスがやっといい具合になった。
Mark Karanもよかったのだけど、同じバンドに「Jerry的な」ギタリストが二人いると、本当にステージが湿っぽくなる。なんか暗かったのだ。
そこに竹を割ったかのような音のPatが入ってきてパッといいバランスになった。本当にほっとした。

ショーの後にTonyにとてもよかった。Happy Birthday to your Dadと伝えた。
彼はとても嬉しそうで、「ずっといてくれてありがとう。また来いよな、来てくれるよな」とハグをくれた。

ベイエリアでミュージシャンとして生活するのは大変なんだなーと思った。
とにかくスターミュージシャンがいっぱいいて、バンド内に「この人」というスターで実力もある人がいないと、オーディエンスはついてこない。この日も近くでDavid Nelson BandやDr. Johnのギグがあったし、Dirty Dozen Brass Bandなんかも近々このエリアをツアーする。
僕みたいな音楽狂以外は、ギグに行くと言っても、週に一回、多くて二回が限度だろうと思う。だからどうしても今回のようなちょっと小柄なギグはスキップされることが多くなる。しかもウィークデイだし。
大変だなーと思う。ギグが始まる前から終わるまで、ステージ前に陣取って2時間近く踊っていた自分に「またきてくれよ」というのはTonyのとても率直な気持ちだったと思う。バンドにとって踊っている客というのはとてもありがたいものだしね。
誰の知り合いでもつてでもなく、純粋に彼らの音楽を聴きに来たオーディエンスは多分多めに数えて15人もいなかっただろうと思う。
もったいない話だが、それくらい競争が激しいエリアなんだなーと改めて感じた。 

2013年2月14日木曜日

02/12/2013 Dr. John @ Yoshi’s Oakland

余裕だった。
余裕で好き放題やっている。
「この人たちやる気ねーなー」というのが第一印象。あまりに力が入っていない。
ぞろぞろバックバンドが出てきた。黒人のキーボード、ベーシスト、ベーシスト、ドラマー。そしてトロンボーンの白人のおんなの子。この子が音楽監督。Dr.は最初から最後まで好きなことを好きなスピードでするだけだ。

さてイントロダクション。テンポの速い曲と共にDr. Johnの登場。ゆっくり、あまりしっかりしていない足取りでベンチに座る。
客を真っ黒のサングラスから覗いている。
Iko Ikoだ。クラベのリズムが響く。大好きな曲だがまだピンとこない。
数曲進む。まだピンとこない。なぜだろう。
あたりを見回す。自分より10~15くらい上のちゃんとした服を着たおっさん、おばさん、が多い。
自分もその中で座っている。
居心地が悪い。

どのアスペクトから見てもとても安全な場所にいるやつら、椅子に座って高価なYoshi’sの寿司を食いAsahiビールを飲みながら、ステージに南部アクセントでヤイヤイと叫んでいる。むかむかして、心地がこの上なく悪い。ここじゃだめだと思って、席を立った。

Yoshi’sは基本的に席付のハコ。いい席は全部予約席。このシステムも長時間並んで入った自分はとても屈辱的に感じたんだけど、通路は結構広めにとってあるので後ろの人らに迷惑にならずに立つスペースはある。
みんな座っているなか立っているのは自分だけだったが、仕方あるまい。
せっかく立っているので、身体を動かしてみた。

そしたらわかった。

踊らなきゃわからなかった。
周りを気にせず身体を揺らし続けた。どんどん激しく。
ピアノが跳ねている。ギターがそれを引き裂く。オルガンが空気を揺らす。ドラムが内臓を叩く。トロンボーンが包み込む。そしてあのDr. Johnの声だ。
気持ちがよすぎる。
気がついたら自分の周りに20人近くがピンクのウィッグをつけた人、ビーズを首にかけている人たちが一心不乱に踊っていた。
やっぱこうじゃなきゃ。
今夜はMardi Grasだ。お祭り騒ぎしなきゃ嘘だ。




あとはもうすべてどうにでもなれで、ショーが終わるまで踊り続けた。
やっぱ身体に来ないといかん。
Zigabooの時と同じだった。
踊り続けてあっという間に終わった。
理屈はいらない。言葉もいらない。
身体で音楽を感じられた90分だった。

んー彼らはやる気がないのではなかった。
まず、がっちがちの本気でステージやっていては、それがオーディエンスに伝わってしまう。それじゃ踊れない。
それにみんなとても上手なので本気になる必要もないのだ。まるでまばたきをするような自然な感じでスラップベースをやる。朝めし前なので、本気になる必要がないだけなのだ。それが限りなく「てきとう」に見えただけだった。

恐れ入れました。
ひれふしました。 

2013年2月10日日曜日

02/09/2013 Zigaboo Modeliste @ Sweet Water







Zigabooのショーが近くであるときは必ず行く。なぜならとても気持ちいいからだ、身体が。 
言ってしまえば中毒的なファンクリズムにかっこいいメロディーが乗っかっているだけで、トリックなしのがっぷり四つで迫ってくる。 
偶然となりにいたおんなのこと口をきいたのだが、「Dead関係のショーは全く耐えられない」と言っていた。なるほど。確かにDead関係のショーで見かけるようなオーディエンスは一人としていない。自分だけだ。みんななんかこぎれいでこじゃれている。ファンシーなクラウドと言ってもいい。 
前回はそれが鼻について、いやだなーとおもったのだけれど。 
今回は最前列で3時間半ねばったので、そんな酔っ払いやらへんなノリの客は自分の後ろにいたわけで、全くどこ吹く風で気分よく楽しめた。 

今回はFurthurのコーラスSunshine Garciaがゲストとして参加して、”Not Fade Away”をうたった。”Hey Poky Way”もうたったかな…忘れた。(あと一人Chrisという人がラップを聞かせてくれたが、彼もすごく良かった。) 


 
今回のショーはこのギタリスト(名前はまたしても失念…)の前に陣取って聞いていたせいか、Chris Rossbachがとても控えめに感じた。Chrisもうちょっと出てもいいと思うんだけどなー。3割くらいしかソロ弾かなかったね。確かに派手さはないんだけど、 腕はもう一人のギタリストより確実だ。まぁ個人的な好みと言ってしまえばそれまでだけどね。二人のスタイルが違うのが、明らかでとても面白いっちゃおもしろいんだけど。 

あと今回はMardi Grasということで、明らかにニューオーリンズのお祭り騒ぎを意識していたんだと思う。キーボードがとてもガッツリと幅を取ってとっても気持ちがよかった。やっぱニューオリーンズの音楽と言えば、鍵盤楽器が来なきゃいけないと思う。 
実は今日もAllan TouissaintがYoshi’sでやるので行きたかったのだけど、チケがソールドアウト。残念。。 
でも来週のDr. Johnは絶対行く。ニューオーリーンズシリーズ第二弾だ。 

Funkify Your Life, Iko Iko, Funky Miracle, Sissy Stratなんかが異常によかった。 
やっぱクラベのリズムがここまでかっこよく叩けるのはZigabooだからだろう。Iko Iko, Hey Pokey Way, Not Fade Awayのリズム。ブラスバンドやデカい楽隊でこれをやられるとしびれる。しかしこれをたった一人のドラマーがやってとてつもなくかっこいいんだから、やっぱ国宝級。 

2013年2月9日土曜日

02/08/2013 Stu Allen & Mars Hotel @ Ashkenaz





10か月ぶりのMarsHotel。彼らはずっと去年の3月か4月から毎週水曜日にAshkenazでコンスタントにギグをしてきた,Grateful Deadカバーバンド。 
Grateful Deadカバーバンドは言うまでもなくベイエリアには星の数ほどある。ここらでミュージシャンが寄ると、一番誰でも知っている共通言語がGrateful Deadなのだ。 
色々なカバーバンドがある。Bob WeirやPhil Leshが現在やっているのが、Furthur。元メンバーがやっているという点では頂点に立つDeadカバーバンド。今はFurthurのおかげで活動休止中のBob Weir and Rat Dog, Phil Lesh and Friendsなんかも頂点カバーバンド。一緒にJerryとJerry Garcia BandでプレイしていたMelvin Seals and JGB(もしくは単にJGB)はJerryのソロ作品に焦点を置いてカバーをしている。また、特にGDオリジナルメンバーとのかかわりこそないものの、人気があるのはDark Star Orchestra, 
Zen Trickstars。FurthurのギタリストのJohnはもともとはDark star Orchestraの創設メンバー。Deadカバーバンドの親玉から、オリジナルメンバーとプレーできるようになったのだから、大出世。 
あと、DeadカバーばんどでRat DogやPhil and Friendsのメンバーのバンド.。二世たちのバンドとして、今回のStu Allen(元JGB) & Mars HotelとかMark Karan Band (Rat Dog)なんかがある。Rock CollectionというMark Karan, Robin Sylvester(Rat Dog)、Gregg Anton(Zero)、Lebo (ALO)というのもあるが、彼らはデッドカバーバンドというよりもジャムバンド。あと今Terrapin Cross RoadでPhilと彼の息子たちのバンドが結構頻繁にプレーしているけど、それもDeadカバーのはず。あと来週にKey Stone RevisitedというJerry Garcia & Marl Saundersが74年のKey Stoneのギグの時(去年CD化された)の残りメンバーがギグをやるのでそれもとても楽しみ。 
まぁ、なにはともあれ星の数ほどあるDeadカバーバンドの中、特にこのStu Allen & Mars Hotelはオリジナルはないと思う。Deadのカバーオンリーのハードコアデッドカバーバンドだろう。 


相変わらずStuの音は素晴らしかった。 
なにより10か月前と比べてオーディエンスの数が劇的に増えた。前は結構数えるほどだったのが今回はほぼフルハウス。 
金曜日で疲れていて、結局ファーストセットで帰らなければならなかったのが残念だったが、とても満足できた。 

02/04 05/2013 Jorma Kaukonen @ Sweet Water Music Hall

もう一年以上前になるか、伝説のフィルモアでのソロショー。アコースティックギターとJormaだけでこの世のものとは思えない世界を見せてくれた。そこにいたすべての人が僕と同じ感想を持ったかどうかは解らないが、PAシステムの調子から、その日の僕自身の体調まで色々な要素がいい感じに混ざり合っていたんだと思う。とにかくマジカルな音だった。今回のSweet Waterのような小さいハコではPAを通してでもかなり生音に近い感触で伝わってくる、それこそ細胞一つ一つにじんわりと音がしみ込んでくるような感じで。 

ステージにいるのはBarry MitterhoffとJorma Kaukonen。 
去年SFのCafé Du Nordでも同じメンツで見た。 
Barryは今回はマンドリン、バンジョー、テナーギター、ウクレレ、そしてといった具合に曲ごとに細かく楽器を持ちかえた。どの楽器を手にとってもそつがない、といっても色々David Lindleyのような、アメリカのトラディッショナルな音楽の枠を超えてしまうようなことはない。堅実なハズレのないメロディーを聞かせてくれる。Jormaにとってはこれ以上にない女房役のように見える。 
Jormaはやっぱり特別だった。彼の音楽からは風の音、それに揺れる木のざわざわする音が聞こえる。水をたっぷり含んだ空気。白く霧がかった平原の朝、やっぱりところどころに木が見える。そういった地に足のついた風景が温かな音から、見えてくる自然。人が木からギターを作って、それをから出る音がまたゆっくりと自然に帰っていっているような。 
かといって泥臭くない。土はさっと撫でる程度。ベースはそこだけれど、Jormaは土にこだわってはいないと思う。 
行き過ぎたテクニックはなく、シンプルに置くべき音を置くべき場所に置いて、あとはそれをいい感じになるまで弾きこんできた音だ。誰にもできないことをやっているわけではなく、誰にでもできることを一糸の乱れもなくなるまで突き詰めてきたという印象。 
シンプルだがとてつもなく深い。 
ショーを見終わったあと、あまりの重厚さに気が遠くなった。 

二日目にBob Weirがサプライズでバンドに加わった。 
古い友達がジリラックスした感じであーだこーだとジョークをとばしながら、ジャムっているのを見ることができてとても光栄だった。思えばJefferson AirplaneとGrateful Deadのギタリストのジャムなんだから、プライスレスでしょう。 
ごたごた言うよりも、動画どうぞ。 

 

 

Monday, February 4, 2013 

First Set: 
1. Nobody Knows You When You’re Down And Out 
2. Children Of Zion 
3. Hesitation Blues 
4. I See The Light 
5. Second Chances 
6. I’ll Let You Know Before I Leave 
7. How Long Blues 
8. Prohibition Blues 
9. Come Back Baby 
10. I’ll be All Right Some Day 
11. Keep Your Lamps Trimmed And Burning 
Second Set: 
1. Serpent Of Dreams 
2. Heart Temporary 
3. Goodbye To The Blues 
4. The Terrible Operation 
5. Barbeque King 
6. Vicksburg Stomp 
7. There’s A Bright Side Somewhere 
8. 99 Year Blues 
9. Good Shepherd 
10. I Am The Light Of This World 
11. Death Don’t Have No Mercy 
12. I Know You Rider 
13. Encore: Water Song 

Tuesday, February 5, 2013 

1. Too Many Years 
2. Been So Long 
3. Search My Heart 
4. Things That Might Have Been 
5. Hesitation Blues 
6. Maggie’s Farm with Bob Weir 
7. Standing On Shaky Ground with Bob Weir 
8. When I Paint My Masterpiece with Bob Weir 
9. I Know You Rider with Bob Weir 
10. Most Of The Time with Bob Weir 
11. Prohibition Blues 
12. Come Back Baby 
13. I See The Light 
14. River Of Time 
15. Vicksburg Stomp 
16. Goode Shepherd 
17. I’ll Let You Know Before I Leave 
18. How Long Blues 
19. Nine Pound Hammer 
20. Encore: Living In The Moment 

2013年2月3日日曜日

01/11, 13/2013 Jerry Miller Band featuring Terry Haggerty @ Ashkenaz, Biscuit and Blues


          ニューイヤーズのFurthur run、続くジャムクルーズはいろいろあって結局パス。 
でもって、彼らが私にとってのちょっと遅くきた今年一発目のショーになった。
今回はCatherine Lewis, Katie Guthronのコーラスが追加で、音の層が一つ増えた感じでカラフルでとても気持ちよかった、これがまず第一印象。たかがコーラスが、と思われるかもしれないけど、ないのとあるのとでは天と地とくらいに違う。よりアットホームな感じに、バンドも音もぐっと温かになる。しかも今回は女性二人がコーラスなので、バンドがずっとフェミニンに感じられた。
これはわたしが男だからだ、多分。これがすごく心地よい。
前回は骨太で不器用に迫ってくる感じだったが、今回はふたを開けてみればその二人のコーラスのおかげで、芯は固く周りは柔らかくのいい感じにアルダンテなバンドで、ずっと印象がよかった。

Jerryの無骨にささくれ立ったアスペクトがいい意味でオブラートに包まれた感じ。ずばり言いますと。
彼のギターは大味なのがいいところだ。形式がブルースなので細部がユルくても、それがよりいい味を出している。ガサツかというとそういう感じではない。身体が覚えたブルーズをそのまま出しているだけなのだ。彼の覚えたブルーズはそういうものだったというだけで、ちゃんとしっかりと聞かせてくれるし、音自体もしっかりブルーズ。本当にバランスがとれている。
本当に陽気でいい感じのエンターテーナーなおっちゃん。いかにもオトコな感じなんだけど、とっても茶目っ気がある。明るい。ただ音でもって遊ぶのが好きなのだ。
好きで好きでずっとギターやっているうちに、いつの間にか歳をくっちゃった。でも音楽やっている間はずっとティーネージャー、という。

そんなJerryに対し、Terryは基本的に二番手役が心地よいポジション。とても謙虚でシャイなので、一番手には自分からは進んでは出ない。ただ腕が凄いのでソロが回ってくると夜と昼がひっくり返るようなとんでもない音を出す。なんども開いた口がふさがらない瞬間があった。しかしどうしたらあんなスウィープなソロが弾けるようになるのか。Two RockにCentaur。で、あのギターはAdrian Belewが使っているようなギターだった。ものすごく速弾きな音でも、とても細かいニュアンスまで伝わってきて(アタック音とかね)、参った。
人の目を点にさせるにはなんだかんだとゴタクを並べるよりも、何よりも爆音で速弾きすること、それは正確でなければならないが、それに限る。気持ちがいい。とーーても気持ちがいい。初日のショーはテリーはずいぶん控えめな音量だったと思うが、三日目になると暴力的な程までに音がデカくて最高だった。彼がギターを引くと他の楽器の音が随分遠い感じになる程だ。ショーの後テリーとベースに「このバンドはとてつもなくラウドだから好きだ。」と言ったら、テリー「どうやらそうらしいね」と照れた感じだった。