2013年12月17日火曜日

12/14, 15/2013 Steve Kimock & Friends feat. Bobby Vega, Bill Vitt, Jeff Chimenti & Dan Lobowits @ Sweetwater Music Hall, Mill Valley, CA

                                                      Red White and Blue (Day 3)



3日間のランが一気に売り切れ、15日の日曜日が追加されこれまた一気にソールドアウトという。
近年まれに見る大人気だったこの4日間のキモックラン。
確かにこのメンツでJerry Garciaのレパートリを演るのであれば、このベイエリアでチケットが売り切れるのは当たり前っちゃ当たり前なんだけど…


それにしても一昨年からのSteve, Bernie, Andy, Wallyという鉄壁のツアーフォーメーションで、思った以上に会場で隙間が目立ってたのを思い返すと皮肉なものです。
キモックのサイドプロジェクトはあくまでサイドという趣が強く、この前のソウルグラスもそう。
やっぱツアーでがっつりしのぎをけずったメンバーと、あうんの呼吸にモノを言わせてあぶらがのりに乗った演奏を聴かしてもらう方が個人的には好み。
ツアーメンバーとしか出せないグルーブって確実にあるじゃないっすか。
まぁ、スティーブにしてみれば、Chimentiとのからみは、来年のRatdogとのツアーの予行練習的なものもあるんだろうけど。

        「たまにはね、ジェリーにリスペクトするときがあってもいいんじゃないかと思って」(Day 3 Opening)
                                     
そんなこんなで、正直今回はお金もなかったし興味もそれ程なかったし、って放っておいたらあっという間にソールドアウトになってしまって、焦っていた次第。
友人のスティーブがエクストラを持っているってことで、二日間一銭も払わず(苦笑)、なんとかありつけました。

それにしても。

このショーがここまでホットになるとは思っていなかった。


Bill Vittを見るのは今年のヴァレンタインデーのTony SaundersのKeystone Revisited以来。
あの時はそんなに気にもならなかったのだけど、とーてもソフトにドラムを叩く人。
もしかしてバンドで使い分けているのかもしれないけど、ラウドなKimock, Vegaの間に入るととてもソフトなのだ。
最初は正直「だ、大丈夫か?」と思ったのだけれど、それが面白い風にバンドケミストリーに作用しているのに気がついた。

ソロ/ジャムのパターンに2通りあって、
ひとつはいつも通り、KimockもしくはChimentiがガンガンに弾きまくると言うパターン。
                                     usual suspects!!

二つ目は、これがとてもいい感じだったのだけれど、最初は「あれ、だれかがソロを弾きあぐねているのかな」と思ったのだが、実は違った。
ジャムっていた。
お互いがちょっとづつフィルインを入れつつ、相互作用じゃないけど、インスパイアしながら行き先を探っていく感じ。
で、そのグルーブが、Vittさんがバシバシ強く煽らないおかげで、とーてもリラックスしていて凄まじく気持ちがいい。
ジョンモーローやグレッグアントンだったらジャムに食い込んでくるだろうところを、彼はものすごく客観的にジャムを見て、結果としてその他のメンバーを立たせている。
意識してやっているかどうかはわからないけど、恐れ入りました。
彼のスタイルとしてはジャズドラムがベースなんだろうけど、あのグルーブ感は今までになかった。
「我」を主張しない、とてもオーガニックなグルーブ。「和」を感じた。



SK&F 12/14/13
Sweetwater Music Hall
Mill Valley, CA

Set 1
Mystery Train
Anorexia
Positively 4th Street
I Was Made to Love You
How Sweet it Is
Stella Blue

Set 2
Deal (instrumental)
Scarlet Begonias
Mississippi Moon
Hillbillies
Encore
Who's Lovin' You Tonight


開演前からここまで尋常ならぬオーディエンスのエナジーを感じたのは久しぶり。
みんな興奮しすぎて「こわー」ってやつです。
それそのはず、ふたを開けてみればAnorexia, Hillbillies以外はJerry related。
Dylan, Stevie Wonderというののカバーもあるけど、ジェリーがカバーしたもののカバー。
4th streetはアップテンポでJerryのリズムのとり方とはちょっと違ったけど、それはそれでポップな感じでよかった。
このセットリストすごくバランスとれてていい。

はっきりいって、ぜんぶよかった。

しかしその中でもMississippi Moonには完全に参った。
あの、スローで難しい曲が完全に正しい形で再現されたのは感動ものだった。
あとStella。笑えたのは、ステラがはじまった瞬間からどこからともなくオーディエンスが「シーーーーっ」って言いはじめて。
おしゃべり連中や酔っぱらい連中をだまらせた事。
で、みんなちゃんとシーンとするところが、えらい 笑

はじめから終わりまで、全く文句なし。
完璧。


SK&F 12/15/13
Sweetwater Music Hall
Mill Valley, CA

Set 1
After Midnight**
Norwegian Wood (instrumental)
Boogie On Reggae Woman**
Come Together (instrumental)
They Love Each Other**
Gomorrah (instrumental)

Set 2
Tangled Hangers (instrumental)
Takes a lot to laugh Takes a train to cry
Franklin's Tower**+ >
Walk on the Wild Side tease**+ >
Franklin's Tower**+
Born Under a Bad Sign**+
Going Down The Road Feeling Bad**
We Bid You Good Night*

E: The Harder They Come**

** Lebo & Sunshine vocals
+ Al Schneir guitar
* Sunshine vocals

セカンドナイト。
ファーストセットはこれまた昨晩から引き続いて超ホット。
あのNorwegian Woodの流れるような美しさは何だったんだろう。
あっけにとられて見てました。
そのあとのBoogie on the reggae woman!!
もうこの時点で完全にノックアウト。
これまた気味が悪い程の盛り上がりを見せたファーストセット。
ずっとあのJerryのギターWolfを弾いてたKimock。
目の前にいっぱい自分のギターがスタンバイしているにも関わらず、手放しませんでした。
お守りかなんかを握りしめてる子供みたいに。

セカンドセットはスティーブ、正直疲れてた。後から聞いたところによると、風邪ひいて超体調不良だったらしい。
客はそんなことかまわず、ガンガンギンギンに乗ってたけど。
ヴォーカルの入りとか、どうフィニッシュに持っていくか、ソロを誰がとるか、どのくらいとって誰に回すかとか。
やっぱりサイドプロジェクトって難しいのは、そこらへん。
臨機応変にやらないとあからさまに、ぼろがでちゃう。
スティーブは乗っているとメンバーに指示を上手に出せるんですが、疲れてくると明らかにそれができなくなってしまうんですよね。
一歩踏み出してしまった後で、「あれ、こうなるんじゃなかったの?」みたいになる。それがセカンドセットだった。
かといってボロボロになるわけもなく。
押さえるところは押さえた感じで。

             Leboがよーく頑張ってた。
            Sunshineも。いー顔してます。いー声だし。
つなぎなんかでヤバっておもうと、すっとそれをすくってくれたのがこの二人でした。プロフェッショナル。

あとMoe.の人もゲスト参加したけど、これはあくまでおまけだったでしょう。
             Moe. guy

Bobby Vegaのこと、何も言ってませんが。
このひと、問答無用にいつも絶好調なのはナゼ?
あー今日疲れてるなとか、機嫌悪いわーとかそういうのが全然なし。
煽るわ煽るわ、キモックが疲れててもへっちゃらで「もっとこい、もっとこい」。
こんなにハズレがないベーシストはみたことないです。オーディエンスの扱いもいいし、しかも雰囲気に全然のまれてない。
もう既に伝説のベーシスト。



そしてこのランは今後永く語り継がれるランになると思う。
ホントあの二日間はいったい何だったんだろう。いまだにぼーっとしてしまうくらいのエナジーでした。

                                     「毎度どうもー」

2013年12月12日木曜日

12/11/2013 Lee Ranaldo and The Dust @ Chapel, San Francisco, CA


会場に入った瞬間に耳をつんざくような轟音に打ちのめされた。
そうだった。この感覚は久しぶりだ。
パンク以降のアーティストの手ごたえならぬ、耳ごたえ。

「?」の感覚。
気持ちいいのか、よくないのかわからない。
アートとして優れているのか、よくないのかわからない。

この感覚に悩まされていた、10年くらい前。Grateful Deadにはまる前だ。
Nirvanaをリアルタイムで味わえたのはラッキーだった。
でもそれ以降の「パンク」は個人的には全然くえなかった。
確かに新しかったかもしれないが、かっこいいとも思えなかったし、かといって踊れるかというと踊れもしない。
Greendayにはまっている仲間とは自然と疎遠になっていったし、同じように、新しい「パンク」やら「ロック」の波に乗れなかった友達は音楽から離れていった。
今となっては笑えるが、若かったがうえにマジだった。
あえて口にはださなかったが、「お前ダサい音楽聞いている=イケてない。だからつるまない」

そんないやな自分が、Dick’s Picks11の一曲目のMorning Dewのただならぬ雰囲気に勝手にやられて、ひとりでジャムバンドをかじるようになった。
友達もそんなにいなかったし、名古屋でひとりデッドを聞きながら寝転がって「あーサンフランシスコってこんな音の街なのか、どんなんだろうな」と想いを馳せていた。
試しにタイダイを着てみた。が、あまりに自分にも合わないし、周りにも合わないのでやめた。笑

話がそれたが、デッドの音楽が教えてくれたのは、「考えるな」と言うことだ。
たるい曲であれ、インテンスな曲であれ全てあるがまま受け入れる事。
信じていれば、自然とあるべき場所にたどり着く。
大切なのはいるべき時にいるべき場所にいる事だ。

「?」の感覚は?のままでいいし、わからなければ素直に「わからない」でいいのだ。
そこに理解する努力はまったく要らない。
楽しめれば勝ちで、楽しめなければあんたが悪い。


ところでこの日「?」な音を出していたのは主役のLeeではない。
Bill Orcutt and Jacob Felixという前座のフリージャズデュオ。



Billがギター。テレキャスにビンテージTwin Reverbというとてもシンプルなセッティングで、気味が悪いくらいbrushyな音が出ていた。
ドラマーがこれまたすごかった。このドラミングは一瞬で「いい」と思った。
ギターはいいか悪いかはフリージャズのファンじゃないので全然わからないが、Fが好きなギタリストだなーと思った。
6弦の解放弦のおとがFにチューニングされていて、なにかとその音から入る。
とっかかりはいつもF。
それが、がりがりがりと高音域に上がっていく。0.5秒くらいの間に。
指がちゃんと動いていて音が一音一音ちゃんと出ているので、えらいなーと思った。

何を考えてこういう音楽をやっているのか、何が彼らをそうさせたのが、全然わからないし音楽から聞こえてこない。
こういうクールなのもいいなと思った。
聞く者の詮索を拒絶する音楽。
音以外何もない音楽。
たまにはいいなー。


Lee。

Leeを見たのは何年ぶりか。
Sonic Youthを見たのがいつが最後だったか、全然覚えてない。
こういうのをやりたい人だったのか。
はじめて知った。
ポップ。必ず曲の中にサビがある。展開もあるし、ソロもあるし。

バイオリンのボーをつかったり、

鈴みたいなのをならしたり、



小技もある。
が、基本的に曲のストラクチャーがものすごくわかりやすいし、親しみやすい。
なにか全く受け入れがたい事をやってくれる事をうっすらと期待していったのだが、見事に裏切られた。
具体的にいうと「Lee is Free」みたいな曲を延々1時間半ぶっ続けでやるんだろーなーと思ってた。
おそらくLee and the Dustというのは彼のポップロックプロジェクトなんだろう。

何よりもすげーなーと思ったのはドラマーのSteve Shelly。



テンポが全然ずれない。
すんばらしーなー。存分楽しませてもらいました。


素朴なポイントアウト。
ソニックユースのギターはステッカーが凄まじい。綺麗に見た目重視ではってあるかというと全然そうではなさそう。
サーストンもそんな癖があったように思うが、「次の曲は〜」って曲紹介をかならず入れるのが面白い。大体じゃらんじゃらんギターをならしながらだったりするし、聞こえないじゃん。正直曲のタイトルなんて、気にもならん 笑
エフェクトペダルにセッティングが具体的にステッカーではってある。「トレブルはここ、レベルはここ」みたいな感じで。つまみ、曲の途中でいじったりしたくならないのかなーとか。

2013年12月6日金曜日

12/05/2013 Kaki King @ Cafe du Nord, San Francisco, CA

おきのさんが数年前に「かとうくん、カキキング見た方がいいよ」と言っていた。
昔「David Lindleyのオープニングで見た」と妻が言っていた。
この二点から、すげえ人に違いないと思ってた。

ぶっ飛ばされる準備はできていた。むしろできるだけ遠くまでぶっ飛ばしてほしかった。
終わってみて、予想以上にぶっ飛ばされてしまった自分がいてびっくりした。
驚きのぶっ飛ばされ様だった。

カーキキング。

             タッピングとボディーを叩いて音を出すカーキさん。


基本的にギターのみのインストがメイン。
12弦ミニギター、7弦ギター、ミュータント琴ギター、普通の6弦オベーションギター、この4本をとっかえひっかえ。

           これはラップスティールではなくミュータント琴ギター。 

起こすとこんな感じ。
         色々なコントロールが付いていて、オクターブ上の音やら3度、5度の音やら出ます。

ギグの間中、脇に常にギターテクの女の人がいて、彼女が一曲ごとにチューニングを変えていたようだ。
この日はサンフランシスコ、異常に寒く、彼女の座っている後ろにはオイルヒーターが置かれていた。
一瞬でも手をかざす瞬間があるかと、じっと見ていたが(いやらしーなー)一回もそんなそぶりもなく、手は常にあったまっていたようだ。
手が冷えるといくらいいギタリストでも、指がもつれる。
あれだけ動いていれば手が冷える瞬間もなかったかもしれない、そう思えるくらいに別の生物のように指が動いていた。
彼女の場合ネックを上からも握ったりするし、ボディーを手で叩いてドラム音を出したりもするので、余計に積み上げた訓練と経験が目に見えるかのようだった。

それと数曲足のしたに置いてある箱を踏みならし、バスドラのような音を出していた。
片方でバスドラをやって、もう片方で鈴を鳴らしたりもした。

一曲弾いては、ちょっとおしゃべりをして場の雰囲気が和んだと思ったら、アップテンポで複雑なコード展開の曲を平気でこなす。
でまたちょっとしゃべって、次はシンプルだけど、やはり訳の分からないコードの曲をやる。
たまにギターを弾きながら変な顔をする。
「緊張と緩和」というセオリーがあるが、まさにそれだった。

2013年11月30日土曜日

11/27/2013 New Riders of the Purple Sage @ GAMH, San Francisco, CA


サンクスギビング前日、僕は迷っていた。
火曜日に行ったRandy Craigs Trip w/ Terry HaggertyのショーでRandyに明日のMarsh Theaterのギグに行くよ、と言ったこと。
AshkenazでStu Allen & Mars Hotel。
そしてサンフランシスコではGreat AmericanでNew Riders。
どのショーにも行きたい。

そう思っていたところ、先週からギターをレッスンしているスティーブから電話がかかってきた。
「今日New Ridersのチケット一枚余ってるけど、行くか?」
「そうだな、じゃ、行くかな、New Ridersは久しぶりだし、この前のDavid Nelsonもミスしたし。」
そんなわけで話は決まり。

最前、もちろんBuddy Cageの前に陣取る。
Buddy Cage ...


ちょっと彼のホームページから抜粋:
「そう、1946年2月18日、カナダのトロントで俺は生まれた。もしあなたがアストロロジーに、こいつは毒にも得にもならないけどみんなでワイワイやるにはちょうどいいよな、そう占星術に興味があるんならわかるだろうけど、水瓶座の俺は退屈でアホなことには我慢ならないタチだよ。
1957年の夏にPort Creditでハワイアンギターのレッスンを受けはじめた。音楽の専門学校のナイスな人がいてどうやったら最悪にならないかを1から10まで教えてくれたんだ。
音楽のプロとしての人生がはじまったのは、1961年。1963年にプロになるために高校を辞めて、65年にちゃんとしたギグをもらえるようになった。それ以来うしろを振り向いたこともないし、仕事にあふれたこともない。
カナダに住みながらも、ほとんどの仕事はアメリカでだった。昔はミュージシャンがあちこち渡り歩くのは簡単だった、今のように閉じられた環境じゃなかったから。INSはすごくルースだったんだ。
だれも生計をたてるつてを盗むような奴はいなかったんだよ。組合はあったけど、TVとかラジオレコーディングをのぞいてはほとんど役に立たなかったし、地域ごとにしばりも全然なかった、悪名高いシカゴ周辺は話は別になるけど。わかるだろ?
実際のところわれわれミュージシャンは「特別な人」とされていた。どういうことでそうなっているかわかる?われわれは昔から特別に競争相手になるような相手ではないってことだよ。…」
ここからカナダから移民して云々の話になりそれ程興味深くなくなってくるので、わざわざ訳すのは辞めますが。
どーですか?
別に意識して訳したわけではございません。それにしてもこのくせ者っぷり。

今回も真ん前で見せてもらいましたが、この人だけ異様なんです。
去年のはじめの白血病治療のためか頭の毛がとても短く(それにしても生き延びてくれて本当にありがとう!!マジで)、下はユニクロでうっているようなフリース地のブカブカのパジャマみたいなもの、足下はスリッパ、ちょっとしたはおりものに、なぜかピンクかオレンジかのスカーフ。

そして、にらむにらむ。

まー、ペダルスティールという楽器の性格から、下を向いてプレイするのは当たり前なのだけれど、たまに顔を下に向けたまま目ん玉だけがぎょろっと前を向けるのは正直むちゃくちゃ怖かった。
三白眼ってやつですね。しかも虹彩がうすい色なので、余計に怖い。
バンドメンバーとのコンタクトにもこれをやるのだけど、たまに客にもやる。恐

がーっと凄まじく正確なプレーをして、曲が終わって、いくらかこの「ぎょろっ」をやって、そのうえ左手の指を下から上にベローーってなめるんだ、この人。
多分左手にもつバレットバーの滑り止めなんだろうけど、これがまた完全にホラー映画。笑 
で、また曲にもどって散々客を打ちのめすような演奏する。
客が盛り上がって「Thank you Buddy!!!!!」とか叫んだりする。
もちろんガン無視。爆

あ、首元に何か彫ってある。
なんてかいてある?

    





狂弾。こわすぎ。


あーでも、好きだなーこういう人。笑
New RidersっていかにもGrateful Deadの子分的な存在でなんか人懐っこそうなんだけど、笑えるくらい無愛想なんだよなー
Buddyだけでなく。
メンバー全員が「漢」としている。
フェミニン度、ー500%。

基本的にうたもののバンドだったんだなーという印象。
メンバー全員が歌って、コーラス付けて、その合間に DavidかBuddyがソロ付けて、7分から長くて10分くらいの曲たち。
カントリーロックというジャンルがあるけど、New Ridersのカントリーサイドは、彼らのアルバムのジャケ出てくるサボテンのように、乾いている。
北のレッドウッドの空気感よりも、南カリフォルニアの砂漠地帯か、そうでなきゃなにもない黄金の草原地帯だろうなー。
テキーラなんかがとても似合いそう。アカプルコゴールドなんてのもある。
カントリーフォーク、メキシカン。アメリカーナ。といっても、いわゆるDavid LindleyやRy Cooderなんかのようなウェストコースト系のそれとは違う。
かと言ってJorma, Hot Tunaのようなカントリーブルースとも違う。ニューライダーズはブルース色が思ったより薄い。

ルーツがつかみづらい。でも知りたい、知りたすぎる。興味津々の自分がいる。
David NelsonとNew Ridersあたりはもうちょっとちゃんと掘り下げないとダメだなー。
とても面白いし、音楽的にも豊かな部分。今後の課題。
昔のNew Ridersもいいが、今の彼らをもっと知りたい。

Dead Flowers, Louisiana Lady, I don’t know you(!!), あたりがすごく気持ちよかった。

あと個人的なメモとして。Buddyのプレイスタイル。あっちこちにフィルインを入れるんだけど、必要じゃないところはやり過ぎ?って思うくらいにパシっと切る。
「かちっかちっ」ってミュートの音をリズムに合わせてならすのはとてもいいアイデアだなーと思った。出力が大きいからね。

Mr. Kimock and Mr. Cage


2013年11月26日火曜日

11/02/2013 Sing out for SEVA/ The Blind Boys of Alabama, Dumpstaphunk, Hot Tuna @ Fillmore, San Francisco, CA



最近立て続けに別の人から別の機会に
「昔Jormaはドラッグ癖がひどくて手に負えなかったけど、よくここまで立ち直ったよな」
という話を聞いた。
Hot Tunaは今でこそ感動的なカムバックを果たしどこへ行ってもあたたかく迎え入れられるが、そこにたどり着くまでは紆余曲折があったらしい。

ロックの世界で「女」は強い。
今のJormaがあるのは誰がなんと言おうとVanessaのおかげだろう。
昔のJormaは私は知らないが、確か前の奥さんとは死別しているはずだ。
で、気の強いしっかり者のVanessaがパートナーになった。
Fur Peace Ranchを立ち上げ、子供を養子に向かえ、頻繁にツアーに出し、Jormaをいつも忙しくさせているのはVanessaだ。
Vanessaはいつ話しても強い。押しが強く、芯がある人だ。怒ると間違いなく手に負えないタイプ。
Jormaには責任を負わせ忙しくさせていないと、ダメになるということがわかっている。

ミュージシャンにはこういう妻かパートナーがいないとダメなのかもしれない。

Kimockの妻のJenもそうだ。
もともとバンドのマネージャーみたいなことを職としていた人なので、ミュージシャンとダイナミクスは頭に入っている。
一時期子育てで離れたけど、今も多分キモックのツアーは彼女が一役買っているはず。
旦那は常時ギターと戯れていたいだけで、他の「くだらんこと」には基本的に手をつけたくない。
しかも手をつけると、採算が合わない。スティーブは完全に採算度外視の人だからだ。
そこで妻が出てきて夫の道楽をビジネスにすべく働いている、という図式。
スティーブはジェンの決断にはほとんどYesmanになっているはず。
ミュージシャンシップとビジネスとは全く別口なのだ。

正直キモックさんの事でもかなり色々な醜聞を色々な口から聞いた。
大概ビジネス絡みで。
夫は飽くまでミュージシャンなので音楽さえできればいい、というのは正論過ぎるくらい正論。ただ彼らも人間で生きていかなければならない限りは、金がいる。
金勘定したくない夫は妻にそれをしてもらう、もしくは妻がその役割を買って出るわけだけど、当然二人の人間が絡んでくるわけで、話がややこしくなる。
しかもミュージシャンシップとビジネスの上に、ファミリーとしてのダイナミクスも関わってくるので、またここでひとつツイストが加わる。

あるミュージシャンは今言ったように妻がファイナンスを一手に引き受ける形をとる。零細企業を完全に家族経営している形。
あるミュージシャンは妻がいい仕事に就いていて自分より稼ぎ手だったり、大金持ちの子息だったりして、全く金に頓着する必要がないケースもある。
あるミュージシャンは独身を貫いて、全部を自分が仕切っている。
それが三つ四つ集まってバンドになる。で、お互い思惑を抱えて、ツアーをする事になる。
お互い家族単位でコトが運ぶとなると、一旦こけると、もう修復不可能になったりする。
いわくPhil Lesh familyとKimock family。 KimockとVegaもそうだった。
これはもちろんファンも巻き込んでしまうわけで、評判命のこの業界ではビジネス以上に痛手を受ける事になる。

でもここで言いたいのは「女」のパワーの強さ。
ファミリーアフェアーでもつ女性の影響力たるもの、凄まじい。
例えば、フィルとキモックの場合、最初はキモックも怒っていたけど今は自分のファミリーを愛するがゆえ、彼はPhilとはプレーしないことを選ぶ。
妻の手前できない。端から見てると単なる意地の張り合いで、ばからしいっちゃばからしいけど。
でもJenのおかげで、Kimockは車生活を脱却、一軒家を構えスタジオまで持つまでになった。子供もいて、奇妙なバランスを保っている。
Jormaはギターワークショップを持ち、ツアーに忙しく、「今までになかったくらい健康そう」(Terry Haggerty談)だ。
Philの活躍は言うまでもない。
ファミリーパワー恐るべし。
音楽が核となっているのは変わりがないが、家族が絡むとより色々な事がシビアになる。敵を作ってもいとわないという状況も生まれてくる。
こういう風にちゃんと家を持って、お金も回っているミュージシャンはごくごく稀だ。
超ラッキーな人たちだと思う。


で、話がそれにそれましたが、今回のSEVA。フィルモア。
ジャパンタウンが近い。ショーの前におにぎり2個、コリアン焼き肉をたらふく食った。
腹一杯で実のところ帰ってひと寝入りしたいくらいだったが、ここは我慢してフィルモアへ。
最前に陣取ったスティーブと合流。
もちろん目当てはAcoustic Hot Tuna。
VIPチケットでサイン入りポスター+ショーの後にバンドと会えるという特典付き。



setlistはJormaのブログから。
1. True Religion
2. Children of Zion
3. Second Chances
4. Come Back Baby
5. Hesitation Blues with David LaFlamme
6. Good Shepherd with David LaFlamme
7. Barbeque King with David LaFlamme
8. That’ll Never Happen No More with David LaFlamme
9. I Am The Light Of This World with David LaFlamme
10. San Francisco Bay Blues with David LaFlamme

おいしいところを押さえたショーットセット。
最近、最新作からのSecond Chanceという曲が大好きになった。
いっつもどのショーでもやるから、耳になじんできたようだ。
最初はなんかくっさーとおもっていただけだったが、どういうわけか最近ハートにしみてくるようになった。

バスで帰らなければならなかった為、Dumpstaphunkの途中で退散して、バンド達と会う事ができなかったが、後から聞いたらHot Tunaは現れなかったようなので、全くオッケー 笑


The Blind Boys of Alabama 目の前に来てビビった。


Dumpstaphunk。ゴリ押しファンクはいくらなんでも2つバンド見た後には辛かった。

2013年11月16日土曜日

-Steve Kimockを色々な側面から- Highway 81 Revisited


新しいブログ祝いでもないですが、久々のインタビュー。
ちょっと古いインタビューをようやく訳しました。夏前のものです。
あまり正確ではない部分もあります、何言っているかわからない部分もあったので。苦笑
しかも英語苦手なので。
かるーく読み流してください。

ではどうぞ。



-Steve Kimockを色々な側面から-

by Michael Lillo


Steve Kimockは多種多様なバンド編成で演奏できるミュージシャンなので、彼に夏の予定がどんな感じか聞いたところ、当然彼は言葉に詰まった。

「答えられるかわからないなー。」キモックは笑いながら答えた。「こりゃとんでもなくいい質問だな、まずもうちょっと早く朝起きるようにしなきゃ。んーオッケー。まず僕のバンドがあって、いくらか違ったメンバーが含まれていることもあるけど。時にはバンドにシンガーがいたりもするし、そうなるとバンドは70年代のファンクやR&Bよりな感じになる。またある時はドラマーが二人になったりすると、色々なインプロヴィゼーションがでてきたりするよね。これはぼくにとっちゃ普通なこと。ここんところHot Tunaのショーをいくらかアコースティックでやってるんだけど、それは素晴らしいし大いに満足のいくものだよ。Jorma, Jack, Barryと座ってアコースティックギターでさ、それはかなりスタンダードなロックバンドとはかなり違う感じのものだよ。あと、Everyone Orchestraのギグもやるよ、指揮者付きのインプロヴィゼーションギグ。」

それと彼は言わなかったが、単発でBob WeirのRat Dogにも参加する。これはインタビューが行われた朝にアナウンスされた。ペンシルヴァニア州はベツレヘム出身が来週 Scrantonで行われるPeach Music Festivalで、ボブウィアーのチームのリードギター役をつとめる。それはキモックの長きにわたるGrateful Deadメンバーとのつながりで、幸せな再会だ。

8月8日木曜日デラウェア州はWilmington、World Cafe LiveでBernie Worrell, John Kimock, Andy Hessと一緒にショーをやるSteveに、ウィアーのバンドでプレーすること、次のソロアルバム、ドラマーの息子と一緒に演奏することについて話を聞いた。


H81R: Peach FestivalでBob Weir and Ratdogのセットに参加するんだよね。どうしてそんな事になったの?

SK:  僕は80年代前半からBobbyと演奏してるよ。何年からか、正確には覚えてないけど。彼とギグをいくつかやったんだ、その時の彼のバンド、何だったっけ、あ、Kingfish。そう、あの時何本かギグをKingfishで演って、それから何か色々なのを彼やGrateful Deadの面々と演ったよ、Marin Countyに住んでたからね。僕はいつでも呼べばすぐに応じられるような状況だったんだよ。まぁ、それ以来今にいたってもずっとそんな感じ。ボブと僕とは家族ぐるみの付き合いでさ、この話が来たときもベンチ待ちみたいな状況だったんだよ。だからラットドッグの為にベンチ入りしてたわけ。で、彼らが「ちょっと人が必要なんだけど、来てくれるか」ときたから、「いいよ、ずっと待ってたんだぜ」って。

全部の事がうまくいって参加できる事になって嬉しいよ、だって俺はボブの大ファンだからね。彼のギターの演奏法とか音楽に対するアプローチ、そういったレベルでボブウィアのファンなんだ。いつも彼の作品には楽しませてもらっているし、ボブと僕の間にはかなり長い間の練習から生まれたケミストリーや親密さがあるし、おたがい押し合いへし合いしてきたからね、すごく楽しいよ。

H81R: ウィアは確かに普通のリズムギタリストではないよね。何がユニークなの?

SK:彼の演奏スタイルで何がユニークかって、彼自身がユニークなんだよ。彼のルーツにあるもの、それに彼がやってきたこと、色々なコンセプトとそれを長年にわたってGrateful Deadに寄与してきたこと。全ての要素の間に立ってそれをつなぎ合わせるという彼の役割は、すごくスペシャルなものだと思う。彼はいくらかのとてもユニークなヴォイシングとリズムのファンクションを作り上げてきた。彼のようなギターを弾く人間はいなかったという、それだけの事だと思う。ただただ彼のギターが好きなんだ。僕も大好きな田舎のブルースやゴスペルのような音楽ルーツから得たボキャブラリーを、彼はいっぱい持っているんだ。彼はodd-timeなリズムの取り方、オポジットポラリティ、エレベイテッドハーモニーといったことの大ファンなんだよ。

H81R: いつ頃から息子さんと演奏してるの?いつ頃から彼がプロとしてやっていけるって気がついた?

SK: あぁ、これまたいい質問だね。僕らはかなり即座に一緒にプレイしはじめたよ。2歳の時に彼ははじめてドラムセットを手に入れたんだ。彼はただ何かを叩きたかったんだ。思うに野球のバットは大きすぎた、だから結局ドラムスティックになった。ギグに行きはじめて、僕と一緒にあっちこっち行き始めたのは3歳か4歳くらいの時で、だから色々なことが起こっているのを全部見てきたんだよ。サウンドチェックの間ドラムの後ろに座ってさ。多分インターネット上に彼が5歳くらいの時のヴィデオがあるんじゃないか、Studio Eでグレッグアントンのドラムキットをポカポカやりながら、バンドを導いているんだ、5歳の時だよ。だから、僕にはクリアーなアイデアがあったんだ、彼にはこれをかなり高いレベルにまでもっていく事ができるとね。で、今24歳になって、僕の尻をぶっ飛ばし続けてるんだよ。

H81R: こんな体験をジョンと一緒に続けることができるってのはどんな感じなの。

SK: 初めての子供がこんなに音楽的で、しかも自分のやっている事が好きで、父親の僕がやっている事も好きで、お互い信頼しきっているなんて、僕の人生においてこれほどまでに満足できることは他には一切ないよ。全くこんなこと予期していなかったし。僕らはいつもマジでコネクトし合っていたし、それ自体が喜びというか、本当に誇りに思うよ。どうだろうな、多分エモーショナルな部分で僕が得たものをのぞけば、彼と一緒に演奏する事から得たものと言えば、同じ血をひいてるということとか音楽的な家系であることに対するありがたみってのがあるんじゃないかな。ジョンは十分早くからドラムをはじめたけど大人になるまで、かなり素晴らしい音楽を聴いてきたとは思うけど、16くらいになるまではそれがよくわかってなかったと思うんだ、僕もそうだったけど。16になって、彼は曲を書きはじめて、ギグをやって働いて、で彼の演奏やコンセプトはとても美しく進歩したんだ。そうなると同じ屋根のもとで暮らしてきたということが強みになってくる。

H81R: 今は何に取り組んでるの?レコーディングなんかやってる?

SK: うん。今は今年春からJoe Blaneyとはじめた録音のオーバーダブをしているところ。彼はクラッシュなんかをプロデュースしてきたんだ。彼は本当に一緒に働く上でインスピレーションだよ。明日彼とぼくのスタジオ/小屋で一緒にオーバーダブするんだ。エキサイティングだよ。これを終わらせて、このロックなレコードを出したいと思ってる、秋ぐちあたりにね。で、その後すぐ家で別のレコーディングをやるんだ。ジョンと僕だけではじめる。彼は曲を書き続けていて、僕もそれを先に進めたいんだ。僕自身はといえば、家でよりアコースティックな感じなのに取り組んでるよ、スライドよりでね、ほとんどインプロヴィゼーショナルなやつさ。

H81R: もうちょっとJoe Blaneyとのレコードについて教えてよ。よりロック的なやつって言ってたけど。

SK: 僕にとってはね、フォーマットとしてだよ。僕、バーニーウォレル、ジョニーがドラムでアンディーヘスがベースで、あとあちこちから色々な人。ちょっとした、いいレコードになるだろうね、ボーカルが入って、曲もちゃんとあって、みたいな。つまりプロダクションに関して言えば、その半分はでかいうるさい空間で騒々しく酔っぱらった感じのライブショーのヴァイブとは全く反対な感じになるだろうってこと。

H81R: 誰がうたってるの?

SK: 何人かのシンガー達が歌う事になると思う。

H81R: あなたはこれまでも、そしてこれからもギターの探求者でいるつもり?いつもギターを手に取って演奏してる?それとも喜んでギターを弾かないときがあったりする?

SK: 僕は今まで自分から進んでギターから手を離せたことはないよ、ただそういう人がいるってのは理解できるけどね。僕にはどれほど彼らがラッキーな人かはわからないけど、時々そう思うときはあるけど、僕には無理なだけ。いつも新しいサウンドを探しているんだ、それはつまりいつもはじめからやり直しているような、そんな感じになるけど。習得するプロセスに力を注いでるんだ、それにはいつも感情が高まる思いさ。枝が急速に伸びていく過程とか、物事を習得して吸収していく過程にあるなんて言うと、晩年的な響きがあるけど。僕は普通のフレットのあるエレクトリックギターを普通のチューニングで弾いてるけど、それを18の時から弾いてるんだよ。それをいまだに手にして「あ、これはなにか新しいことだ」なんて言って気持ちが高ぶるなんてことは、案外なかなかないことなんだ。基本的には自分で作った自分の限界に逆らうような形になるんだ、だから、枝を外へ向かって伸ばして、なにか他の音楽を見つけられるか試してみる。指を早く動かしたりすることなんかとなんらつながりがないものが落ちていないかなーなんてね。で、見つかるだろ。それを学び続けるわけ、別の楽器を手にして腰を下ろして、それはピアノだったり、ベースだったり、ハワイアンギターだったり、フレットレスギターだったり、ただ何かを学び続けようとするんだ。それは必ずしも僕が本当に興味があるものを直接突き動かすまではいかないかもしれないけどね、それでも新発見とか学ぶ楽しみなんかはモーチベーションにつながるよね。


P.S.
ちなみにこれがインタビューでキモック師匠がいってたヴィデオです。


2013年10月26日土曜日

10/25/2013 Zero @ Mystic Theater, Petaluma, CA

Fur Prace以来のこのショー。
Grass Valley, Petaluma, San Anselmoと三日間北カリフォルニアで計画されていたZeroのショーがJudge Murphy急逝の為、急遽Judgeの子の為のベネフィットという形でMysticのみになった。

FPRはちょうどJudgeが逝った直後だったので、「Steve, Judgeのこと気の毒だったね」と言ったら。
「あーそうだなー」みたいな感じで、それほど痛々しくはなく、拍子抜けしたくらいなのだけど。
Martinの時ほどひびいてないような感じ。
バンドのメンバー同士のダイナミクスというのは、外からはわからないものだ。



ショー自体はいつものZeroのショー同様、メンバーの出たり入ったりが頻繁にあって、結構とっ散らかった印象を受けた。
それでも、あいかわらずHadi Alsadoonのトランペットは素晴らしかったし、
Bananaのボーカルも聞いてて本当に気持ちよかった。Judgeの穴を埋めるかのように、いつもより余計に歌ってくれた。
CatalinaでMartinの娘のJessica Fierroがジョインして、Judgeのパートを未亡人Laurenと歌うという感動的なシーンもあった。

それでも一番圧巻だったのは、アンコールのLittle Wing。
数週間前にBobby Vega, Chris Rossbachでこの曲をきいて、それも最高だったのだけれど。
Kimock, VegaのLittle Wingもすごかった。
何だったんだろうあのラウドさ。
天まで届くような、ほとんどむちゃとも思えるような大音量でLittle Wing。

すさまじい。

確信をもってステージに立つミュージシャン程怖いものはない。「これをこうやるのだ!」という決意というか確信というか、それは間違いなくオーディエンスに伝わるものだ、とMr. Daveも言っていた。
あのLittle Wingは確信に満ちていたし、そのエナジーたるや恐ろしいものだった。


「ジェシカー よーがんばったー」 みんな絶賛。

2013年10月25日金曜日

10/3/2013 Bobby Vega & Chris Rossbach @ Hopmonk, Novato, CA



あーなんて楽しいショーだっただろう。
余裕。
もう7〜8年前になるだろうか。春先にハウスパーティーをした時、この二人を雇ってバックヤードで演奏してもらったのを思い出す。
最初に見た時から思ったのが、彼らはいつも余裕。
大層なことをしているという気構えというか、振りかぶったところがない。
まるでかゆいところをボリボリ掻いているような、何気なさで。でも音を聞くと天と地がひっくり返るようなことをしている。
悪い言葉で言えば見た感じの緊張感に欠ける、でも耳に入ってくる音はがっぷりよつなのだ。

Chrisを味わいたいならZigabooではなく、このフォーメーションをお勧めする。
弾きまくるからだ。
Bobbyはいつも通り。彼のベースはどのバンドで弾いても一聴してわかる。

ステージでPatronを飲み干し酔っぱらって、「何かリクエストある」とか言う。
誰かが「Free Bird」と言うと「次」笑 んじゃリクエストとるな、というツッコミはやめといて。
フロアーにはあまり人もいないし、「Little Wing」をコールしてみた。
もちろんこの曲が彼らのレパートリーにあるのを知っていてのことだ。
Chris「えーどうしようかな、できるかな?」(えっ?)
Bobby「やろうぜ、オーディエンス参加型のギグにしたいんだろ。」(なんじゃそりゃ...)

おぼつかない会話が交わされた後で、適当な感じでポーンと出だし。
演奏が進むにつれ、気味が悪い程タイトになる。
どういうわけか、どのバンドもLittle Wingはクラプトンの型が多い。
クリスもキモックもクラプトン型。ジミヘン型でやるのは流石のレイヴォーンぐらいか。

その後にやったBobbyがアコースティックベースを取り出して、完全にアンプラグドでやった曲の美しかったこと。

今回は彼らがオープニングアクトで、そのあとPetalumaのIncubatersというバンドがトリ。
そのIncubatorsにもChrisが参加。
途中で弦が切れて中断するというアクシデントもあったが、とてもポジティブな夜になった。
そういえばBobbyもゲスト参加していたっけ。Fire On the Mountainをやってたな。

2013年9月30日月曜日

9/20 - 9/23/2013 Steve Kimock @ Fur Peace Ranch




今朝FPRにいる夢を見てとても気持ちよく目覚めた。
「そろそろ書いたら?」みたいな感じだったので、書こうかなとおもった。 


実は今回で4回目のFPR。
1回目は2010年の11月 with Steve Kimock。単純に寒かった。凍えながら外で2時過ぎまで師匠とだべっていたのを覚えている。
2回目は2012年の9月 with Steve Kimock。このときは妻、友達とともに行った。いい思い出にはなったが、正直三人連れで行くようなものではないと思った。苦笑
3回目は今年の5月 with David Lindley。もー Mr. Daveは本当にいい人。
4回目の今回。またしてもwith Steve。
Kimock からレクチャーを受けるのは実はこれで5回目になると思う。そのわりに全然ギターが上達しないのは僕がとてつもなくレイジーな証拠だろう。
2012年の1月にSweetwaterでWorkshopがあったし、さかのぼる事2008年の3月にもEurekaでのWorkshopにも出た覚えがある。
あと、これまたさかのぼる事2005年のHighsierraでも確かWorkshopがあったはずだが、これは寝坊して聞き逃した気がする。

FPRでのワークショップでしぼって言うと、3回も出ていると大体内容がかぶる部分があって、それはおそらくとてつもなく重要な事だと思うのでカヴァーするようにしている。
曰く
スケール練習
Finger Independence practice
1, 4, 5, のコード練習
これについてはどのワークショップでも口を酸っぱくして言っている。


またその基本のルーティンをベースにして毎回色々な細かでかつ興味深いトピックが出てくる。
今回は事前に「僕ラップスティール持っていくからね」とメールしておいたからか、懇切丁寧に練習法やらどういう風にこの楽器をとらえるべきか、というような事を語ってくれた。

基本的に彼のレクチャーは、具体的に曲をマスターさせるタイプのワークショップではなく、ギターというチューニングが一定でない楽器をどのようにとらえるか。
どうしたらその不安定な楽器でいい音を出せるかという理論でまずガツンとやる。
とりたてて用意したクラスという感じではなく、ふと口に出したトピックで次から次へつながっていくタイプのレクチャーで、ここまで4日間話してもタネがつきないというところが凄い。

もっとここで色々理論を紹介できたらいいのだけれど、僕も正直今現在消化中な上、当たり前な話全て英語なのでそれを慣れない日本の音楽用語に置き換えながらというのはレイジーな自分には無理です。笑 すみません。

毎回クラスごとに性格があって面白いなと思うのだけれど、今回はたったの8人という超少人数のクラス。
大体10人集まると一人はスティーブが話している時でもでかい音でギターを弾いたりするような問題児がいるものだけれど、今回のクラスはそういう意味ではいやな奴がいなくてとてもいいクラスだった。
面白いなと思ったのは、マニアックな人が多かった事。
機材にお金がかかっている金持ちが多かった。
Scott Walkerや、ArtingerのギターにRed Plate ampを持ってきていたり、Santa Cruz Guitar Companyのなんて初めて弾かせてもらってあまりの音のよさに感動した。
まぁ確かにtuitionも割高だし、そこで経済的にきつい人たちははじかれちゃうのはわかるけど、ここまでお金持ちなクラスには結構びっくりした。
いつものことだが、このクラスじゃ僕が多分一番年下だっただろう。
つまり歳をある程度とって、経済的にも十分余裕があって余暇にギターを追求しているような人たちが非常に多い。
ロックスターが乗ってツアーするようなでっかいRVでのりこんで来たえぐい人もいた。

今回は珍しいことに僕より若いデッドヘッド/ジャムバンドファンがJack Cassadyのクラスに2人いたので、3日目のstudent performanceの時に一緒にMorning Dewを演った。
Jorma, Jack, Steveというそうそうたるロックスターの前でのパフォーマンスは多分ガチガチになるんだろうなと思っていたが、案外気持ちよく楽しめた。
その後、恒例のクラス全員がステージに上がる。前の晩にさんざん盛り上がったAfro beatでジャムった。

2日目のAcoustic Hot Tuna with Steve Kimockも素晴らしかった。


First Set:
1. True Religion
2. Children Of Zion
3. Second Chances
4. Hesitation Blues
5. I See The Light
6. Mama Let Me Lay It On You with Steve Kimock
7. 10 Minutes of Steve… his wizardry
8. Barbeque King with Steve Kimock
9. Nobody Knows You When You’re Down And Out with Steve Kimock
10. Keep Your Lamps Trimmed And Burning with Steve Kimock
Second Set:
1. I See The Light
2. Candy Man
3. Things That Might Have Been
4. 99 Year Blues
5. I Am The Light Of This World
6. Ten Minutes of Steve with more musical Magic
7. Come Back Baby with Steve Kimock
8. Trouble In Mind with Steve Kimock
9. Good Shepherd with Steve Kimock
10. How Long Blues with Steve Kimock
11. Nine Pound Hammer with Steve Kimock
12. Encore: Uncle Sam Blues with Steve Kimock
このセットリストはJormaのブログからだけど、面白いのは1st set, 2nd setともに10minutes of SteveというSteveのソロスロットが入っていた事。

俺は絶対10分以上弾くのだ。

多分Steve、10分以上弾いていたと思うけど。
1st setはインド風な無国籍なインスト、2nd setは多少アメリカーナっぽいでもインド風なインスト。
この人のインストは本当に国境を越えて、ぶっ飛んで宇宙が見えるくらいの感じになる。なので面白い。エクストリーム。


ハッピーキャット、Ms. Kitty。




めでたしめでたし。


2013年9月12日木曜日

Bill Evens Soulgrass w/ Steve Kimock 09/06/2013 @ Yoshi's Oakland, 09/07/2013 @ Sweetwater, 09/09/2013 @ Kuumbwa Jazz Center




最終日最後のショーが終わって外に出るとキモックがタバコを吸っていた。
「完璧に正確なピッチ、最高だったよ」というとマジな笑顔が返ってきた。
僕は最終日スティーブのアンプから20センチのところでがっつきマジで彼の音だけを聞いていた。彼もそれを知っていた。

5月にDavid Lindleyのクラスに行って以来、ピッチマニアになった。腕のいいミュージシャンはいっぱいいるけど、正確なピッチを出せるミュージシャンはほとんどいない。
「ユー達が僕の周りを囲んでくれていたのは、本当に助けになったよ」とスティーブ。

6日間のラン。
Southern CAのSan Diego, Hermosa Beachが1日目、2日目。で中盤がベイエリア。Oakland, Mill Valley。5日目にオレゴンにほど近いArcataまで行って10時間近くドライブで6日目のSanta Cruz。
誰が計画したのか、むちゃくちゃなツアー。
その距離を日本で例えてみれば、沖縄で二日ショーをして、3日目4日目に東京、5日目に北海道まで行って、最終日に名古屋ってな感じ。


最終日のセカンドステージ、彼はステージでコーヒーを飲んでいた。おかわりを持っていくとそれも全部飲んだ。
「食べる?」とオファーしたケーキも彼はあっという間にたいらげた。スティーブは疲れていたと思う。
でも彼のピッチに全く狂いはなかった。すさまじい。笑


それにしても、なんてすごいランだったか。
凄腕のミュージシャンがステージ上に集まってプレイすると雷が落ちたみたいになる。
文字通り超ラウド。
あちこちで火花がちるような演奏で、見ているだけでとても熱い。トゥーマッチと思う瞬間もあったくらい。
あんなに音数の多いショーは本当に久しぶりだ。


このバンド編成でキモックを見るのは初めて。
というよりもBill Evansというと、かの有名なピアニストの方が先にきてしまう。
今回のBillはサックスの方。
しかもピアニストの方もこちらのサックスの方も二人とも時代こそ違えどMiles Davis Groupの一員だったという過去の経歴があったりしてややこしい。
そういえばMitch Steinも二人いる。
結構こういうのがあるのは、ファーストネームのヴァライエティーが案外限られているからかもしれない。

ところで、いつもRandy Craig's Trip、カフェトリエステで会う友達のアートも来ていた。
彼は今は録音しているかわからないが、テーパーの彼とインターミッションの時におしゃべりしてたんだけど、「Billはどちらかというと…」といってiPhoneのメモ帳を開いて。
何が書いてあったか。

「Kenny G」

爆笑。


学究ジャズ(スムースジャズともいいます)。
元々ジャズミュージシャンはブルーズやロックミュージシャンと同じように、ものすごい人生を送っている人が多かったと思うんだけど、体系として学問になってしまって。それ以来あんまり面白くなくなってしまっている。
そういうミュージシャンはちゃんと弾ける。そうちゃんと仕事ができる。
でもそういう人たちだけが集まってショーをすると芸達者な人たちだけの学芸会みたいになる。聞いていて怖くない。スムーズだから。
そういう意味でこのランはロックではなかった。セックスドラッグロックンロール、ではない。

よって会場もジャズセンターだったり、ヨシズだったりする。フィルモア、グレートアメリカン、とかじゃない。
しかもいつものように1st set, intermission, 2nd setという形式じゃなくて、early showとlate showで客の入れ替えがある。
Cornyで、しかもお高い。
そのせいかどうなのか、いつもキモック関連のショーで見かけるクレイジーなヒッピーなファン達はこぞって出社拒否な感じだった。
三つのベイエリアショーを制覇したのはケムとうちらくらいだと思う。

そういえば最近のファン事情も結構面白い。
SKBからのコアなファン達を最近見かけない。
いつもキモック関連のショーでは最前列にいたスティーブ(やっやこしいでしょ?)は去年の夏のLake Tahoeのショー後
「もうKimockはどこへも連れて行ってくれなくなった」。それ以来彼は最前列から消えた。
いつもステージ上にクリスタルを置いて、写真をとっていたジャニスも今回は見かけなかった。

ショーでキモックの音のスペースが、おそらく以前と比べると最近はかなり減ってきているのは確かだと思う。
Talking Headsのカヴァーに飽きたファンも多いはずだ。
彼自身も「Electric Guitar Flagを最近は振らないことが多いよな」とインタビューで言っていたのを覚えている。

何が言いたいかというと、そんな理由で生キモックをあきらめるのは惜しいよなー。ということ。
コンサートの中でキモックがあまりソロ弾かなくても、後ろでリズムを弾いていたり、ハーモニクスをしていたり、それがいちいち「正しい」し「興味深い」。
なのでソロが多かろうが少なかろうが彼がそこにいてギターをいじっていさえすれば、それだけで結構。
その全然スムーズじゃない、むしろ日本の伝統芸能のような一挙一動に緊張感がほとばしるような音、それが聞けるだけで僕は幸せを感じる。


どんな曲だったか。
ジャズ、ファンク、ブルーグラスベースの曲にそれぞれのソロが入る感じ。うたものも結構レパートリーの中にあった。
メンバーはBill Evans: Sax, Josh Dion: Drums, Ryan Cavanaugh: Mandrin, Dave Anderson: Bassに、ゲストとしてRailroad EarthのTim Carboneがfiddle。Jeff Pevar: Guitar。彼はCrosby Stills & Nash、Rickie Lee Jonesなど。
それにKimock。

僕が聞けたのはYoshi'sのearly show, late show, Sweetwater, Kuumbwa jazz centerのearly show, late show。
おそらく一番よかったのは、最終日のKuumbwa。陣取った位置もキモックの真下。アンプの真横30センチ。
ラッキーすぎた。

Kimockの機材はアンプはYoshi'sとSweetwaterではTwo Rocks。KuumbwaではFender Twin。
ギターはPhil and FriendsのCD"Love Will See You Through"に映っているCripe。それとScott WalkerフレットレスPhoenix。あとラップスティール。
ペダルはワウ、ミュートロン、ボスのリヴァーブ。あとあのホーンの音になるGDPペダル。
ワウは主にラップスティールと一緒。
いつもと比べ今回は超簡素な音作り。
誰かがソロを弾いている時は、ハーモニクス多用。


一日目のYoshi's Oakland。高い!! でもセカンドショーはよかった。

Jeffさん。スティーブとは全然違うタイプ。引き出しが多い。色々な音を間違いなく出せるとても器用なギタリストだなーという印象。ただ、アクションがいつも付いてくる。



2日目のSweetwaterにて。このマンドリンの人が凄かった。マンドリンの音というと、糸車がカタカタ回るような粗末なイメージしかなかったのだけど(超粗末なイメージだけど:笑)、彼の音は糸車超高速大回転という感じで、音が洪水になってる感じは圧巻だった。