しっかりとかゆいところまで手の届いた絶対に間違わないアコースティックギターと、語尾がのび気味でうまい具合にギターとハーモナイズする声。寸分のスキもないステージだった。 エレクトリックギターでの電気の魔法がない分、ヨーマの温厚で誠実なキャラががっつり前面にでた。伊達や酔狂で音楽をやってきたわけじゃないというハードコアな面も、ちょっとしたリフやソロから唄へもどるタイミングとか、あちこちでみられた。 Jefferson Airplaneから数えて45年を超えるミュージックキャリア、おそらくこういうカントリーフォークこそ彼の本当にしたかったことに違いない。 すべてにおいて迷いがなく、芯が通っている。必要以上に上手くやろうと力を入れなくても、自然に唄もギターもJormaについてきていて、それを他の人が聴いて美しいと感じられるほどのレベルなのだ。 まさにあぶらの乗り切ったというか、もしあなたがアーティストだったらここにたどり着きたいという場所に今Jormaはいる。 こういう正真正銘のロックレジェンドのマジなショーを見ることができてとても幸せに思う。
Jorma Kaukonen And Barry Mitterhoff 23, 2012 The Swedish-American Hall San Francisco, California Saturday, October 20, 2012
First Show: 1. Search My Heart 2. Children Of Zion 3. Hesitation Blues 4. Sea Child 5. Full Go Round 6. I See The Light 7. Come Back Baby 8. I’ll Let You Know Before I Leave 9. More Than My Old Guitar 10. Izze’s Lullaby 11. Let Us Get Together Right Down Here 12. 99 Year Blues 13. Keep On Truckin’ Mama 14. 9 Pound Hammer 15. Encore: How Long Blues Second Show: 1. Serpent Of Dreams 2. True Religion 3. Nobody Knows You When You’re Down & Out 4. That’ll Never Happen No More 5. Things That Might Have Been 6. Barbeque King 7. River Of Time 8. Bread Line Blues 9. Goodbye To The Blues 10. Good Shepherd 11. San Francisco Bay Blues 12. Uncle Sam Blues 13. I Am The Light Of This World 14. I Know You Rider 15. Encore: Genesis
思い返してみるとKimockのバンドにはいつも彼の好敵手となるようなメンバーがいた。そしてどういうわけか、いつもKimockが突出して輝いてしまうという結末が待っていた。言い方が悪いが、他のメンバーを食ってしまう。 Crazy Engineで一緒だった時、Melvinはがっつり組み合ったけど、フィールドが違うところで戦っている感があった。Melvinはプロフェッショナルなエンターテイナーで、きっちり仕事をするタイプで、あえてKimockとは張り合わなかった。 Bobby VegaはいつもKimockと対等に張り合う。たまに「勝負!」な感じになる。でも最近のKimockはレゲエ色の強い傾向があって、ちょっとKimockとはページがずれている感じがする。Kimockの方から、Bobbyとの距離を置いている感がある。 Rodney Holmsとは相性がよかった。別れてしまったのは残念だが、Rodneyの攻撃的かつ手の多いドラマーと、いつも普通の人が見ていない別の世界を見ているKimockとの相性は絶妙だった。それでもRodneyがKimockを食ってしまったと思った事は一度もなかった。 Phil Leshとも相性は絶妙だった。インプロの天才の二人が真っ向から音楽に取り組んでいる感じがとても気持ちよかった。でもRodneyもそうだけど、いいパートナーであり、リスペクトしあっている感じでお互い勝負する感じはなかった。 注目していたBarry SlessもKimockと同じステージに立った時は、明らかにKimockにスペースを譲った。
1999年10月21日、コロラドはデンバーのフィルモアでのPhil and Friends。Phil Lesh - bass and vocals, Steve Kimock - guitars, John Molo - drums, Billy Payne - keyboards, Paul Barrere – guitarというメンバー。このショーはCDでしか聞いたことがないのだけれど、私の中で5本の指に入るくらい最強のショー。なぜなら、Little FeatのPaul BarrereとKimockとのギターバトルが聞けるからだ。両者とも全然引かない。好戦的なまでにお互いジャムりまくっているのが一聴してわかる。ぜひ聞いてみてください。 Kimockと他のメンバーがバトっているのを聴けるのはこのショーくらいだ。 結局どのショーでも耳はKimockに向けてしまっている自分に気が付く。
特にセカンドセット。ステージ上でKimockがあんなに心もとない感じで、嫉妬しているような若干不機嫌くらいな表情を見せたのは初めて見た。Bernie、良すぎたのだ。 Bernieのソロも長かったし、音量もでかかったし、音色もかなりユニーク。しかもTalking Headsの曲になるとKimockはソロ弾かないし。今回のショーではFunkadelicの曲は全然やらないみたいで、BernieがVocalをとるのは全部Talking Headsの曲ばかりだったけど。Naïve MelodyにしてもBurnin’ Down the Houseにしても、10代の頃から、Stop Making Senseを聴きまくってきた自分としてはもう涙がちょちょ切れものだったし。
セットリストもセカンドが異常にすごかった、サンドイッチがいくつあったか? 必須曲満載だった。Terrapin, China cat, St, Stephen, Eleven, China doll, Sugar Magnolia、本当にあれは何だったんだろうと思うくらいに、凄まじい選曲だった。Blues for Allahのエンディングティーズも嬉しかった。 本当にあれは何だったんだろ。魔法な夜でした。