シンフォニーホールってことで、主にナイスに着飾ったオールドフォークス達でいっぱい。
あっちもこっちもそんなばっかりで、「タイダイ!」着てるようなやつや、ドレッドロックできまっちゃってるやつなんかはいなかった。
そういう人たちがいないと、なんかちょっと物足りない。さびしい。
エクストリームなコンサート経験に慣れてしまっているのかもしれない。
それはコンサート自体にも言えていた。
私は個人的に、Rickie Lee Jonesという名前は知ってはいたが、実際に音を聞いたことはなかった。
全く白紙そのもので、初めてのRickie体験がこのコンサートだった。
そもそもこのコンサートチケットを手に入れたのは、KPFAというベイエリアのパブリックラジオ局の資金集めに協力したからだ。
どうであれ、
このコンサートは最近はやりの「一枚分まるまる再現します」というパターンで、超名作と名高いファーストアルバムがピックされた。
最高の晩になるはずと思っていたのだが、コンサートが始まって一時間くらいたって、頭を抱えている自分に気がついた。
解らないのだ。
私にとってコンサートといえば、至福の時間。
バカでかいバスドラ、ベースは腰にきて、ギターはうるさければうるさいほどいい、いつ終わるともしれないソニックエクスペリエンス。
オーディエンスもそれに応えるかのように、クレイジー。
どっかでぶっ倒れてるやつもいれば、ストーンしちゃって動けないやつもいる、喧嘩しているやつもいる。
エクストリームこそが必要不可欠なファクターなのだ。
それがなにひとつとしてなかった。
解らなかった。
しかし、ステージは完ぺきに続いていった。
ロックというより芸術だなと一瞬思ったのだが、それが解決の糸口になった。
そう、彼女はシンガーソングライターなのだ。
バンドではない。
バンドはなんだかんだ言っても、結局は「みんなでつくる」もの。
シンガーソングライターってのは、その人の世界が描かれていればいいのだ。
そういう視点からみると実に見事な曲ばかりだった。
歌詞はエコーがひどくて聞き取れなかったのだが、巧みなコードチェンジ、リズム展開、そして何よりもあの時代(私は実体験していないのだが)が描かれている。
70年代。ブルース、ニューオリーンズ、ファンク、カントリーウェスタン。こういったキーワードがまだフレッシュに若者面していたであろう時代。
それを、今は子供たちも出て行って、生活も安定しているオールドフォークスは(何度も失礼)、昔は色々あったけど今は落ち着いた「お客さん」として、ステージで再現される70年代を楽しんでいる。そんな感じか。
とどのつまりは、頭の中のチャンネルを切り替えた後は、十分楽しめたショーだった。
今度はスタジオ盤CDで聞きたい。
明日あのCDを買いに行こうと思う。
オレンジの夕焼けのバックにパイプをくわえた、あのCDだ。
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