2013年6月25日火曜日

6/22/2013 Everyone Orchestra @ Mystic Theater

skaのスタンダードにBall Of Fireという曲があるが、まさしく火の玉のようにホットなショーだった。
凄腕ミュージシャンの寄せ鍋企画ものの一つではあるけれど、こんな楽しいバンドはないと思う。
なによりコンダクターのMatt Butlerさん、こんなありそうでなかったバンドに指揮者というアイデア、とてもユニークで斬新だと思う。





自分もミュージシャンの端くれの端くれとして、バンドでプレーしているのでわかる。
それぞれ腕がいいバンドは、バンドがより民主的になってしまう、アイロニックなことに。できるミュージシャンは自分の腕を知っているので指示がない限りでしゃばらない。で、よりできるミュージシャンが結局「いやいや」仕切る事になるケースが多い。
が、実はそれが落とし穴になるケースもたびたびで、腕があるミュージシャンが必ずしも曲をよい方に持っていくコンダクターであるとは限らないとように思う。コンダクターというかエディター的な役。
楽器を操るテクニックと、曲を構築するテクニックはどうやら別のように思う。
曲をゆだねられる人がバンドの中に居るのは、ミュージシャンにとってはとても助かる。

これを利用したのが、このMatt Butlerという人。
指揮者といってもクラシック音楽のやり方ではなく、実にファンキーな格好で高い帽子をかぶってミュージシャン達に向かって立って100円ショップで売っているような小さいホワイトボードに転調、展開などの指示を出していく。ジェスチャーでも色々指示を出す。これは原理としてはクラシックの指揮者のやっていることと大して変わりはない。
たまにオーディエンスに向かって指示を出す時もあって、「Shake your butt」と歌えとか、音程を示しながら一緒にハミングしろとか、かと思うと普通に手拍子をしてほしがったりする時もある。

一曲演奏した後で、
Matt:「hook」って出したら、自然とふっとhookが出てきて前から決められてたみたいに曲の中におさまるんだから、最高だよなー。
Steve: そりゃ簡単だろう、あんたにとっちゃ。演奏しているこっちの身になってみなよ
二人:爆笑
Matt: じゃ次のネタはスティーブ、よろしくな。
Steve: ゲー、マジで 笑


こんなようなやりとりもあったりして。
ほとんどはアドリブだと思う。曲毎にミュージシャンからネタを出してもらって、それにみんなで肉付けをしていく。途中で「Rock」になったり「A minor」になったり「Return to Part A」になったり、「Hook」を出させたりしながら曲に起伏をつける。
みなオーディエンスも含めとてもリラックスしているのがわかる。
スティーブがネタとして出した「Congoman」は嬉しかった。今までのSteve, Bernie, Wally, Andyのバージョンと違う「Congoman」が聞けたのはボーナスだった。


今回のEveryone OrchestraのメンバーはMatt Butler:Conductor、Steve Kimock: Guitars, John Morgan Kimock :Drums, Gregg Anton: Drums, Sunshine Garcia Becker: Vocal, Mike Sugar: Bass, Trevor Garrod: Key, Eddie Roberts: Guitar。
今まで見たカオスになる事が多いE.O.のショーの中でもとりたててすっきりしていたと思う。ミュージシャン同士の相性がよかったのかもしれない。
ミュージシャンの数が少なかったのかなー。音数が普通のバンドを見ているみたいだった。
Eddie RobertsとKimockのいい感じのギターバトルが聞けたのはボーナスだった。
EddieはNew Master Soundsのファウンディングメンバーで、英国の人と聞いた。Cry babyとES、それにDeluxe Reverb?からきざまれるカッティングはかなりシャープだった。ワウ、むちゃくちゃうまいなーというのが第一印象。リズムがずれない。全然。剛なリズム感。
Kimockはいつも通り。今回はwhite start, gibson, charvil 12 strings, lap steel、の4本。Charvelの出番はほとんどなし。アンプはtwo rocksのキャビネットとtwin reverb。
Kimockのソロが燃えに燃えている時に、Mattがそれを遮って殺意を覚えた瞬間が1回あったが、それ以外はハッピーゴーラッキーで楽しい時間を過ごす事ができました。


客は全然入っていなかった。金曜日で$23でスッカスカ。でも、バンドは最初から最後まで燃え続けた。
ありとあらゆるダンスグルーブ(ネタ)を使って9時過ぎから1時間の休憩をはさんで、1時前まで。熱かった。


面白いなと思ったのは、今回のショーのレコーディングはショーが終わった直後すぐ、$15でアベイラブル。
CDRというフォーマットではなくて、mp3USBドライブ。それがリストバンドについている。
その日のショーがこんな形で持ち帰り可能ってのは斬新だと思う。


初めてThe Deadを見たのは2004年の夏だったが、お金を払えばそのショーの音源のCDRが後日自分の家に届くってい話に興奮したのは9年前。
etreeやarchives.orgで無料で聞きたいショーの音源がダウンロードできるっていう画期的なシステムにふるえたのもその頃。
で、今日。さっき聞いたばかりのショーの音源を、帰りの車の中で聞ける。すごい世の中になったもんです。 

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