2014年1月18日土曜日

01/17/2014 David Lindley @ Sebastopol Community Cultural Center, Sebastopol, CA




待ちに待ったDavid Lindleyのショー。
10月からBerkeleyでひとり暮らしはじめてから急に時間ができた。
久々のひとり暮らしでなにか変わった事が起こるのかなと思っていたけど、別にそれ程でもない。
淡々と日を暮らす中で小さな楽しみを噛み締めるような地味ーーな生活。こんなのは学生時代ぶり。

働いていないおかげで、ギターの時間が増えた。

起きてから寝るまで、食事の時間とたまの昼寝の時間シャワーの時間を除いて、目が覚めている時間は大体ギターを弾く。
14時間起きているとしたら、最低10時間は弾く日々が続いた。

今までしたかったのにできなかった、FPRで録りためたギターのレクチャーの復習をはじめた。
今までキモック分が3年。ミスターデイブ分が1年。
それぞれ4日間にわたる録音は膨大だ。

キモック2010年分の録音は過去に2回聞いた。
キモックと同時にリンドレーに取りかかったところ、今年に入ってリンドレーの方に完全にはまってしまった。
楽しくてしょうがない。
愉快なおっさんが、みんなのジョークを聞き爆笑しながらのレクチャーは他にはない。
しかもとてもわかりやすい。
誰もがたのしんでいる、この空気。
ファーピースランチ。また今年の5月にもやってくる。いけたらいいなー。

こんなだから、一言一句聞き逃さず、ノートを取りながらここ数ヶ月聞き続けた。
もちろん、ギターを弾きながら。
昨年の5月のギターワークショップに出たときは、ビギナーだった。知識ゼロ。
ラップスティールをどう練習したら上達するのか知りたいという気持ちしかなかった。
FPRから帰ってきて、ルーティンの日々が始まった。
大きな音でギターを引き続けた。ミスターデーブが言った通りに練習した。

Meat Grinder Bluesで始まったショーはMonkey Wash Donkey Rinseをはさんで、アンコールのCat Food Sandwichで終わった。
完璧なショー。

Setlist

Meat Grinder Blues
Cuckoo
Beneath the Vast Indifference of Heaven
Pretty Polly
About to Make Me Leave Home Girl
Little Sadie
8/7 Suite
Mutineer
Johnson Boys
Monkey Wash Donkey Rinse

Encore
Cat Food Sandwich







今回のセットでは基本はいつも通り。
しかし、「いままで、ほとんど演った事がないのを試してみよう」という前触れで始まったMeat Grinder Blues、最高。
Bonnie Raittのカヴァー、Leave House。
大好きなMonkey Wash Donkey Rinseがナマで聞けたのは大感動。
Warren Zevonのカヴァーが合計3曲。Beneath, Mutineer, Monkey。全てWarrenのアルバムMuniteerから。
Cuckoo, Pretty Polly, Johnson boys, Little Sadieは全てトラディッショナル。

ショーの後はいつも通りのCDサイン、写真撮影がロビーで始まった。



みんながそれぞれ話し終わったのを見計らって、スッとDaveの前に出てみた。
「あーーー」
みたいな声のような声じゃないようなののあと、驚きの笑顔で、そしてハグ。
ミスターデーブは、FPRで会った奇妙なアジア人を覚えてくれていた。
「MCで僕の街の名古屋の事に触れてくれてありがとうございます、とても嬉しかったです。あの曲のインストでは河内音頭のテイストも入っていて...」
「ちょっとだけだけどね、聞いててわかった?」
「そりゃわかりますよ、和風テイストについては日本人の僕にはすぐわかりますよ。日本を思い出せてもらえて嬉しかったです」
「あの河内音頭が聞こえてきたバーは、最初俺は入ろうよ、って言ったんだよ。そしたらプロモーターがさ、
ノーデイブ。あれはライトウィングの人たちが集まるバーで、彼らは必ずしも外国人が好きじゃないんだよ。って言うから、じゃーやめときましょーってさ。」
「そいうえば、あれからかなり練習しました。一曲聞いてもらえないですか?アドヴァイスがもらえたらと思って。」
「シュアーーーーギター持ってきな」

ギターをトランクから出しながら、震えている自分に気がついた。
だいいち、デーブの「シュアー」の声が一段と低かった。
天下のDavid Lindleyにギターを聞いてもらって、アドヴァイスをもらおうとしている自分のあまりの無謀さに笑えてきた。

ミスターデーブの大ファンのスティーブ(もちろんキモックではありません)が隣で、おいおいマジでやるんだな、こりゃすごい事になったな、と言っている。
煽るな煽るな
でも面白くなってきた、こりゃ言い出してしまった以上やるしかない。

外でチューニングを終えて、ロビーでいすを借りた。
座ってポロンポロンやっていると、デーブが肩越しに近づいてきた。あのときの緊張感は忘れられない。
「どんなもんだ?」という声が聞こえてきたので、スライドバーを引きずって音をふるわせてみた。
アメリカーナのヴィブラート、次にブルーズのヴィブラート。

これならいけるかも。

意を決してリズムを刻みはじめた。
“Old Coot From Tennessee”
「テネシー出身の変わったおっさん」というタイトルのトラディッショナルナンバー。
そのおっさんは教会にも行った事がない。神を信じない。
人生はあがいても変えられるものではないから、毎日たのしむ事を旨として生きている。
彼はうたをうたって、みんなに気づかせた。
「俺はぴょんぴょん飛び跳ねたり、大声でわめきちらしたりしながら、なんだかんだやって生きのび、そして死んでいくんだ。
俺のこの人生は全然うまい事いってない。あんたらは俺が死んでから俺の事をごちゃごちゃ言うんだろ、でも言いたい奴には言わせておくさ。
俺はぴょんぴょん飛び跳ねたり、大声でわめきちらしたりしながら、なんだかんだやって生きのび、そして死んでいくんだ。」
という。

ソロを弾きはじめると、キツくなってきて一か所でミスった。
Mr.デーブはノリノリで僕の肩越しで踊ったり一緒に歌ったりしていた。
ミスった瞬間にデーブ大笑い、「俺もここでいっつも間違えるんだー」
ちょっとリラックスしたためか、難しめのリフが難なくできた。
「ひぇーYou got it」

結局2題目の歌って、ソロに行ったあたりで周りの注目のからストレスアウト、残念ながら爆死してしまったのだが。
「どんな感じだった?」と立ち上がってたずねたときのデーブの笑顔と言ったらなかった。
いまだかつて人間のあそこまで幸せそうな顔を見た事がない。
「一目ユーが弾いているのを見たときから、お前が大丈夫だっていうのを分かってたんだよ」
とビッグハグ。あまりに光栄で歯の根元が1センチくらい浮いたように感じた。
「ヴィブラートちゃんとできてましたか?」
「ああ。ウマくできてたよ。それにしてもリズム刻み。格段にうまくなったなー、いくつか失敗しているのには気がついたけど、それも気にせずにガンガン進んでいったのはとてもいい、そうでなければならない。この歌はとても高いから歌いづらいだろ、カポ使いな。今年のFPRは来るかい?」
「いけるか分からないけど、是非いきたいと思ってます。」
「教えるべき事がまだまだあるんだ、違ったチューニングの事についても、あるしハンマリング、プリングオフなんかについてもね。」
「あー道は長そうだー。」
「笑」

生きていてよかった。


これ以外に言葉が出なかった。
実は自分の度胸にも驚かされた。
後になってちゃんと3題目まで歌わなかった事が悔やまれた。
あそこで爆死してはいけなかった、だましだましでも引き続けて3題目まで行くべきだった。
いまだに悔しくてしょうがない。
今年の5月、FPRで彼の前でリベンジする。
今度は失敗してもつまづいても、最後まで弾ききってやろうと思う。

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