もともとは土曜日のバナナのギグにテリーが現れるかどうかを知りたくて、彼のフェイスブックページを訪ねたところ、偶然見つけたこのイベント。
ジェリーミラーというギタリストは誰だか知らなかった。
モビーグレイプのメンバーである、ということは数年前にゴールデンゲートパークであったサマーオブラブ40周年で一回見ているということだが、全然気にならなかったようだ。
ググって得た情報は60年代にエリッククラプトンがアメリカに来た折、「世界の中でもベストギタリストだ」と言ったとか、クラプトン、ジミヘン、ツェッペリンなどそうそうたるロックレジェンド達と一緒にプレイ経験ありとか。
とにかくどんなギタリストなのか、という先走った期待。それにサンズオブチャンプリンのテリーが絡むんだから悪いショーになるわけがない
Don Quixote’sはSFから1時間半南、サンノゼを通り越してサンタクルズに行く途中のフェルトンという田舎町にある小さなバー+ボールルームといった感じの会場。
ステージ設備自体は結構いい感じなんだけど、はっきり言ってあまりにヒッピーカウボーイな感じのオーディエンス色がきつく、ぽっとやってきた部外者かつアジアンの自分は若干居づらい感じの場所だったが、まぁいいや。
一時間遅刻してファーストセットは見逃した。ちょうどセットブレイク中に会場に着いてステージ最前を確保。
さてセカンドセットが始まった。
ノリノリのブルース色の強いロックンロール。最初の2曲は心地よいリズムだけで持ってかれたが、ちょっとタメゆるくなってテンポが落ちた曲になりほとぼりが冷めると、よく分からなくなってきた。テリーのソロをもっと聞けないかと思って、彼のほうばかりにフォーカスを絞っていた。
が、とにかく引き出しの多いジェリーのブルースギターに知らず知らずの内に引き込まれて行き→テリーからフォーカスが外れる→ジェリーの出音のよさが圧倒的なボリュームで耳に入ってくる
こういった順序でヤラれました。
いやー本当に参った。
アンプから出てくる音がとにかく気持ちがいい。
典型的なブルーズの音なんだけど、当然昨近流行りのモデリング機材で作った音ではなく。
リアルディール。
① Fenderベースマンアンプ(かな?)にJPGuitarのホローボディギター「一発直つなぎ」
② 音量がでかくしてアンプで音を歪ませる
などコテコテな古典ブルースプレーヤーのセッティングなんだけど、やはりリアルディール。とにかく出音が気持ち良すぎて漏らしてしまいましたわ。笑
ピッキングは、さすがにジャズがルーツってこともあり明らかにテリーのほうが正確で細かいところまで聞こえる。それに対しジェリーは早弾き的になればなるほどグチャグチャグチャと片付け仕事みたいに弾いて一聴ガサツなんだけど、それが下手に聞こえるかいうと全然そうではなく、ナチュラルに歪んでいる一つのカタマリみたいに聞こえてとても美味しいのだ。ブルーズなんだよな。
んー全然うまく説明できていないのだけれど、音を聞けば「ここ」と指摘できる程わかりやすい。
しかも手元ですごいことをやりながらも、ショーマンシップもすごいっ。
いつも余裕なんですね。70近いはずなのに、エナジェティックで。
がっちりエンディングを決めた後、あまりに気持ちがいいので彼を見てにたにたしてたら彼が私にげんこつを差し出してきた。私もげんこつを差し出しタッチ。まぁ「YES!!」のような、ハイファイブのようなやつですが、こんなことを演奏中ステージ上のアーティストがしてくれたのは初めてで、ちょっとびっくりしました。
演奏中に弦が切れるというアクシデントもあった。
その曲を終えてスペアギターでいくのかと思ったら、そんなものはなくステージの片隅で自分で弦を張りかえ始めた、近くにいた客とおしゃべりしながら。素晴らしい。笑
当然ショーは5分ほど中断。
あの一本のギターに頼り切りってるんだろう。
つまりあのギターとあのアンプだからあの音が出る。コンビネーションがいかに大切か。
大変勉強になりました。
ここまで退屈せずにブルーズを聴けたのは、ひとえに彼の音が良かったから。
これにつきます。
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