2012年10月13日土曜日

10/10/2012 Steve Kimock @ Hopmonk



 バンドっていいよなーとつくづく思った晩でした。 

そしてこの日はなによりBernieが一番輝いていた。 
 

ツアー疲れが明らかだったSteve。もちろんいつも通り普通のロックショーの標準をはるかに超えた素晴らしいパフォーマンスだったけど、もっといい時のSteveを知っている自分としては、「あーツアーで疲れてるわ」ってのが目に見えて明らかだった。 

ソロでステージに立っているときは、そんな時どうにもならない。とにかくレベルを下げないように慎重に乗り切るしかない。 
でもバンドであれば当然ほかのメンバーが助け舟に回ることが必要になってくる。 

この晩Bernieは助け舟以上の活躍をした。 
恐ろしい集中力としかもポジティブなエナジーに満ち溢れ、PAから出てきている音が完全にBernieの今までの人生のかたちをしているかのようだった。 
たぶんこの日のBernieは一生忘れることがないと思う。怪物のようだった。 

今までに何十回とKimockのショーを見てきたが、ここまでKimock色の薄いショーはなかった。いや、Kimockはいつも通り出来る限りの仕事をしたと思う。ただただBernieがKimock以上に強烈な色を発していたというだけのことだ。 

思い返してみるとKimockのバンドにはいつも彼の好敵手となるようなメンバーがいた。そしてどういうわけか、いつもKimockが突出して輝いてしまうという結末が待っていた。言い方が悪いが、他のメンバーを食ってしまう。 
Crazy Engineで一緒だった時、Melvinはがっつり組み合ったけど、フィールドが違うところで戦っている感があった。Melvinはプロフェッショナルなエンターテイナーで、きっちり仕事をするタイプで、あえてKimockとは張り合わなかった。 
Bobby VegaはいつもKimockと対等に張り合う。たまに「勝負!」な感じになる。でも最近のKimockはレゲエ色の強い傾向があって、ちょっとKimockとはページがずれている感じがする。Kimockの方から、Bobbyとの距離を置いている感がある。 
Rodney Holmsとは相性がよかった。別れてしまったのは残念だが、Rodneyの攻撃的かつ手の多いドラマーと、いつも普通の人が見ていない別の世界を見ているKimockとの相性は絶妙だった。それでもRodneyがKimockを食ってしまったと思った事は一度もなかった。 
Phil Leshとも相性は絶妙だった。インプロの天才の二人が真っ向から音楽に取り組んでいる感じがとても気持ちよかった。でもRodneyもそうだけど、いいパートナーであり、リスペクトしあっている感じでお互い勝負する感じはなかった。 
注目していたBarry SlessもKimockと同じステージに立った時は、明らかにKimockにスペースを譲った。 

1999年10月21日、コロラドはデンバーのフィルモアでのPhil and Friends。Phil Lesh - bass and vocals, Steve Kimock - guitars, John Molo - drums, Billy Payne - keyboards, Paul Barrere – guitarというメンバー。このショーはCDでしか聞いたことがないのだけれど、私の中で5本の指に入るくらい最強のショー。なぜなら、Little FeatのPaul BarrereとKimockとのギターバトルが聞けるからだ。両者とも全然引かない。好戦的なまでにお互いジャムりまくっているのが一聴してわかる。ぜひ聞いてみてください。 
Kimockと他のメンバーがバトっているのを聴けるのはこのショーくらいだ。 
結局どのショーでも耳はKimockに向けてしまっている自分に気が付く。 

が、 

今回は違った。Bernieが完全にKimockを食った。 
ここまですさまじいショーは予想していなかったので本当にびっくりした。 

特にセカンドセット。ステージ上でKimockがあんなに心もとない感じで、嫉妬しているような若干不機嫌くらいな表情を見せたのは初めて見た。Bernie、良すぎたのだ。 
Bernieのソロも長かったし、音量もでかかったし、音色もかなりユニーク。しかもTalking Headsの曲になるとKimockはソロ弾かないし。今回のショーではFunkadelicの曲は全然やらないみたいで、BernieがVocalをとるのは全部Talking Headsの曲ばかりだったけど。Naïve MelodyにしてもBurnin’ Down the Houseにしても、10代の頃から、Stop Making Senseを聴きまくってきた自分としてはもう涙がちょちょ切れものだったし。 

とにかくBernie様さまな晩だった。キーボードが4台。この前は2台だった。その分音のバラエティも増えて、完ぺきだった。 
 

バーニーウォーレル 68歳。 
ファンクキーボードのパイオニアの一人。 
ファンカデリック/ パーラメンツの創設メンバー。トーキングヘッズと共演した作品、ストップメイキングセンスでの活躍が特に有名。現在はバーニーウォーレル・オーケストラを率いて活動中。2012年、サイドプロジェクトとしてスティーブキモックとツアー中。 
このDVDおすすめですよ。トーンが暗いけど。 
http://www.amazon.com/Stranger-Bernie-Worrell-Earth/dp/B000TV4QXM/ref=sr_1_7?ie=UTF8&qid=1350186142&sr=8-7&keywords=bernie+worrell 

しつこいようだが、この晩は一生忘れない晩になると思う。 

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