2012年8月7日火曜日

7/18/2012- 7/22/2012 Kimock Summer Tour 1 of 2













ずっと書けなかった、このツアーのレポ。 
凄まじすぎた。 

文字にすることが、あの5晩にわたるエクスタティックでどうしようもなく楽しかった体験に対する冒涜になるんじゃないかとか、あの強烈さをうすめてしまうのではないか、と思って書けなかった。 
子供じみているけど、本当にそう思った。 
遅れて津波のようにやってきた疲れとともに、そんなこと考えていて時間がたってしまい、フジロックもとうの昔にすんでしまった。 

それにしても5晩連続というのは、あまりの膨大な情報量で単にやれ「楽しかった」だの、「すごかった」だのでは済まされないレベルで、正直言っていまだに脳みその回線がショートしているような状態です。 
ブレーカーが飛んだっきり戻ってきません。しかも全然戻ってくる気配もありません。苦笑 

あれはやばかったよね、というところがボトムラインです。 


7/18 Harlow’s Night Club @ Sacramento
 

この日は水曜日。仕事に月火水と行っての事ですから、疲れもかなりのピーク。 
しかも1時間半のドライブ。結構きつかった。 
しかし初日からバンドはフルスロットル。 
Harlow’sは典型的なバー/パブで、こういう場所は大体非常に雑な雰囲気が漂っているけど、狭さがちょうどいいということもあって、本当に音響がいい。 
天井も低いことも手伝って、本当にガツンとくる。 
昔のSweetwaterなんかもそうだった。 
聞きたい人の前に行くと、普通にその人の音が大きく聞こえる。それはつまりPAを通した音ではなくて、アンプから出ている音が聞こえているからであって、小さい会場のいいところでしょう。 


一曲目の途中で着いたわれわれはキモック、バーニーの前に陣取った。ベースはBobby Vega。Andy Hessは子供が産まれるということで、欠席。これは棚ぼただった。 
よくあることですが、あとからライブダウンロードから落とした音源を聞いてみると、案外ラフなことが分かったんですが。 
ラフだろうと何だろうと、腐っても鯛、Bobby Vega。やっぱり超ファンキーで、Kimockとの相性は抜群。 

初めて聞いたBernie。以前”Stranger ; Bernie Worrell on Earth”というドキュメンタリーを見たことがあるんですが。Bernieの音を聞いたミュージシャン仲間が声をそろえて、”What’s That!?”と言っていたのが印象的だったんですが、まさしくその通りで。 
「なんじゃこりゃ」という聞いたことないような音でした。 
SKBのような緊張感の中から生まれた音ではない。このバンドはかなりリラックスした友達同士がジャムっているような雰囲気の音。 

その雰囲気が一瞬崩れたのがDejaの登場だった。ローカルの女性シンガーらしい。 
Five B4 Funkを一緒に歌うという。 
「マジでー」面食らった。 
キモック氏はこの曲を簡単な曲と思っているフシがあるんだけど、この曲はそれほど簡単ではない。5拍子で、展開もよくある展開ではない。しかも歌詞なんてないだろ。 
不安なファンをよそに曲か始まったところ、意外に上手いこといっている。 
ちょっと安心したが、今度はDejaがステージ上で歌い続けて、なかなか引かない。 
「マジでー」また面食らった。 
コアなファンはこういうタイプのイベントを嫌うことを、ぼくは知っている。 
このシーンのことをあまり知らないゲストがキモックを差し置いてステージ上で幅を利かせる、これが嫌なのだ。 
しかもやったらセクシーだし。苦笑 

これがDejaさんだ! 


なかなかバックオフしないDeja。ここでBernie。この人は首から十字架のネックレスを下げているようなタイプで、セクシー怪獣Dejaにあくまで音楽で挑んだ。SteveがあくまでDejaがうまく歌えるようにサポート的なギターソロをしたのと全く逆、Bernieはソロを不協和音の嵐に持ち込んだ。 
これではDeja、歌おうにも歌えない。逆にここでも外さず歌い続けることができれば、よっぽどの才能の持ち主。やっぱりDeja手を出さなかった。歌って外すよりは、スキップした方が安全だ。 
「おい、ちょっとバックオフしな」と言葉で伝えなかったのが、クールだった。 
ミュージシャン同士で、音でもって伝えてあげるっていうのが、プロフェッショナルとしての意地を感じました。 




いったん家に帰ったのち、次の日は仕事を休み、北へ北へと。 
Chicoへの道はとてつもなく平たん。太陽が黄金色の平原を照りつける。 



7/19 El Ray Theatre@Chico 


こりゃ驚いた。 
ものすごく天井が高い映画館のような席付のシアター、だだっ広い会場に客がパラパラ。 
 
木曜日ってこともあるけど、これはひどい。 
1000人近いキャパで、客は100人きってたんじゃないかと思う。 
同日数ブロック先でChris Robinsonがギグやってて、あっちはソールドアウトだったらしいけど。。。 
とーにかく、ChicoといえばChico State University。学生の街でパーティー大学として悪名高い街。 

ヤジだの、悪態がひどかった。環境としては最悪。基本的に音楽聞いていない客ばかり。 
酔いどれファンが、Hippies on PCPなんて叫んでたり、ブルーズやってくれよ、とSteveに詰め寄るファンがいたり。 
客のレベルが本当に酷かった。 
Kimockをはじめバンドもさすがに辟易してましたよ。叫びまくるファンに、Kimockがバンドに向かって”I don’t even know what they are saying…”なーんて、小声で言っていたり、 

「こういう時こそ燃えます!」 


しかーし、こういう客が少ない時こそ我々ハードコアなファンにとっては超ラッキーな時でありまして。 
最前列、チャーリーのレコーディング用マイクの真後ろに陣取ってかぶりつきで見ることができました。 

最前だと客が悪かろうと、いちゃもんつけてくる奴がいようと、結局後ろで起こっていることとして流して、ステージで起きていることに集中できるので、とにかく都合がいい。よっぽどのことがない限り、場所取り合戦も起きないしね。 

このショーでよかったのは、荒れる客に向かって諭しているような感じだった、瞑想的な曲、例えばMany Rivers To Crossとか、Stella Blue。 
これは本当に絶品でした。ずば抜けてよかった。 

あとはAndy Hess。 
 

前日がんばったBobbyには悪いけど、やっぱスプリングツアーを一緒にこなしたAndyの方が全体的にバンドとして目に見えてタイトでした。 
ここって時にバシッと決まるのが流石な感じで。こなれたもんで、職人肌のAndyさん、すぐに好きになりました。 
もともとGovt Mule, John Scofieldなんかと一緒に演ってた人ですから、やっぱりちゃんとしてますね。 

まぁ、今まで平日とはいえ、こんなに客の入り客の質ともに最悪なショーは見たことなかったです。 
演奏は本当に素晴らしかったけど、客の方にフォーカスが当たっちゃうって、凄いでしょ? 
それほどひどかったんです 苦笑 

どでかバーニー 

2012年8月6日月曜日

08/05/2012 Jerry Day @ Jerry Garcia Amphitheater




8月の頭は毎年忙しい。 
8月1日はJerryの誕生日で、8月9日が命日だからだ。 
しかも今年はJerryが存命であれば70歳ということで、盛り上がった。 
平日関係なしでギグが入っていたりして、むっちゃ疲れた。苦笑 

8月1日はTerrapin CrossroadsでPhilのショー。8月3日にはTRI studioでBob Weirのショーがあって、で5日、今日、日曜日はその名もサンフランシスコは南、Jerryが幼少時代を過ごしたというExcelsior。その近くにある丘の上にあるJerry Garcia AmphitheatreでJGBをはじめいろいろなバンドがプレー。

この場所がとても好きなのはとてもいい風が吹くこと。 
この晴れた日に、フレンドリーでにこにこな(ニヤニヤといってもいいね)ヒッピー達に囲まれ、気持ちのいいJerryが選び長年演奏を楽しんできた曲を聴く。 
演奏しているのはJerry本人ではないが、それはこの際どうでもいい。Dave-a-BearはTigerを弾いていたし、それだけでなく、あの場所に多くの人が楽しむという目的だけで集うというのは、まだJerry Miracleがそこにある証拠。 

で、たまーにいいタイミングで涼しい風が吹く。 

1日中ピクニックのようにそこにいたかったのだけど、見たのはJGBだけ。

 
Melvinの真ん前、最前で見られたので、かなり濃かった。 
上手いミュージシャンの手の動きなんかは、見ているだけで本当に気持ちがいいもんね。 

2012年8月2日木曜日

08/01/2012 Happy Birthday Jerry! @ Terrapin Crossroads





kimockのツアーに行ってからというもの、いろいろな変化が起きた。

まず一つに音楽体験を文字にしてそこにいなかった人に伝えるという事が、自分にとってとてもきつくなっていることに気がついた。
できません。
感動、伝えられません。頑張りますけど。

もう一つにフェイスブック。そこで起きていることを写真で撮ってポストする。
なぜそこで起きている事、そしてそれに対する自分の感情の変化に100%フォーカスせずに、それをほかの人に伝える必要があるのか。Kimockが目の前にいるというリアルな体験に対して、失礼です。
あの「他人ライフのぞき見エンターテイメント」のリアルじゃなさ加減に嫌気がさしてきた。そんなものを見て暇つぶしている自分と、見て見てーって感じの自分が、本当に嫌いだなーと思ったんです。
それよりもFacebookより疲れるけど、自分の足で歩いてリアルなエンターテイメントを探そう。つまり、コンサートに行ったり、そこで十分に音楽を楽しんだり、友達とつるんだり、そう思ったんです。

なーに、言ってんだ。

どうであれ、ド平日ショー。昨日はRandy Craig’s TripでBerkeleyはCafe Trieste。今日はTerrapin Crossroads。メンツは Phil Lesh, John Molo, Jackie Greene, Mark Karan, Grahame Lesh, Brian Lesh, Ross James。
PhilのJerryの胸がきゅんとなるような思い出話的なものから始まって(「たぶん僕の人生でした事のなかで、一番素晴らしいことはJerryとバンドをくめたことだと思う」ってさー。んー泣ける)、一曲目からI know you riderで、かなりの盛り上がり。

個人的にJohn Moloのドラムが大好きでねー。
誰とでも合わすことができるってのはすごい才能だと思う。流れをいち早く察知して、それに的確に付いていくっていうのは大変だろうと思うけど、いっつもギグが終わると本当にいい仕事してるなーと思います。
このサンフランベイエリアのジャムシーンでドラムといえば、John Moloが一番露出度は高いかな。どのショー行っても彼が座ってるし、彼が座っているショーに間違いはないです。
あとはGregg Anton。片腕ながらも、ぶったたくスタイルはとにかく尊敬に値すると思います。いい音だし。
Wally Ingram。彼はもともとDavid Lindleyと一緒に演奏してたりなんかしてて、前者と違っていろいろな音色でもって、いい休符をたたくドラマー。いいよなー。

セット自体はジェリーの曲中心に、このバンドは全員唄えるので、みんなでまわし合い。
Mark KaranのLoserが鬼気迫ってて感動。ギターの感じがとてもよかった。
Mark Karanは癌を克服してから、弱さがギターから出るようになって、とってもよくなったと思います。
昔は青筋オトコロック。ごり押し一辺倒で、とてもきつかったのですが、今はフェイバリットギタリストの一人。
2時間半1セットに、アンコール2曲付きで、計3時間。
満月の今宵。いい思いさせてもらいました。

ハッピー70thバースデー ジェリー!!


あーラーメン食いたーい。 

2012年7月15日日曜日

7/8/2012 Bill Frisell @ Napa Valley Opera House







このイベントの正式のタイトルは 
All We Are Saying: Bill Frisell Explores the Music of John Lennon featuring Tony Scherr, Greg Leisz and Kenny Wollesen 
というもの。 
なぜにイベントの正式なタイトルなんて言うかというと、ここにもBillさんの性格が現れているからだと思うからです。とてもシャイ。 

Bill FrisellというギタリストはKimock経由で知りました。この前訳したインタビューだったと思うけど、Kimockが「一度Bill Frisellと一緒に演奏してみたい」と言っていたのでYoutubeなどでチェックしてみたところ、「いやいや、こりゃすごい」ということで、見つけたこのイベント。 
John Lennonの曲を演奏するということで、いやーすごい人なんだろうという期待もあって、すごく楽しみにしてた。しかも最新アルバムのFloretone II。個人的にどんぴしゃりな感じだったので、さらに期待大。 

ショーは20分くらい遅刻したんですが、席付の会場でしかもチケット買ったのが早かったので一列目のど真ん中。 
ただそれほど意味があったかは微妙。つうのもBillさん前を向いて演奏しません。 
ずっとステージ左のベーシストの方を向いて演奏。どんなギターをどんなふうに、どんな表情で弾いているか、全く見えない。 
ものすごく興味深い音が出ているんだけど、企業秘密なのか手の内を見せてくれない。 
まぁ見せたくない、真似されたくないようなことをしているんでしょう。 
これは確かにミュージシャンとしての沽券に関わるような事なので、別段彼を責めるようなことはできませんが、やっぱオーディエンスの立場から言えば見たいよね。 

音は繊細そのもので、個人的な印象として、不器用でシャイな子が他の子ととけあってお外で遊ぶことができない時に偶然ギターを手にし、ハマった。夢中になって10年近く閉じこもったままギター弾き続けてきて、ある日周りがその音のヤバさに気が付いた。ってようなシナリオが目に浮かぶような。そんな音なんですね。 

私は彼の休符で迫ってくるようなギターが好きです。惜しげもなく休む。 
自分を含めギタリストというものは、ギターを手にするとどうしても音を出したくなるもので、やたらめっぽうに音を出しては悦に入る。つまり出る音がこれすなわち表現だ、などと感じがちなのですが。 
実はそうではないということを気づかせてくれるのが、Bill Frisellの音でした。 
書道で余白がとても大切なのはよく言われることだけれど、それは音楽でも同じことのようで。 
タカタカと印象的なリフを弾いては、ディレイの音ごと、パシッと切るんですね。 
決して出しゃばらず、謙虚で繊細な。 

しかもとても器用なハーモニクスの使い手。 
あの消え入るような音を際立たせるには、やっぱりちゃんと余白を作っておかないといけないんでしょう。 
キモックのハーモニクスは和音でくることが多いんだけど、この人のは単音で間をおいてくるので、効果が全然違うように感じました。 

ビートルズの曲なんかもやるんですが、決まったメロディーとかリフ以外はほとんどアドリブだったと思う。ちょっと表現しにくいんですが、若干遅い。つまり「んーもたってる?」という感じですが、帳尻がちゃんとパシっと合うんです。そういうスタイルなんでしょう。聞く側としてはまぁちょっとハラハラ。まさか酔っぱらっていたわけではあるまい。 
サンプルなんかも使ってました、Line6のあの緑のやつ。DL4。 

なにより素晴らしかったのが、Lap Steel, Pedal Steel担当のGreg Leiszとの掛け合い。 
ギタリストが二人いて同じようなギターの音質なんだけど、この二人はそんなことお構いなし。がっちがちのギターバトル。これが際立って素晴らしかった。 
マスター二人がどちらとも譲らず弾きまくるというのは、本当に気持ちよかったです。 
Greg Leizという人は本当に器用なギタリストでSteel類担当で古臭い伝統的なリフや即興だけでなく、エフェクトペダルなんかもお手のもの。 

ベッドルーム出身のBillさんもそういうの大好きそうだし。 

Napaというとワインで有名な場所。 
ほとんど罰ゲームな感じでBillさんがちょっとしたMCを入れ(非常にぎこちないジョークも;あらら…)、ワインでもってステージ上でカンパーイなんてやってました。 




本当にあっさりした1セット90分。 
カーっとくるようなエキサイトメントこそ全くない、おとなしめなショーでしたが、それはそれで心地の良い時間を過ごせました。 


余談ですが、Kimockの息子Mylesが見に来てました。セットの終わりの方で自分のギターとペンをステージ上においてました。「サインちょうだい」ってな。 
エクストリームにシャイなBillさんがはたしてKimockの息子のギターにサインをしたか、これは永遠の謎でございます。


後日談: 2013年の6月、Everyone Orchestraがペタルマに来た時、ひょんな事にマイルス君にサンラファエルまでライドして差し上げることになりまして、その時聞いてみたところ結局サインもらえたよー!!!とのことでした。 

2012年7月7日土曜日

6/25/2012 Phil Lesh @ Terrapin Crossroads






サンフランシスコ市街がゲイパレードでどんちゃん騒ぎしていた、その日、 
Phil大先生が結構毎晩のように出没しては、タダでTerrapin Crossroadsでショーをやっていて、今晩もやるらしいというウワサがデッドヘッズ友達のRobinから入ってきた。 


Terrapin Crossroadsは彼のヴェニューだし、まんざら嘘でもないだろうってわけで、半信半疑リッチモンド橋を渡って初めて行ってきましたとも、Terrapin Crossroads。 
踊るテラピンがなければ、高級な老人ホームのようなウェブサイトしか見たことなく、実は興味もほとんどなかった。 
そんなだったのですが、Phil大先生をまじかで見ることができるという事であれば、外すわけにはいかない。 

やってました、やってました。小さなステージに大のおのこが4人。PhilとJohn(Furthurのギターね)。それからPhil大先生の息子!!が二人。ギターだかマンドリンだかを弾いてDeadの曲を歌ってました。 

会場は人でいっぱい。でもじきにこんなショーはやらなくなるはず。 
タダでPhilがギグをする、ということを聞いたらこんな小さな会場は完全にパンクするでしょう。 
有り得ないほどラッキーなタイミングで、面白いショーを見させてもらったと感謝してます。 

6/12/2012 Party for the Planet with The Rock Collection @ Freight and Salvage









ベネフィットづいている最近。Freight And SalvageというBerkeleyの市民会館みたいな大きさの会場。 

今回はParty for the Planetという。Earth Island Instituteの30周年記念。名前からも簡単に想像できる通り、地球を守ろうというノンプロフィット。バークレーという場所どこ歩いていてもこういう活発なしかもラディカルな雰囲気だ。 
たまにtoo muchに感じる時もあるが、こういった場所があってもいい。 
今日も地下鉄にのってたら、どっぷり60近い太ったおっさんが、ものすごい小さい携帯を持ってごちゃごちゃ。自転車にヘルメット姿。その緑色のヘルメットには風車みたいなのがついて。真正面からみたら、ひげがピンクかった。そんなおっさんが降りていく駅がダウンタウンバークレーだ。 

どうであれ。 

面子がぐちゃぐちゃ。こういうのもおもしろい。 



ひとつ目がWhiskermanというアートロックバンド。何がやりたいかよくわからないけど、このバンドのボーカルが非常によかった。嫌に鼻についている感じでもないけど、ただこういう風にしか表現できないバンドなんだなーと思ってみてた。ちょっと力入りすぎてたと思うけど。 

二つ目のアクトがJohn Trudell。あとで触れます。 




三つ目がWill Durstという社会派のコメディーさん。政治がスポニチ三面記事みたいなノリで楽しめるってのがこの国のいいとこよね。政治なんて日本じゃどうしても振りかぶっちゃうんだけど、そんな重い感じが全然なくミリオネアからホームレスに至るまで、政治について語れるってのは、それが民衆の近くにあるという証拠で。歴史が違うと、こうも違ってくるもんで。 




四つ目がThe Rock Collectionというバンド。聞いたことのないバンドだけど、ふたを開けてみたら、なんてことない。Mark Karan(Rat Dog,) Robin Sylvester(Rat Dog,) Lebo (ALO,) Greg Anton (Zero)という、ジャムバンドの寄り合い所帯のようなもので。 
とてもタイト。やっぱり上手い人たちが集まると、出てくる音も非常に美味い。でもやっぱりJohn Trudellを聞いた時点で、このコンサートは私の中で終了してしまっていたので、Leboすごく上手くなってきてるな、くらいの印象しか残りませんでした。 


で、John Trudell。この人はReal Deal。 
凄まじかった。 



ジョントルーデルはネイティブアメリカンの活動家、詩人、ミュージシャン、映画俳優。ミュージシャンの時はJesse Ed Davisとネイティブアメリカン仲間として、一緒に演ったりしてた。それ以上に彼が有名なのは60年代後半のネイティブアメリカンによるアルカトラズ島占拠のムーブメントに大きく関わった活動家としての側面だろう。アフリカンアメリカンへの人種差別は有名な話だが、ネイティブアメリカンへの差別もひどかったようで、FBIの前で抗議行動。星条旗を焼いたら、彼の家に火がつけられ、妻子を失なった。1979年のことだ。 
それ以来活動家の側面は影をひそめ、詩人、音楽家として活動するようになった。 

話はそれるが、Dead, Kimockを聞くようになってから、自分の音楽の聴き方が変わってきた。 
「表現の速度」にこだわるようになった。 
即興のがいかにクールなものか。次から次へと押し寄せるリズムと降り注ぐ光のようなメロディーに対して、その状況状況臨機応変に、パズルのピースを一つ一つ探し当てるかの如く、音で絵を描いていく。そこには考えるヒマなどない。考えていたり練ったりしていては、ナマの音が死んでしまう。取り残されてしまっては大変なことになる。 
そこで演奏しているものに何が起こっているかというと、それは単純に反射の世界であって、ゴタクが入り込む余地などない。 
反射ほどネイキッドなものはなく、嘘がそげた正味なその人そのものが音に出てくる。 

音が一番早いのだと思っていた。次に思考が来た上で、口で言葉として伝えること、さらに書いて伝えるコミュニケーションが一番遅いが具体的な形でくる気がする。そう思っていたのが覆された夜だった。 
John Trudellは言葉でジャムっていた。 
スポークンワードなので音といえば音なのだが、言葉である以上思考プロセスがなければ支離滅裂になってしまう。 
だが彼はそのプロセスが異常なほど速い。それはKimockがソロを弾くかのようだった。しかもその言葉が恐ろしく鋭い。出まかせは誰でもできるが、音と思考と言葉が、なんのよどみもなく滝のように降り注いでくるのは、とても壮観だった。 
つまり音楽的。素晴らしいショーの後のような気持ち良さでした。 

2012年6月17日日曜日

6/16/2012 Moonalice, David Nelson Quartet @ First Presbyterian Church

















Cedars of Marinという団体へのベネフィット。Cedars of Marinというから、杉の木の保存会、緑化運動のたぐいかと当初は思っていて、花粉症の私にとっては杉というのは天敵に他ならないので、そんなベネフィット行くか!と思っていたのですが。 
ホームページを開いてみると、サンアンセルモにある発達に障害のある方への支援団体だということが判明。DNBのページを見てみるとPete Searsの娘さんがそこで働いているそうで、「これは大変重要なことで、草の根的なベネフィットで、とても大きな意味を持つものです。ぜひ来てください。」とPete直々のお言葉がホームページに載っている。 

このアメリカという国は、非常に社会的な弱者に対して理不尽なところがあるように思う。この前も郊外の町を、昼間車で走っていたら、明らかに普通の精神状態じゃない中年の女の人が宙に向かって何かしゃべりながら寝間着のままで歩道を歩いている。サンフランシスコのような街なら案外よく見かけるが、こんな郊外でというのが意外だった。 
それがどんな理由でそんな状態なのかは知らないが、どんな理由であっても道端にほおっておいてはいけない人。どこからどう見ても危険だ。 
レーガンだかの政権の時代に、こういう人へのバジェットカットをしてしまって、軒並み施設が閉じてしまい、結局こういう人がストリートにほおりだされる結果となったらしいが、どうであれレーガンって何年前の話だよ。 
何も期待のできない政府に対してこういうCedar of Marinのような受け皿が必要なんでしょう。もちろんこのおばさんが発達障害かどうかはわからないけど。 

というわけで行ってまいりました。 

場所はサンアンセルモの教会。アコースティックは結構いい。 
出演バンドはMoonaliceとDavid Nelson Quartet。 






Moonaliceというのはとても微妙なバンドで。 
今回は不愉快御免で、ド正直に書きます。私個人の記録目的ってことでございまして、独り言です。 
タネあかしから始めると、Roger Mcnamee, Ann McNameeというミリオネア夫妻がBerry Sless, Pete Sears, John Moloという腕利きのミュージシャンたちを集めてやっているバンド。数年前から北カリフォルニアを中心にかなり精力的にギグをこなしていて、それなりにファンベースもできてきつつあるバンドです。 
ただ、どうしてもそういうあまりにロックっぽくないバンド編成の経緯がたたって、わたしは「好きじゃないな」ということで、今までほとんど追っかけようとすらしなかった。 
金持ちの道楽バンドに、どうして金を払って見に行きたいと思いますか? 
今回はそういった偏見を捨てて、とにかくしっかり見てやろうと思って、まだ人もまばらなステージ真ん前、最前列で、かじりついて見てきた。 



結果何を感じたかというと、やっぱりRoger, Annの二人が甘い。甘いというのはヘタという意味ではない。むしろそんじょそこらのミュージシャンよりは格段に上手いし、前見た時よりも上手くなってきてはいる。 
ただ音楽でメシを食ってきている他の三人の音への感情移入のレベルに比べたら、彼ら二人の行き届いてなさは日の目を見るより明らか。 
ここで静かにってとこでとんでもなくフラットな音を延々と出していたり、しっかり決めるべき歌いだしでピッチが若干浮いていたり。 
こういう場所で他の三人は絶対にはずさない。これが凄い。やっぱり、音に覚悟があるというか。食いっぱぐれない音。これは微妙なとこで、見逃してしまいそうなところなのだけど、そこで完全に昇天させられるか、「おーいいね」で終わるかが、決まる。 

これは技術というよりセンスなんだろうと思う。ジャムする上でのセンス。センスは天性のものではない。日々の生活で磨いていくものであり、研ぎ澄ましていくものだと信じている。それはただ楽器を持ってスケール練習をひたすらすれば身につくものではなく、自分の中にあるフィーリングに敏感になり、それと演奏を結びつけるための訓練。なにかと引き合いに出して申し訳ないが2年前オハイオでKimock御大はこの練習が結句一番大切だ、と強調していた。毎日一番時間をかけてやっているとも。 

話がそれてしまったが、Roger、Annともにいいミュージシャンだ。でも、とんでもない他の三人の横に立つと、自然と子供と大人くらいの差が出てきてしまうし、彼らもそれに気が付いている。彼らが一歩引くとジャムが突然ホットになるんだから、気が付かなきゃ、それはミュージシャンとして鈍感すぎるだろう。 

ここがわかんないのだ。 

彼ら2人もミュージシャンとしてのプライドがあると思う。よりいいミュージシャンとジャムりたいってのは、希望としてはとてもよくわかる。しかしそれを人前で見せる必要がどこにあるのか。 
極端な話、お金があって彼らを雇えるのならば、彼ら三人に自分の好みなセットリスト作ってギグさせて、客として特等席かなんかで見てればいい。そこにレベルの違う自分が入る必要はない。と私がミリオネアならそう判断する。 
で、たまに「一緒にジャムらせて」、とリハーサルに飛び入りさせてもらったりして、個人的に楽しませてもらう事はあっても、人前で自分の至らなさをさらけ出すことはしないだろう。恥ずかしいし。 


 


こういうことは私自身も音楽をする立場である限り言っていいことのようには思わない。すべて自分を棚に上げてのことだからね。一緒に飲みに行って、こういううんちくをたれる相手もいないし、ここでぼやいているってだけです。



 

さてお次のDavid Nelson Bandこれも最前のど真ん中でかじりついてみてました。が、オーディエンスの密度が違う。少なくとも前の方はかなりがっつり入ってまして。 
相変わらずオーディエンスはかなりコアなヒッピー、つまり不気味な雰囲気 苦笑。
勝手に人の写真を撮るなっつの、本当に。アジアンがそんな珍しい? 
そうなんです、なんなんでしょうね。顔に変なものでもくっついてて面白かったのか、数人から無断で写真とられたり。そんなこと他のコンサートではないんだけどね。そんなもんとってどうすんだ。ステージの人をとれよ。 
まぁ、そんなこんなで。こういうのって結構大切なんですよ。音楽に集中できる環境をオーディエンスが作っているか否かってのは。 





どうであれ、DNBはよかったよ。もう最高ですね。昨晩はMookieがいなかったのがちょっと残念でしたが、それでもやっぱ4人の上手さ。安心してみてました。David Nelson御大の69歳の誕生日だったこともあり、ステージ上はいつもと比べると若干ほんわかムード。Mookieがいなかったこともあるけど。

最近見られた煽り合いも、昨日は実に穏やか。誕生日だからと言って特別な計らい(ケーキが出てくるとか、紙吹雪が舞うとか)が、全くなかったのがまた御大らしくていいよね。 



Happy Birthday!!とかオーディエンスが叫んだりすると、ちょっとはにかんだような表情もまた御大らしくていいよね。 
Phil Leshより3歳年下。Jerry Garciaより1歳年下、David Lindleyより1歳年上。 
長生きしてほしいよね。 
とにかく昨日はベイエリア、とても暑くて30℃以上はありました。 
しかも教会のなかは非常に暑く。人口密度の濃かったステージ前は40℃近かったのでは。 
照明が当たるステージはかなりなものだったでしょう。そんなこともあってか御大は若干歌詞を忘れがちだったというのも、ご愛嬌で。笑