確かにTalking Headsのフィルムは今聞き直してみるとほとんどBernieの独壇場だったということがわかるし、Funkadelic-Parliamentのファウンディングメンバーだというのもすごすぎる。
目玉が飛び出るほどのキャリアの持ち主であるというのは一目瞭然なのだが、伝説のあのBernie Worrellではなく、なにより今のBernieをちゃんと見ておきたかった。
Bernieが主役のショーというのはどんな感じになるのか。
Moe's Alleyに着いたのはショーの一時間前。
The Incitersという地元のソウルバンドが一時間半くらい演奏した。
ギター二人、ベース、ドラム、トランペット、トロンボーン、サックスのホーンセクションに、女性ボーカルが3人、という大所帯。
3~4分くらいのダンスナンバーを矢継ぎ早に出してくる。
トラディッショナルなブルーズ進行を色々なリズムパターンにのっけてる感じで、単純にかっこいい。
で、BWO。
バンドのページによるとそもそもこのバンドのはじまりは、2011年のアルバム"Bernie Worrell Standards"のミュージシャンをそのままに、ツアーに出たのがきっかけとのこと。
ということは2012年がほとんどKimockのサイドマンとしての仕事が多かったBernieにとっては、このバンドはほとんどニューバンドだ。
Guitar; Kyle Cadena, Andrew Kimball, Bass; Scott Hogan, Drums; Evan Taylor, Violin; Nicole Scorson, Keyboard; Bernie Worrell。
今月の初めにBWO is Landingというニューアルバムが出た。
曲はそこからが多かったと思う。
Come Together, Red Hot Mama, Take Me to the Riverも演ってくれた。
一発目の最初の音からオープニングアクトとは全く違った。
とにかくラウド。がつんと来る以上の迫力。
隙間重視の聞き慣れたサンフランシスコ/ジャムバンド系のノリとは全く違う。
バイオレントなまでにきらびやかに重ね塗りされた大盛りな音に完全にやられた。
彼の真ん前で見せてもらったが、つくづくキーボードという楽器は面白いと思う。
カシオ、Moog、クラヴィの三台。
弾き方によっては一歩間違えば伝統楽器なエレクトリックギターや、コードが弾けない管楽器、リズムは出せるけど彩りに欠ける打楽器などと違って、制限なく何でもできる。しかもシンセだと、ボタンを押すだけでどんな楽器にでもなれる。
Kimockのバンドでも、Melvin Sealsのように飽くまで伝統的なオルガンの音にこだわるKey Playerもいる。B3とレズリーがこれほど似合う人もいない。
CheeseのKyleとのコンビネーションは最高だった。funkなKeyとKimockとの相性が合った。
ZeroでのChip RolandのKeyはいつも控えめ。Kimockのサイドマン以上の事はしない。でも彼のツボを得たややjazzyなplay styleはいつ聞いても心地いい。
Pete SearsのKeyはいつもピアノという印象がある。よりJazzyでスウィングしている。それよりも彼はベーシストの顔の方が印象深い。
どうしても忘れられないのがMerl SaundersのKey。去年出たKeystoneのCDの悪意があるとしか思えないあのfunkyな音が耳にこびりついて離れない。
話を戻すとどのKeyboard playerを見ても全く違う印象を持ちがちな中、Bernieとなるともう「人間国宝」という言葉以外思い浮かばない。
キモックとのバンドでもよく見られたのだが、バンドが乗っている時に、鍵盤を叩きまくる姿。鍵盤楽器が打楽器化している。
そして、突飛にわけのわからないひん曲がった音を出すセンス。お笑いに近い。
彼以外そんな事するKeyboardistは見た事がない。
いつも彼の音を聞くたびに、笑えてきてしまうのはどういうわけか。
Strangerという彼のドキュメンタリーをみたのだが、もともとはクラシックのバックグラウンドを持っている人だったと思う。
床屋かどっかでGeorge Clintonと知り合ったんだっけか。で、よりポピュラーな音楽へ入って行った。
彼を実際に見た人なら解ると思うが、Bernieは色々なところからメロディーを引用してくる。
Kimockもインタビューの中で「Cutupが巧い」と言っていた。
キーとリズムが合ったところからスッと違う曲のメロディーを挟む。
この日もManic Depressionが、確かTake me to the Riverに入ってきた。
みな「え?」みたいな表情だったところをみると、バンドメンバーにとってはこのジャムは寝耳に水だったらしい。
色々な曲が常に同時進行で頭の中で回っているというのは、引き出しの多さの賜物だろう。
面白いなと思ったのは、Bernieがユニークな事をはじめるとバンドが静かになる。静かになるどころか全く音を出さなかったりするときすらあった。
べたべたと原色な音が重ね塗りされる時よりも、その瞬間が一番よかった。何よりBernieの音がはっきり聞ける。
まだいっても平均30そこそこにみえるバンドじゃ魑魅魍魎の域のBernieを持て余してしまうのも仕方がない。
うまい具合にバランスがとれたのがSweetwaterでのショーだった。
ゲストにTalking HeadsからJerry Harrisonと彼の娘、バイオリンにJason Crosbyを迎えた。
Moe's AlleyでBernieが全部背負わなければならなかった役割が、ゲストのおかげで分散できたようで、全く別バンドのように生き生きしていた。
大盛りは大盛りに変わりないんだけど、音のバランスが絶妙だったんだと思う。
また客もかなり入っていた。賑わっていた。セットリストもよりオーディエンスフレンドリーで、客とのつながりが感じられるものだった。
つまりニューアルバムからの新しい曲は最初数曲で、あとは誰が聞いても「あぁあの曲か」と思えるようなものばかり、
ミュージシャン達もいいショーをしようと気張った感が見えたSanta Cruzのショーと違って、全然リラックスした感じだった。
音もさすがsweetwater。全然よかった。Moe'sで感じたtoo muchな感じが全然なく、ここまで会場によってアコースティックが違ってくるかと驚いた。
07/09/2013 Bernie Worrell Orchestra @ Sweetwater Music Hall
So Uptight
BWO Is Landing
Y-Spy
Thug
She Cracked w/ Jerry
Take Me To The River w/ Jerry
Mothership Connection w/ Jason
Come Together
Life During Wartime w/ Jerry
Encore:
Red Hot Mama w/Jason
爆弾が落っこちたようなショーだった。また観に行きたい。
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