2013年9月30日月曜日

9/20 - 9/23/2013 Steve Kimock @ Fur Peace Ranch




今朝FPRにいる夢を見てとても気持ちよく目覚めた。
「そろそろ書いたら?」みたいな感じだったので、書こうかなとおもった。 


実は今回で4回目のFPR。
1回目は2010年の11月 with Steve Kimock。単純に寒かった。凍えながら外で2時過ぎまで師匠とだべっていたのを覚えている。
2回目は2012年の9月 with Steve Kimock。このときは妻、友達とともに行った。いい思い出にはなったが、正直三人連れで行くようなものではないと思った。苦笑
3回目は今年の5月 with David Lindley。もー Mr. Daveは本当にいい人。
4回目の今回。またしてもwith Steve。
Kimock からレクチャーを受けるのは実はこれで5回目になると思う。そのわりに全然ギターが上達しないのは僕がとてつもなくレイジーな証拠だろう。
2012年の1月にSweetwaterでWorkshopがあったし、さかのぼる事2008年の3月にもEurekaでのWorkshopにも出た覚えがある。
あと、これまたさかのぼる事2005年のHighsierraでも確かWorkshopがあったはずだが、これは寝坊して聞き逃した気がする。

FPRでのワークショップでしぼって言うと、3回も出ていると大体内容がかぶる部分があって、それはおそらくとてつもなく重要な事だと思うのでカヴァーするようにしている。
曰く
スケール練習
Finger Independence practice
1, 4, 5, のコード練習
これについてはどのワークショップでも口を酸っぱくして言っている。


またその基本のルーティンをベースにして毎回色々な細かでかつ興味深いトピックが出てくる。
今回は事前に「僕ラップスティール持っていくからね」とメールしておいたからか、懇切丁寧に練習法やらどういう風にこの楽器をとらえるべきか、というような事を語ってくれた。

基本的に彼のレクチャーは、具体的に曲をマスターさせるタイプのワークショップではなく、ギターというチューニングが一定でない楽器をどのようにとらえるか。
どうしたらその不安定な楽器でいい音を出せるかという理論でまずガツンとやる。
とりたてて用意したクラスという感じではなく、ふと口に出したトピックで次から次へつながっていくタイプのレクチャーで、ここまで4日間話してもタネがつきないというところが凄い。

もっとここで色々理論を紹介できたらいいのだけれど、僕も正直今現在消化中な上、当たり前な話全て英語なのでそれを慣れない日本の音楽用語に置き換えながらというのはレイジーな自分には無理です。笑 すみません。

毎回クラスごとに性格があって面白いなと思うのだけれど、今回はたったの8人という超少人数のクラス。
大体10人集まると一人はスティーブが話している時でもでかい音でギターを弾いたりするような問題児がいるものだけれど、今回のクラスはそういう意味ではいやな奴がいなくてとてもいいクラスだった。
面白いなと思ったのは、マニアックな人が多かった事。
機材にお金がかかっている金持ちが多かった。
Scott Walkerや、ArtingerのギターにRed Plate ampを持ってきていたり、Santa Cruz Guitar Companyのなんて初めて弾かせてもらってあまりの音のよさに感動した。
まぁ確かにtuitionも割高だし、そこで経済的にきつい人たちははじかれちゃうのはわかるけど、ここまでお金持ちなクラスには結構びっくりした。
いつものことだが、このクラスじゃ僕が多分一番年下だっただろう。
つまり歳をある程度とって、経済的にも十分余裕があって余暇にギターを追求しているような人たちが非常に多い。
ロックスターが乗ってツアーするようなでっかいRVでのりこんで来たえぐい人もいた。

今回は珍しいことに僕より若いデッドヘッド/ジャムバンドファンがJack Cassadyのクラスに2人いたので、3日目のstudent performanceの時に一緒にMorning Dewを演った。
Jorma, Jack, Steveというそうそうたるロックスターの前でのパフォーマンスは多分ガチガチになるんだろうなと思っていたが、案外気持ちよく楽しめた。
その後、恒例のクラス全員がステージに上がる。前の晩にさんざん盛り上がったAfro beatでジャムった。

2日目のAcoustic Hot Tuna with Steve Kimockも素晴らしかった。


First Set:
1. True Religion
2. Children Of Zion
3. Second Chances
4. Hesitation Blues
5. I See The Light
6. Mama Let Me Lay It On You with Steve Kimock
7. 10 Minutes of Steve… his wizardry
8. Barbeque King with Steve Kimock
9. Nobody Knows You When You’re Down And Out with Steve Kimock
10. Keep Your Lamps Trimmed And Burning with Steve Kimock
Second Set:
1. I See The Light
2. Candy Man
3. Things That Might Have Been
4. 99 Year Blues
5. I Am The Light Of This World
6. Ten Minutes of Steve with more musical Magic
7. Come Back Baby with Steve Kimock
8. Trouble In Mind with Steve Kimock
9. Good Shepherd with Steve Kimock
10. How Long Blues with Steve Kimock
11. Nine Pound Hammer with Steve Kimock
12. Encore: Uncle Sam Blues with Steve Kimock
このセットリストはJormaのブログからだけど、面白いのは1st set, 2nd setともに10minutes of SteveというSteveのソロスロットが入っていた事。

俺は絶対10分以上弾くのだ。

多分Steve、10分以上弾いていたと思うけど。
1st setはインド風な無国籍なインスト、2nd setは多少アメリカーナっぽいでもインド風なインスト。
この人のインストは本当に国境を越えて、ぶっ飛んで宇宙が見えるくらいの感じになる。なので面白い。エクストリーム。


ハッピーキャット、Ms. Kitty。




めでたしめでたし。


2013年9月12日木曜日

Bill Evens Soulgrass w/ Steve Kimock 09/06/2013 @ Yoshi's Oakland, 09/07/2013 @ Sweetwater, 09/09/2013 @ Kuumbwa Jazz Center




最終日最後のショーが終わって外に出るとキモックがタバコを吸っていた。
「完璧に正確なピッチ、最高だったよ」というとマジな笑顔が返ってきた。
僕は最終日スティーブのアンプから20センチのところでがっつきマジで彼の音だけを聞いていた。彼もそれを知っていた。

5月にDavid Lindleyのクラスに行って以来、ピッチマニアになった。腕のいいミュージシャンはいっぱいいるけど、正確なピッチを出せるミュージシャンはほとんどいない。
「ユー達が僕の周りを囲んでくれていたのは、本当に助けになったよ」とスティーブ。

6日間のラン。
Southern CAのSan Diego, Hermosa Beachが1日目、2日目。で中盤がベイエリア。Oakland, Mill Valley。5日目にオレゴンにほど近いArcataまで行って10時間近くドライブで6日目のSanta Cruz。
誰が計画したのか、むちゃくちゃなツアー。
その距離を日本で例えてみれば、沖縄で二日ショーをして、3日目4日目に東京、5日目に北海道まで行って、最終日に名古屋ってな感じ。


最終日のセカンドステージ、彼はステージでコーヒーを飲んでいた。おかわりを持っていくとそれも全部飲んだ。
「食べる?」とオファーしたケーキも彼はあっという間にたいらげた。スティーブは疲れていたと思う。
でも彼のピッチに全く狂いはなかった。すさまじい。笑


それにしても、なんてすごいランだったか。
凄腕のミュージシャンがステージ上に集まってプレイすると雷が落ちたみたいになる。
文字通り超ラウド。
あちこちで火花がちるような演奏で、見ているだけでとても熱い。トゥーマッチと思う瞬間もあったくらい。
あんなに音数の多いショーは本当に久しぶりだ。


このバンド編成でキモックを見るのは初めて。
というよりもBill Evansというと、かの有名なピアニストの方が先にきてしまう。
今回のBillはサックスの方。
しかもピアニストの方もこちらのサックスの方も二人とも時代こそ違えどMiles Davis Groupの一員だったという過去の経歴があったりしてややこしい。
そういえばMitch Steinも二人いる。
結構こういうのがあるのは、ファーストネームのヴァライエティーが案外限られているからかもしれない。

ところで、いつもRandy Craig's Trip、カフェトリエステで会う友達のアートも来ていた。
彼は今は録音しているかわからないが、テーパーの彼とインターミッションの時におしゃべりしてたんだけど、「Billはどちらかというと…」といってiPhoneのメモ帳を開いて。
何が書いてあったか。

「Kenny G」

爆笑。


学究ジャズ(スムースジャズともいいます)。
元々ジャズミュージシャンはブルーズやロックミュージシャンと同じように、ものすごい人生を送っている人が多かったと思うんだけど、体系として学問になってしまって。それ以来あんまり面白くなくなってしまっている。
そういうミュージシャンはちゃんと弾ける。そうちゃんと仕事ができる。
でもそういう人たちだけが集まってショーをすると芸達者な人たちだけの学芸会みたいになる。聞いていて怖くない。スムーズだから。
そういう意味でこのランはロックではなかった。セックスドラッグロックンロール、ではない。

よって会場もジャズセンターだったり、ヨシズだったりする。フィルモア、グレートアメリカン、とかじゃない。
しかもいつものように1st set, intermission, 2nd setという形式じゃなくて、early showとlate showで客の入れ替えがある。
Cornyで、しかもお高い。
そのせいかどうなのか、いつもキモック関連のショーで見かけるクレイジーなヒッピーなファン達はこぞって出社拒否な感じだった。
三つのベイエリアショーを制覇したのはケムとうちらくらいだと思う。

そういえば最近のファン事情も結構面白い。
SKBからのコアなファン達を最近見かけない。
いつもキモック関連のショーでは最前列にいたスティーブ(やっやこしいでしょ?)は去年の夏のLake Tahoeのショー後
「もうKimockはどこへも連れて行ってくれなくなった」。それ以来彼は最前列から消えた。
いつもステージ上にクリスタルを置いて、写真をとっていたジャニスも今回は見かけなかった。

ショーでキモックの音のスペースが、おそらく以前と比べると最近はかなり減ってきているのは確かだと思う。
Talking Headsのカヴァーに飽きたファンも多いはずだ。
彼自身も「Electric Guitar Flagを最近は振らないことが多いよな」とインタビューで言っていたのを覚えている。

何が言いたいかというと、そんな理由で生キモックをあきらめるのは惜しいよなー。ということ。
コンサートの中でキモックがあまりソロ弾かなくても、後ろでリズムを弾いていたり、ハーモニクスをしていたり、それがいちいち「正しい」し「興味深い」。
なのでソロが多かろうが少なかろうが彼がそこにいてギターをいじっていさえすれば、それだけで結構。
その全然スムーズじゃない、むしろ日本の伝統芸能のような一挙一動に緊張感がほとばしるような音、それが聞けるだけで僕は幸せを感じる。


どんな曲だったか。
ジャズ、ファンク、ブルーグラスベースの曲にそれぞれのソロが入る感じ。うたものも結構レパートリーの中にあった。
メンバーはBill Evans: Sax, Josh Dion: Drums, Ryan Cavanaugh: Mandrin, Dave Anderson: Bassに、ゲストとしてRailroad EarthのTim Carboneがfiddle。Jeff Pevar: Guitar。彼はCrosby Stills & Nash、Rickie Lee Jonesなど。
それにKimock。

僕が聞けたのはYoshi'sのearly show, late show, Sweetwater, Kuumbwa jazz centerのearly show, late show。
おそらく一番よかったのは、最終日のKuumbwa。陣取った位置もキモックの真下。アンプの真横30センチ。
ラッキーすぎた。

Kimockの機材はアンプはYoshi'sとSweetwaterではTwo Rocks。KuumbwaではFender Twin。
ギターはPhil and FriendsのCD"Love Will See You Through"に映っているCripe。それとScott WalkerフレットレスPhoenix。あとラップスティール。
ペダルはワウ、ミュートロン、ボスのリヴァーブ。あとあのホーンの音になるGDPペダル。
ワウは主にラップスティールと一緒。
いつもと比べ今回は超簡素な音作り。
誰かがソロを弾いている時は、ハーモニクス多用。


一日目のYoshi's Oakland。高い!! でもセカンドショーはよかった。

Jeffさん。スティーブとは全然違うタイプ。引き出しが多い。色々な音を間違いなく出せるとても器用なギタリストだなーという印象。ただ、アクションがいつも付いてくる。



2日目のSweetwaterにて。このマンドリンの人が凄かった。マンドリンの音というと、糸車がカタカタ回るような粗末なイメージしかなかったのだけど(超粗末なイメージだけど:笑)、彼の音は糸車超高速大回転という感じで、音が洪水になってる感じは圧巻だった。


2013年8月17日土曜日

8/4/2013 Jerry Day @ Jerry Garcia Amphitheater - 8/15/2013 Very Jerry @ Ashkenaz



今日8月17日。
朝、山口冨士夫さんが亡くなったことを知った。
米人兵士の喧嘩の仲裁に入ったところ、とばっちりを食らって突き飛ばされて頭を打ったと。
それにしてもすごいなー。死にざまにも生きざまが現れている。

冨士夫さんの普段の人となりは実際には知らない。なので音でのみ知る人だった。
でも、さんざん聞いた彼の音楽からこちらが勝手にくみとってしまったヴァイブのようなものがある。
音がモノを言って、それを信じてもう20年近く。
彼のギターの音のおかげで、こちらの人生が大幅にブレた。笑

でも冨士夫さんと自分との間には向こうからこっちへの一方通行な関係であったかというと、そうではなかったと信じている。
僕のようなやつが自分の音楽をどこかで楽しんでいるのを彼は知っていたとはずだし、また知ることができるような深い人だったと思う。
そういう意味では実際に会ったりできずとも、コミュニケーションは十分とれているわけで、同じ時代に同じ空気を吸えたということ自体が幸せだったというべきかもしれない。

音に対して感情のレベルで向き合うこと。
それは僕にとっては「祈り」のようなものだ。
それほどシリアスなものでもないけど。
いまいちど、こころを空っぽにして静かに冨士夫さんのギターを聞いてみる。
なにが見えてくるか?どんな気持ちになるか?
言葉を交さずとも、音でコミュニケーションができるってのは素晴らしいなーと思う。
むしろ音から伝わることってのは言葉で伝わることより多い。

冨士夫さんが生きていようが亡くなろうが、彼のヴァイブはいつまでたっても僕の中で生き続ける。
お疲れさまでした。ありがとう、冨士夫さん。
合掌。



昔職場の同僚に、「うちはジェリーガルシアを祭壇にかざって祀ってるんですよ」と言って、眉をしかめられたことがある。
なんら不思議なことでもないようにも思うが、「ジェリー祭壇」こそないにしろキモックの写真が壁にかけてかざってあったりする。
デッドヘッズの家に行くとたいていジェリーの写真の他にもデッドのメンバーの写真、コンサートポスターがあちこちにかけてあることが多い。
なぜか?
グッドヴァイブを感じていたいから。

ジェリーの誕生日の8月1日と命日の9日の間の9日間は、Days Betweenと言われているらしい。
good vibeを感じていたいデッドヘッズ達にとっては特別な9日間で、サンフランシスコ周辺ではジェリー関連のイベントが毎晩あちこちで催される。
みんなJerryを未だにとても強く想っているのを一年の間で一番強く感じるのが、この時期。

毎年Jerry Dayはサンフランシスコはかなり南、デイリーシティーに近い丘の上にあるJerry Garcia Amphitheaterで開かれる。
Facebookで知ったのだが、最近ジェリーガルシア アンフィシアターがLavitte Pavilionという名前に変わるというので反対運動が起こっている。
そりゃ無理もない。どうなるんだろう…


とにかく今年のJerry DayはメンツがGarrin Benfield, Lonesome Locomotive, Stu Allen & the Mars Hotel, Melvin Seals and JGB。
いつも通り無料。
会場はかなり不便な場所にあるにも関わらず、"We are Everywhere" デッドヘッズ達が大量に集った。
<iframe width="560" height="315" src="//www.youtube.com/embed/D7D_Vtk0nIc" frameborder="0" allowfullscreen></iframe>
これも多くの人のジェリーへの想いへの結実の証拠だ。
フリーのイベントで、なにも特別にカネが絡んでもいない。集まりたい人だけが集まる。
それだけの磁力がジェリーにはいまだにある。


自分が見ることができたのは結局Melvinのバンドだけなのだけれど、Jerryのヴァイブがそこにはあった。
誰もが彼の音楽を楽しんでいた、それは彼がもうこの世に存在しないという事実は関係がない。
彼の音楽そこにあり、ジェリーのスピリットがこれだけ多くの人々の中に息づいている。
楽しいことが大好きで、楽しむためならなんでもするようなクレイジーな人たち。


ちょうどお盆の15日にはAshkenazでVery Jerry 3が開かれた。
Ashkenazのベネフィット。
先日書いたこの全く無愛想なノンプロフィットの会場のベネフィット。
色々なミュージシャンがジェリー、グレイトフルデッド関係の曲を演奏する。
集まったミュージシャンは僕が知ってたのはDavid Nelson, Henry Kaiser, John Crosby, David Gans。
今見てみたらFacebookにDavid Gansがセットリストをのせていたので、それをここにもはらせてもらいます。

HOUSE BAND:
Joshua Raoul Brody - keyboards
Steve Kirk - guitar
Dave Jess - bass
Eddie Berman - drums

David Gans
Terrapin->
Attics of My Life
Row Jimmy

Sycamore Slough String Band:
Shakedown Street->
Promised Land
Ship of Fools
New Speedway Boogie

Jason Crosby w/ Sycamore Slough String Band:
Lazy River Road
Dire Wolf

Joe Burke:
Iko Iko

David Nelson:
Oh Babe It Ain’t No Lie
Friend of the Devil->
The Wheel

Henry Kaiser w/ Shawn Persinger
West LA Fadeaway
Nobody’s Fault But Mine
Viola Lee->Clementine->Viola Lee

Bob Bralove
He's Gone

Jeff Pehrson w/ Matt Twain, Mike Sugar
Friend of the Devil
Deep Elem Blues
When Push Comes to Shove

James Nash
So What
Willie and the Hand Jive
Scarlet Begonias

J Raoul Brody
Edward (The Mad Shirt Grinder)
Deal

Jenny Kerr and Phil Milner
Casey Jones
I Know You Rider

Finale:
US Blues


結構遅い時間までいたとおもってたけど、僕がいたのはPromised Land - Viola Leeまでだから、このイベントおそーくまで続いたみたいです。
どのバンドも企画もので肩の力が抜けたリラックスした感じの演奏。
がっつり完璧な演奏を聞かせてもらうのもいいけど、こういうのがあってもいいなー。
こちらもリラックスして聞いていられるので。
いいなーと思ったのは、Jason CrosbyのLazy River Road。テクニカルディフィカルティか彼のギターの音が聞こえにくかったけど。
いい声でした。それぞれの曲のよさを伝えるにはこう演奏すればよい、っていうのを知っている人です。巧いか下手かというレベルをこえて。

今年のJerry関連のイベントはこれまで。

2013年7月31日水曜日

07/30/2013 Randy Craig's Trip @ Cafe Trieste


毎月最終週の火曜日。おなじみのこのカフェでのギグ。
毎回おなじみの曲を演奏してくれるんだけど、やっぱり楽しい。
レパートリーはジャズスタンダードとRandyさんのオリジナル曲。

Randy Craigさんはすごい。
ピアニストとしての腕も確かなのだけども、このオリジナルがとてもいい。
インスタントにクラシックになるような、深みがあってとても趣味がいい。

どういう人なんだろうと思って調べてみると、この人もともとはサンフランシスコ マイムトゥループ(Mime Troupe)出身のミュージシャン/ アクター。
Wikiによるとマイムトゥループはサンフランシスコ周辺のあちこちの公園で毎年無料で政治風刺の演劇をする集団。
http://www.sfmt.org/index.php
1959年にR. G. Davisという人によって創設され、メンバーの中には若きBill Grahamも在籍した。
マイムトゥループと60年代のヒッピーのムーブメントはとても密接な関わりがあったというのをどこかの本で読んだ気がする。
いつかRandyさんに当時の事を聞いてみたいなー。

Randy Craig, piano
Terry Haggerty, guitar
Mark Petrella, bass
Peter Tucker, drums
Danielle Thys and Katie Guthorn, vocals

2013年7月29日月曜日

07/28/2013 The Terrapin Family Band w/ Bill Kirchen @ Terrapin Crossroads

最近Terrapin Crossroadsは日曜日はほとんど毎週12時半からサンデーブランチで、The Terrapin Family Bandが演奏しているようだ。 
普通にランチって言ってもいい時間だけど、ブランチ(ブレックファスト+ランチ)ってのは、面白い。
土曜の夜に「ワンモアサタデーナイト」だった人達には、ちょうどいい感じに目が覚めはじめる頃だからか。。。 
Bob WeirのSweetwaterも同じ事をやっている。 

元Commander CodyのBill Kirchenがゲストで面白いなと思って、大遅刻はしましたが行ってきました。 



Terrapin Family BandというのはPhilの息子、Brian(Mandolin, Guitar, Vocal)とGrahame(Guitar, Vocal)の二人を中心としたTerrapin Crossroadsのハウスバンド。 
たまーにお父さんも一緒に演奏する。 
この息子二人のボーカルハーモニーが実にいい。多分まだ学生さんだと思うが、偉大なお父さんのおかげでミュージシャンとして恵まれた環境にあると思う。 
ちなみに二人の顔はそっくりで見分けがつきません。 
どうであれ事前にPhilが演奏するというアナウンスがない限り、たとえPhilがジョインしたとしても、タダでいい演奏を聴かせてくれる。 
もちろん何かオーダーすればお金はかかるけど。 
何もオーダーしなくても何も言われない。ほとんどはそういう客ばかり。 

どんな曲を演奏してただろう。Bob Dylan, Neil Young, Grateful Deadあたりのカバー。 
あとオリジナルも数曲 

今回はBill Kirchenがゲスト。 
骨太なカントリー、ロカビリーテレキャス。 
かっこよかったねー。 
気難しそうな白髪のやせたおじいさんだけど、音に狂いは1ミリもなかったです。 
テレキャスの教科書のようなサウンド、一点の歪みもないクリアーでパッリパリなサウンド。 
「次はこれやるけど」っていうフィルの息子に、「あぁ、なんでもいいよ」って答えるBill。かっこよかったなー。 


Fur Peace Ranchで何人もの人がBill Kirchenを絶賛していて、どんな音を出す人だろうと思っていたけど、ほとんどイメージどおりの人でした。 
一直線で美しい竹を割ったかのような、そんな音でした。

07/20/2013 Zigaboo Modeliste, Tea Leaf Green @ New Parish

人間国宝ドラマーZigabooのギグ。 
相変わらず最高。 


 


 ステージ上のミュージシャンが全員うまいっていうのは、安心して聞いていられて本当に気持ちがいいです。 
メンバーは以前と変わらず。 
 

Zigaboo Modelisteは言わずと知れたThe Metersのオリジナルドラマー。 
The MetersのオリジナルメンバーはArt Neville, George Porter Jr, Leo Nocentelli, Zigaboo Modelisteというニューオリーンズ出の鉄壁のリズム4人組。 
1965年に結成で、Zigabooは1948年生まれだから、バンド結成時彼は16、17歳だったことになる。 
10代の若者があのCissy Stratの唯一無二なグルーブをたたきだしていたとは...まったく脅威としか言いようがない。 
この前も久しぶりにMetersの古いアルバムを聞いたんだけど、Leoの独特な空気感のギターと、Zigabooの変なところでスネアが入るドラムは、未だに際立ってユニークだと思った。 
ショーでこのリズムを聴くと、一気に雰囲気が「祝祭モード」になる。 

Oakland在住のZigabooさん。New Orleansから遠く離れても、あの祝祭リズムに衰えは全くない。 


これ、すごくいいビデオだなー。 
ドラマーじゃないけどこれ欲しい。。。 


Tea Leaf Green。 
8年くらい前に一度Fillmoreで見たときは、なんかアイドルジャムバンドみたいな感じで、恐ろしく軽くて全然好きだと思わなかった。 
2005年にSKBが散けて、ベースのReed MathisがTea Leaf Greenに入ったと言う噂を聞いた。 
ReedとJacob Fred Jass Odyssey は2006年にハイシエラで見た。素晴らしかったが、追っかけるまではいかず。 
今回はその時ぶり。 

オリジナルばかりで1セット、約2時間のステージ。 
Tea Leaf Greenはとても良かった。 

見ていたのはBassのReedとKeyboardのTrevor Garrod。 
Reedはやっぱりすごい。 
 
ベースなのだけど、普通なバンドのいわゆる「ベース」としては全然機能しておらず、ギターのようにメロディーを紡ぐ楽器としてファンクションしているのがGrateful DeadのPhilの立ち位置と似ている。 
彼はもとはギタリストじゃなかったかなと思う。シンセベースで高音でソロを弾くのもギタリストの名残っぽい。 
 
あと先月Everyone OrchestraでもプレイしていたTrevor Garrodがとてもいい仕事をしていた。 
こなれた感じで、グイグイと曲、客ともに引っぱっていく感じが単純にすごいなと思った。 
Wikiによるとこの二人はオリジナルメンバーではないとの事なので、いい意味でここ数年で化けてきたんだと思う。 


メンバーの歳のせいもあるだろうけど、変にユニークに感じられた。 
ルーツの匂いがとても薄い。 
リスペクトがないというのではなく、ルーツを完全に消化し、それを彼ら自身の言語でして表現している感じ。 
普段ほとんどが平均すると60歳以上のミュージシャン達を見てばかりいるせいだろうか… なんか軽く感じた。 
おもしろいなーと思った。僕の耳が歳をとっているんだろう。

07/14/2013 Linda Imperial Band @ The San Rafael Elks Club

オープニングアクトとして、David Gans。
器用な人だ。








KPFAというベイエリアのラジオ局で水曜8時からDead to the Worldという番組がある。
http://www.kpfa.org/archive/show/80

そのラジオのDJがこのデイヴィッドガンズ。色々と昔からデッド研究家みたいな顔で知られてきているようだが、こちらで今David Gansは?と聞かれるとたいていの人はSycamore Slough String Bandの人か、Dead to the Worldの人と答えると思う。
何度も彼のソロギグを見たが、デッドのいいジャムの部分を抽出したようなジャムをルーパーを使って器用にこなす素晴らしいミュージシャンだと思う。
あなたがデッドマニアならにやりとできると思う。
見た目からして研究肌な感じの人なので、ワイルドなデッドファンには単に「オタクな人」で終わってしまいそうな感じもあるが...
振り幅の激しいデッドファンの中でもとてもいい立ち位置にいる人だと思う。ラッキーな。


今回のLinda Imperial Bandはその名の通りLinda Imperial(元Jefferson Starship)のバンドで、夫のDavid Freibergも一緒のステージだった。
サウンドとステージ周りをやっているトーマスが見に来ないかと言うので、行ってきた。
全く知らないバンドだったが、とても楽しかった。
ブルーズを基調としたオリジナルに、QuicksilverのFresh Air, Pride of Man。Jefferson StarshipのJane、Grateful DeadからLoser等のカバー。

とても良かったのだけど、その日はとても暑かった。
しかも会場がSan Rafaelのフラタニティー施設の中庭で、正直「ロックショー」を見るにはとりわけ最低な環境だった。
フラタニティーはロータリークラブのようなゆるーい同人会みたいなもので、こっちの大学にはつきもの。
この会場のフラタニティーがどのようなものかは興味がないしわかりかねるが、まぁはっきりいってクールではない。
とても白人白人したなかで、しかも炎天下。噴水があるが、なんかヨーロッパ調の彫刻みたいなのが施してあって、意味もなく腹が立った。笑
そこそこ裕福な元ヒッピー達の生ぬるい同窓会みたいな感じで、ステージが熱いわりに客は寒かった。バンドは暑い中、本当によく頑張っていた。


最後の曲Janeで圧倒的な声量を見せたDavid Freiberg。
Quicksilver Messenger Serviceではベーシストとして立ち上げからメンバーで、72年には補強ボーカルみたいな形でJefferson Airplaneに参加、Jefferson Starshipにも付き添った。あとMicky HartやRobert HunterなどGrateful Deadのメンバーのレコーディングにも参加している。
彼の顔を最初に見たのは、5-6年前、サンフランシスコはマーケットストリートの先っぽ、ジャスティンハーマンプラザでのJefferson Starshipのショー。
野外フリーショー。
人のよさそうな、くりんくりんな白髪のでっぷりとしたおじさん。
タンバリンを持って歌っていた。
眼鏡の奥に見える眼もくりんくりん。
人がいいのは解るのだが一言声をかけるのに若干勇気がいる顔をしているJormaや、としをめしても相変わらずシャープな雰囲気漂うJackなどと比べて、いかにもヒッピーハッピー感がにじみ出ている。

2009年はサマーオブラブ40周年で、この年ほどDavidの顔をよく見た年はなかった。
どこへ行ってもいるのだ。
Quicksilver、Jefferson Airplaneというサンフランシスコサウンドの二大巨頭にいたというのは、そういうこと。
どこへ行ってもタンバリンを持って、たまにアコースティックギターかきならし、ステージにいる。
そしてどちらのバンドでも2~3番手。スターは他にいるのだ。
いつも一挙一動見られているスターではなく、ほんの数曲でガッと腕を見せて客のアテンションを一瞬で独占する。
今になってはマイナーっちゃマイナーな存在ではあるが、この人なくしてこのシーンは歯抜けも同然だったんだろうなー

個人的には、正直今回Linda Imperial Bandを見るまではよく解らなかった。
タンブリンをもってコーラスする人の良さそうないかにもオールドヒッピーを体現しているような存在。
ギターもコードそのままかき鳴らすような感じで、びっくりするような事はしない。
バンドメンバーとしていなければならないけど、がっつきで見た事はなかった。


声、声量。
どちらかと言うと、大げさに言うとオペラのように底から出てくる声。
あまりロックのシーンで聞かれる声ではないように思う。特徴はその太さ。
Janeで前に出てきた時に大いに一人でガッテンしてしまった。圧倒的だった。
このDavidさんは、声が武器だった。

リンダインペリアルバンドまた見に行きたい。