2014年10月12日日曜日

10/11,12/2014 Everyone Orchestra @ Sweet Water Music Hall, Mill Valley, CA

ひっさしぶりのKimock show。
今回の二日間の固定メンバーはMatt Butler: Conductor, Steve Kimock: Guitar, Reed Mathis: Bass, Steve Molitz: Key, Sunshine Becker: Vocal。
そこにゲストが加わるという形。

一日目のドラマーは Greg Anton, ギターとしてALOのLebo。それにCatlinaの時にLauren Murphyがボーカルとして加わった。
EOはいつもかなりストリクトに即興しかしないのだが、彼らにしては珍しくカチッとした曲を3曲やった。
Greggs Egg, Home on the Range, Catalina。つまり一日目のコンセプトはZero。
若干昔と変わったこれらの曲を聴いて、2年前のGreat AmericanでのJudge 復帰ショーを思い出した。
あの時はまさかJudgeがわずか数年後に亡き人になるとは思いもしなかった。
最後にJudgeを見たのはLazy Summer Dazeでだ。
夏のキャンプフェスティバルとはいえ、北カリフォルニアの奥の奥。山の中はむちゃくちゃ冷え込んだ。
そこにダッフルジャケットを着込んだJudgeとLaurenが白い息を吐きながら、Zeroと一緒にステージにいた。
肝移植後ということだったが、全く回復に向かっているようには見えず、誰にも言わなかったが「多分彼を見るのはこれが最後だ」という変な直感があった。
年を重ねるごとに一年一年があっという間に過ぎるようになってきて、相変わらずの毎日をぼーっと過ごしている自分にとって2年なんてあっという間だったが、人の生き死にとか子供の成長なんかをその上に置いてみると、実は2年という時間はとてもでかいらしい。
ぼーっとしている自分の日常にも、身の周りに人が来て、去り、あっちいって、こっち来て、みたいな細かな変化があり、それにつれて自分にもアップダウンがあり、というこういった事が日々続いているけど、昔ほどそれを生々しく感じられなくなってきているのはいい感じで日常をスルーするのが上手になったからなのか。
慣れて来ているのか?生きることに。
ある程度スルーしなきゃしんどくなるからってのもある。


二日目はMars Hotel, 元JGBのStu Allenが加わったことでまた全然一日目と違う趣。
昔FurthurにいたJay Laneがドラムで、それと最近どこにでもいる印象のFurthurコーラスのSunshine Beckerがいる、更にはDeadカヴァーバンドのMars Hotel, JGBで活躍のStuがいることからか、日曜日のコンセプトはGrateful Dead。
しかも、よりギターへヴィーな感じ。
出だしをトチって仕切り直しというアクシデントがあったものの、T SistersのAttics of my Lifeの合唱は素晴らしかった。
あと途中でラッパーの人も出て来た、これがとても気持ちよかった。
名前を全然覚えていないのが残念だが、「Jerryがここにいる事を感じる」というようなサビだった。
文字にすると何とも...な感じなのだが、かなりこの声が気持ちよくて参った。
無秩序に色々なものがあって混沌としていたが、こんな気持ちいいショーは久しぶりだった。
Stu AllenのJerryオタな音とKimockの音を比べることが出来たのも光栄だった。
目を閉じるとあたかもJerryとKimockが共演しているような錯覚を受けた。
しかもラストはShakedown Street。

二日間とも今までとくらべ即興度が低いという意味で、一年前のペタルマでのエブリワンオーケストラと全く違う印象を受けた。
飽くまで企画モノというよりも、もっとエンターテイメント性があった。
指揮者のMattよりもKimockの方が目立って活躍していた。そもそも曲をやる時はMattが要らない。

2014年8月30日土曜日

08/27/2014 Terrapin Family Band, 08/30/2014 Telstar @ Terrapin Crossroads, San Rafael, CA

先週全く趣旨は同じだけど全く趣の異なる二つのショーを見た。
趣旨はフィルレッシュ先生による若手育成。
60年代から70年代のデッドをナマで体験していない若手ミュージシャンとDeadというスコープを覗きつつ何か新しいものを探る。
Jerryの時代のデッド追体験したいお客やには、100ドル払ってもらってFurthurやRatdogに行ってもらう。
Kimockなどデッドと一緒に空気を吸って育ってきた一流ミュージシャンが完璧な夢を見させてくれますよ、という訳だ。
フィルはTerrapin Family Bandではお金を取らないし、Telestarは$18だ。
飽くまで発展途上や実験を見せる訳だからお金をとれないというのは、とても粋な心意気のように思う。

Terrapin Family Bandのショーでは、フィルの新しいAlembicのベースが途中でチューニングがおかしくなったし、間違いなくまだ100%覚えていないだろう曲もやっていた。
先も言ったジェリーとデッドとナマで体験していない若手ミュージシャンは、本当にいい意味でも悪い意味でもフレッシュさ丸出しで、「んー」ということを平気でしちゃったりもする。
でも全然いいのだ。
フィルがそこにいて2時間もの間演奏してくれる、それだけで大満足。
聞き慣れない曲が多いのでオリジナルかなと思っていたらカヴァーが結構多いようだった。
以下セットリストはGraham Leshのページ(http://grahamelesh.com)から。
The band: Grahame Lesh (guitar/vocals), Ross James (guitar/vocals), Alex Koford (drums/vocals), & Phil Lesh (bass/vocals).
Bird Song – PL
Machine Gun Kelly* (Danny Kortchmar cover) – AK
It’s Good to be King (Tom Petty cover) – GL
Brotherly Love (RJ original) – RJ
Taken At All* (Graham Nash/David Crosby cover) – AK
The Wheel – All >
Dignity (Bob Dylan cover) – RJ
He’s Gone – GL
Atlantic City (Bruce Springsteen cover) – AK
Lay of the Sunflower* (Warren Haynes/Robert Hunter cover) – GL
Sunshine of your Love* (Cream cover) – RJ
Find A Way (GL/Midnight North original) – GL >
Cumberland – ALL
Box Of Rain – PL
*1st time played!
なーるほどネタおろしがここまであったら、けっこうちぐはぐするのも当たり前っちゃ当たり前か。
でも全然楽しめました。ありがとうございました。と言いたい。

自分がステージ横から撮ったぼやぼや真っ暗な動画を三つどうぞ。
音だけでも楽しんでいただけたら。

Box of Rain
He's Gone


Sunshine of Your Love



TelstarとなるとFamily Bandより多分10歳〜年をとったミュージシャンが出てくる。
ALOのLebo, Jason Crosby Scott Law, Alex Koford, Russ James、そしてPhilという。
彼らが完全インプロでスペースをやる。
それが凄まじい。
色々なところでデッドの曲の一節が出てくるのが、嬉しい。みんなそれをちょくちょく待っている。
Cumberland Blues, They Love Each Otherなどなど。
前見た時と比べるとこじんまりとまとまって、暴れなかったなーという感じ。
フィードバックがなかったのがちょっと残念だったというだけ。

それにしても、こういうのを見せつけられるとミュージシャンの層の厚みを感じる。
みんなきっちーんとわかったこと弾くし、ソロを突然ふられても慌てることなくソツなくちゃんとこなす。
オーディエンスのツボをちゃんと抑えてのことなので、本当に感心してしまう。
どれほど練習してるんだろうと。

2014年8月25日月曜日

08/23/2014 Lee Scratch Perry @ Mystic Theater, Petaluma, CA


レゲエには逆らえない。
ライブで聞くとわかるあの地鳴りのような重低音の快感。
内臓のマッサージ。
しかもそれがあのレイドバックしたリズムでくるとたまらない。

リー大先生はいつもキング。
そりゃそうだろう、レゲエの歴史なのだもの。
ボブマーリーをプロデュースしたようなお人だ。
何をやっても許されなければならない人。

いつ頃からか聞いていた。
97年のフジロック2日目で初遭遇のはずだったのだが、雨で中止になってしまって、それから17年の月日が経ちようやくお初にお目にかかれた。
チケを取っておらずまだ残ってるかなと心配に思って会場に着いたところ難なくチケゲット。
ドア8時の割りには全く人が集まっておらず、9時になっても会場にはちらほらしか客が来てない。
ちょうど9時を過ぎたあたりで、会場の真っ正面の入り口からスクラッチの御大参上。
CDが付いていたりハイレセラシエとか、デコレーションされまくった真っ赤のラゲッジを手に、ピカピカな帽子にオレンジ色のヒゲで余裕の表情。
テクテクと会場内を群衆にやや囲まれながらも控え室の方へ向かって消えていった。
御大は歩きたい場所を好きなように歩くのだ。
髪の毛の色は自分の好きな色に染めるのだ。

9時からDJのSubatomic sound systemがはじまり。
10時頃にベースとコンゴがDJに加わり、Lee先生が来ますとDJがアナウンスした。
ステージに向かうと、まずけむりモコモコのお盆がステージの真っ正面に置かれた。
無数のマグチャンパがバナナとかオレンジなど果物に刺さって燃えている。
誕生日ケーキのろうそくのような感じで。

とにかく周り一体が煙たくなるほどもこもこのなかで、先の真っ赤のラゲッジがステージの真ん中に置かれたくらいで、リー御大がようやっと登場。

手にはくしゃくしゃのセットリスト、マイク、ライター。
ピカピカの帽子、銀河系がプリントされた上下、それに細かいテカテカがいっぱいついたズボン下。それから真っ赤なバスケットシューズにも色々なんだかんだ鏡だとか貝殻だとかがくっついている。
マイクにも何かわけのわからないものがガムテープでぐるぐる巻きされている。
そういう、色々なひかりものがいっぱいはりついた御大が出てきた。
神々しい。
あんなに陽気でエキセントリックな神はこの人しかいないだろう。

「ジャンプ」
「手をあげて」
「頭をシェイク」
御大が出したコマンドの一例だ。
オーディエンスは御大の言う通りに動く。
みんなニコニコでノリノリ。
気がついたらまわりは人でいっぱいになっていた。


客の一人がライターに火をつけステージにかざすと、リーさんもライターに火をつけ客の火と炎がひとつになる。
ソウルファイヤー
僕もライターをかざしてみたところ、御大スキップのような足取りでこっちにきて、炎がひとつになった。
ソウルファイヤー

むちゃくちゃにかわいく優しい。
御大は御年78歳。
で。
ぴょんと飛ぶ。
靴のひもがゆるんだ。
そうするとリーさんひもをほどく、すっとオーディエンスの前にだすと、女の子が御大の為にひもを御大の為に結ぶ。
ロックスターだ。




で月曜日の8/25は彼とJillie Fressinierという女性アーティストのコラボレーションアートショーがバークレーはアシュビー近くのFirehouse arts event hangerという場所であるという。
その名もLightning Flash。


がらんとしたスペースにステージらしきものの上に彼らが王冠かぶって座っている。



彼のアートやら様々は学生時代quick japanという雑誌ではじめてみたように思う。
やはりピカピカなのだ。
蛍光色、カットアップ、宇宙人を多用することくらいが特徴か。
あと、何だかゴム製の昆虫のおもちゃなんかも張り付いている。
それらが$150-$250くらいの値段で売られている。
暇になるとLee御大はステージから降りてきて既に値段がついているそれらの絵に、「Love」などと描き加えたりしている。
彼のアートは常に進行形らしい。
思ったより人が入っていないことがちょっと不思議だったが、リー先生はそんなこと気にするような様子は一切なく。
キングは何事があっても動揺しないようだ。
とてもがっつりとロックスターっぽいのだが、全体としてサラっとした印象を受けた。
彼のアートやコスチュームからゴテゴテした人なのかなと思っていたが、思いのほかサラッとしていた。
たたずまい、存在感がサラッとしている。
エゴが全然無駄に太っていない感じがした。いばった嫌らしい雰囲気が一切ない。
やりたいことはわかっていて自分がどこにいるかもわかっているから、余裕なのか。
飲み心地が最高にさっぱりしたビールを飲んだようだった。

以下は飾られていた全作品。貧乏で一つも買えなかったのが痛恨。お金はなきゃいかんなーと思った。





















2014年8月14日木曜日

08/14/2014 Michael Franti and spearhead @ Infiniti Loop, Cupertino, CA

アップルで働きはじめて2ヶ月になる。
4月仕事がなくてにっちもさっちもいかず困っているところにエージェンシーから電話がかかってきた。
「コントラクターとし働くか。今すぐでも働ける?」
からっけつでどうしてもお金が要るので飛びついた。どこで働くの?と聞くとクパティーノという。
サウスベイだ。住んでいるイーストベイからとばしても1時間はかかる。
無理。と断ろうとしたら、シャトルバスがバークレーからでてるけどそれでもダメ?と食い下がられる。
え、シャトルバスでクパティーノってApple?と聞くと「Yes」という。
あーそうなんだ。
シリコンバレーのハイテク企業はシャトルバスでサンフランシスコ、バークレーから通勤送迎している会社が多いと聞いていた。

で、なんかよくわからないうちにAppleで働きはじめた。
全く儲かるような仕事ではないのだけれど、経験としてAppleを見ておきたかった。
働きはじめてかれこれ2ヶ月経つが、現時点でこの会社の印象を言わせてもらえれば。
いい加減。
大学のような雰囲気。仕事が遊びのようだ。(飽くまでコントラクターの立場からの物言いだけど)
仕事ではとてつもなく個人主義秘密主義であるが、仕事を出るとうってかわってバディーズ(親友)みたいになる。
何か人と人との関係に特殊なルールのようなのがあるようでちょっと馴染みにくく感じる。
今まで働いてきたどの会社とも違う雰囲気なので戸惑っている。
でもいいところもいっぱいあって、カフェテリアのサンドイッチが安い上に美味い。特に大豆オイルを使ったマヨネーズが最高。
シャトルバスがあるので、ガス代が浮く。
気が向かん時には仕事しなくても、オーケー、みたい。少なくともそれに対して誰も文句を言わない。(やる気がある時に最大限やるというアティテュード)
人間関係に全然気を使わなくていい。
それに色々なタダのイベントがある。

今週の金曜日にBeer Bashがあるという告知が突然あった。
先週の金曜日もあったのにまたかい!
もちろんタダです。
おーと思っていたところに畳み掛けるように!金曜日になって同僚が「なんかライブもあるらしいで」という。
どーせしょーもないのがくるんだろと思って、「だれ?」と聞くと
「マイケルフランティ?」
「えーーーーーーーーー!!!!!!!絶対行く」
一事が万事こんな調子なのだ、Appleに勤めはじめてから。

という訳で、Apple campusの核infiniti loopにいくと、かなりもう盛り上がっていた。
当のマイケル曰く
「いやー先週の日曜日ティムから電話がかかってきて、ショーをやってくれないかッつうことだったんだけど、最初はうーんッて感じだったんだけど、diversityのcelebrationだってことってきいたから、駆けつけた」
いやーなるほど。
突然のギグだった訳です。
アイスバケットチャレンジ。まずマイケルが氷水を浴びた後、彼がティムクックを指名。
ティムも氷水を浴びることに。


社長の罰ゲームを見て大盛り上がりの酔っぱらったナード達。
バラエティ番組かい!

。。。にしてもだ、あんなに安全なショーは見たことないぞ。
従業員がみんな若いせいか、それともMichael Frantiを知らないせいか、ノリがとてもかわいい。
去年の年末のsweetwaterのキモックのショーの殺気じみたようなブリブリな狂気感ゼロ。
若い子達が程よくビール飲んで酔っぱらって、手を挙げてぴょんぴょんはねたり、きゃぴきゃぴ踊ったりしていた。
マイケルも彼らを完全に手玉にとって遊んでる感じで、オーディエンスの中に入ってきたり、彼らをステージに上げたり。
逆にこのとても素人じみたピチピチオーディエンス相手にあそこまで盛り上げることの出来るマイケルさんのプロフェッショナルさに感銘。
2時間1セットのあつーいショーは大盛り上がりのうちに幕を閉じた。

2014年5月30日金曜日

05/30/2014 Zigaboo Modeliste @ 19 Broadway, Fairfax, CA

久しぶりのライブミュージック。
週一のペースでショーを見に行っていた時はそれ程感じた事はなかったが、改めて「音がでかいな」と感じた。
この身体で感じる音圧のためにフェアファックスくんだりまで車を飛ばす。

アメリカでの音楽の聖地としてパッと思いつくままにいうと、サンフランシスコ、LA、ニューヨーク、そしてニューオリーンズ。
もちろん他にも挙げていけばキリはないが、最近はニューオリーンズがとても個人的に気になっている。
Dr.Johnを見て以来意識するようになった。
キモックのギターワークショップの時も、ここまでしつこく説明するかというくらいに、熱くクラベのリズムの事を説明していた。
リンドレーも彼のシグニチャーともいえるリズムパターンのひとつはプロフェッサーロングヘアーからのものだと言っていた。
あのとてもファンクショナルなリズム。色々な名曲がある。
Grateful Deadでも、Not Fadeaway, Hey Pokey way, Iko Iko, Woman smarterなんかはあのクラベのリズム。
結構コード進行的には1-4-5の型にハマってしまうことが多いのでCDなんかで静かに鑑賞するには退屈なタイプの曲かもしれないが、不思議なことにショーで聞くとあれほど煽られるリズムはない。
身体がうずくというか、自然に動き出す。
なぜだかわからない。それが故に魅力的なのかもしれない。

Meters- Zigabooもそのニューオーリンズのど真ん中にいた人。
「祖」のリズムはやはりいつもやっている事はそれ程変わらないが、ただものではないという事だけはわかる。
今回はセットの中に長髪博士のBIg Chiefが入っていてとても嬉しかった。
メンバーはいつもに加えてひとりギタリストが入っていた。
名前は忘れた。
でも、とても上手でしかも前へ出るタイプの人だったので、クリスのギターがほとんど聞けなくてちょと残念といえば残念だったが、ただ久しぶりにショーに行けたのが嬉しかった。

2014年4月20日日曜日

April/ 2014 Television Japan Tour

Television 
4/16/2014 @ Club Upset, Ikeshita, Japan
4/18/2014 @ Hatsudai Doors, Hatsudai, Japan
Tom Verlaine and Jimmy Rip
4/20/2014 @ Koenji High, Koenji, Japan

テレヴィジョン。
なんておかしな名前のバンドなんだろう。
アメリカではテレビのことはTV(ティーヴィー)ということが多いしように思うし、日本でもテレビ。
テレヴィジョンという言葉自体アナクロな響きになってしまっている今日この頃。

このバンドとであったのはいつ頃かははっきり覚えていないが、ちょうど中学終わりのころだったように思う。
同じマンションに住んでいるロックな知り合いにカセットテープを貸してもらった。
それがMarquee Moonというアルバムだった。
同じ時に確かNina Hargen、Patti SmithのEaster、Canなんかも貸してもらっていたと思う。
全てに反応したが、とりわけ訳が分かんないままハマりまくったのがTelevisionだった。
Marquee MoonというCDを買いに走り、そしてどうやら不評だったらしいAdventure(1978)も聞いた。
ちなみに人はこのアルバムに何が不満なのか未だにわからないでいる。
Marquee Moonに比べて緊張感がない?ばかいえ。緊張感しかねぇじゃねぇか。
さらに1994年発表の再結成テレヴィジョン不評の3rdアルバム。これがまたとんでもない傑作。
This Tuneって曲を聴いてみな。
1880 or so、聞いてみろ。
凡百の不満吐き出したいだけのパンクバンドとは訳が違うわ。

ここにテレヴィジョンの違いがある。
まさによく言われる「パンク」ではないのだ。
ませすぎていたんだと思う。
若かったわりにはしっかりした(伝統的な)ミュージシャンシップが身に付いていた。
具体的に言えば、「音にメッセージをのせる、何かを伝える」だとか、さらに愚かにも「流行に合う音楽を」だとか、彼らはそういうレベルで音楽をとらえていなかった。
音楽を純粋に音ととらえて、音のマジックを楽しんでいたはず。
若者の不平不満を音にのせて吐き出すことに終止し続けた70年代の「パンクロック」なんてのは、正直37になった自分にはすでに若干聞きにくいジャンルになりつつある。
キツい。現実に頭に来ているなんてのは、こっちにとっては特に新しいことでもなくベテランなのだ。
怒りのメッセージは聞きたくない。たとえそれが次の世代のメッセージであっても!!!笑

テレヴィジョンは一部の人間を除いて知らない。
実はそれはアメリカ本国でも同じ。Johnny Rotten, Ramones, Blondie, Talking Heads, Black Flag。ここらはどうやらみんな知っているみたいだ。
Patti Smithもかなりビッグ。
でもTelevisionとくると、かなーーーり狭まる。

マジで終わってる。と思う。

Grateful Deadを発見する前はTelevisionしかなかった。
Tom Verlaineのソロアルバムも当時は入手困難で大変だったが、全部買っていちいちハマった。

そんなTelevisionがフジロックに来た。2002年7月26日、レッドマーキー。
あのテンション。
初来日やトムのソロショーには間に合わなかった自分にはTV, Tom初体験。
2列目に陣取って。TomとRichard Lloydのアンサンブルを聴けたのはあれが最後だった。
貴重な体験をさせてもらったと思う。

その後DeadやKimockにハマっても、TomのソロがThrill Jockyから出た時は地味だが一人大興奮して聞き続けていた。
LAの映画館で無声映画に音を付けるイベントにTomとJimmyが出るんで、8時間車をとばして見に行った。
Early show、Late showとも最前で見た。
最高だった。
無断でショーを録音していて、トムに怒られた。
デッドシーンで怒られたときに仕入れた知恵。テープを壊すか、上げるか。
怒り心頭のトムが目の前にいるという、かなりシュールなシーンで。
「MDどうぞ。だから許して」というのが精一杯だった。笑
「わかった、まぁ自分の録音聞きたかったし。(←結構拍子抜け)」
「(バックステージに戻って行こうとするトム)あ、トム。サインちょうだい。」
って図々しい奴。その時もらったサインは家宝として大事にとってある。

次はまたしてもフジロック。2009年7月24日。グリーンステージ。
Patti Smithと一緒に演るという。
「死んでも行きます」
って雨降ってぬかるむ中、二列目まで行った。
https://www.youtube.com/watch?v=e9RIRPRF6Hs
Tomさん、特に特別なことはしなかったように覚えている。
常にPattiにスポットライトがあたっている中、とても謙虚にも確実に一歩(多分五歩くらい)引いたギターだった。

たしかTomをみるのはそれ以来。



名古屋のショー。
最前。Fred Smithの真ん前に陣取る。
パンクなおじさん達がとても盛り上がっていた。
英語が話せないからだろう、わーとかぎゃー。あと「ろっくんろーる」とかそんな声援。
そんな盛り上がりまくる観客にステージに出てきてトムさん開口一番、低ーーーい声で

”Relax”

とにかくこの晩、バンドはのりにのっていた。
なぜだろう?と不思議になるほどバンドアンサンブルがかっちりハマり、とにかく感動した。
トムさんも上機嫌。あんなにマイクの前でにこにこしているトムは今までではじめてみた。
3曲も聞いたことのない曲(新曲?)をやってくれた。
Venusの前にJimmy Ripが後ろ向いて何かしてると思ったら、メトロノーム。
ちゃんと正しいテンポで演んのね。えらいなー。こんなしっかりとやるべきことをやるバンドだったっけ?



4/16/2014 
Club Upset @ Ikeshita, Nagoya, Japan
7:17 開演
New
1880 or So
Venus
Little Johnny Jewel
See No Evil
Elevation
New (I’m gonna find you)
Glory
Prove It
New (Just one)
Marquee Moon

Encore
Guiding Light
9:07 終演

一日オフで初台のショー。
こちらは幕が開いて開口一番
「照明が眩しいから、右上のをちょっと落として。」
真っ暗になる→明かりつく→前以上に明るくなる
みたいなのの繰り返しで、しまいに「あーまぁしょうがないわ」みたいなであきらめたトムさん。
得意の1880 or soではじめたものの全然離陸できない。Venusもまだだめ。
LJJでちょっと浮いたものの、まだまだ。
Prove itでやっとまたちょっと浮く。
そして怒濤の新しい曲でガツーんとやっとこさ離陸。
でも曲の後半引っ張りすぎて若干だれてやや失速。
という具合に、やや浮いたものの最終的に最後までうまく離陸できず。。。
不機嫌なトムさんを反映するかのように、バンドもアンサンブルが名古屋のときほどカッツリきまってませんでした。






4/18/2014 
Hatsudai Doors @ Hatsudai, Tokyo, Japan

1880 or so
Venus
Little Johnny Jewel
Glory
Elevation
New (I’m gonna find you)
Prove It
New (Just one)
Guiding Light
Marquee Moon

Encore
See No Evil





今回のTVのショーは正直Marquee Moonからの曲は、Prove Itを除いてそれ程面白くなかった。(”Prove It”ってみんなが合唱で叫ぶのが面白かっただけ)
もう聞き飽きたし、むこうも明らかに演り飽きていた。
冒険する余地がないほど作り込まれてしまっているから仕方がないというのもある。
とにかくアルバムMarquee Moonからこれほどまでの曲を演ってくれたのが、何よりも驚きだった。
ほとんど半分はこのアルバムからだったわけで。
ファンサービスなのか、たしかにこれらを聞かないと客が納得しないのがコワいのかもしれないけど、もうちょっと好きな事してもらってもよかったように思う。
それでブーブー言う客がいたらその客のレベルが低いのだ。そこに照準を合わせる必要はない。
それにしても
1880 or So, Little Johnny Jewel。それから新しい曲。
特に長尺の(Just Oneと繰り返す、アジア系のスケールの曲)は最高だった。
Foxhole, Dream’s Dream, Friction(なぜ演らなかった?!), This tune, Call Mr. Leeここらあたりのイマが聞きたかった。


さてさてどんなショーになるかのTomとJimmyデュオショー。
実はこれが一番よかった。
開演前、ステージに向かって右側最前列。
向かって左がトム、右がジミー。
それぞれアコースティックギターがステージ上に置かれている。
TVの時もそうだけれど、トムが特に。
トムが特にステージ上でリラックスしているときはバンドであれデュオであれ離陸する。
トムが何かステージ上で冒険をはじめると、ジミーはそれに呼応して彼も冒険しはじめる。
冒険というのは、決められたことやレコードと同じことをやるのではなく、アドリブでその場に合うことを自分の引き出しから引っ張りだすこと。
引っ張りだしてきたものが結果としてかっちり合うと大成功で、ぐんぐん曲自身が生命をもってどこかにバンドと客を連れて行ってくれる。
そうなるともう観ている側も含めて「気持ちよくて仕方がない」と、こうなる。
たとえそれがかっちり合わなくても、みている側としては「興味深く拝見」の様な感じになる。



普通ステージに立つと人に見られているという事から、「とりあえず曲をちゃんと失敗せずに恥をかかずに1曲づつ演りきりましょう」ということに終始することが多い。
冒険はギャンブルで、危険を冒して勝負するよりも安全を取ることを優先してしまいがちだからだ。
観ている側としてはこれほどつまらないショーはない。
僕だけかもしれないが、なにも完璧にレコードと同じものをショーに期待していない。
レコードと同じだったら、わざわざ会場まで足を運んで高いチケット買って突っ立って何時間もショーを観るよりも、寝転がってCD聞いてる方がよっぽど楽だからだ。

ここにミュージシャンのステージ慣れや度胸という要素が入ってくる。
どこまで客の観ている目の前で、曲に命をふきこむ事ができるか。
ましてや古い曲を演るのならなおさら。
常に練習していたりステージを多くこなしているミュージシャンには自信にあふれていて、それは一番確実に客に伝わる。
もちろんその時のコンディションにもよるけど。

この日はデュオショーで小回りが利くという事もあってか、二人で冒険しまくっていた。
結果最高だった。
セットはTVのセカンドからFireなんて飛び道具的な曲もあったけど、基本的にはトムさんのソロから。
生きていてよかった。
全部彼のソロに20年近くハマっていてよかった。
最近のお気に入りのソロアルバムからも演ってくれた。
セットリストが書けると言うのは、光栄な事だ。
知らない曲がほとんどない。



4/20/2014
Koenji High, Koenji, Tokyo

At 4 a.m.
Documentary
Prove It
Orbit
Stalingrad
? (I can’t forget)
The Earth Is In The Sky
The Man In The Backyard
Pillow
Fire
Anna
Words From The Front
Venus
Kingdom Come
Ancient Egypt
Emak Bakia - (From Music For Experimental Film DVD)
Nice Actress

Encore
O Foolish Heart

2nd Encore
Rain, Sidewalk

今回も去年のKimockのショー同様リユナイトがあった。
初台のショーでは元バンドメンバー合流。ショーの後にはもう一人のいぬくんも加わって久しぶりの完全なバンドリユニオンになった。リユニオンといっても思い出横丁で一緒に酒を飲んでただけだけど。それはそれで。
高円寺では去年のキモックのベイホールにも参加のいつものかわいいお二人と一緒に。
音楽を通じての友人というのは、ただの友達よりも繋がりが妙に強固な感じになっていいなぁー。
同じ音楽をきいて場の空気感もシェアできるってのは本当に素晴らしい。
一生忘れない思い出が一つ増えてとても幸せです。

2014年1月25日土曜日

01/24/2014 Stick men @ Harlow’s, Sacramento, CA



いやー最高だった。
理屈が分からない分、ポーンと入ってきた。

しかし、理屈っぽい音楽が嫌いだというただそれだけの理由で「プログレッシブロック」というジャンルは自分からとーてーもー遠いところにあり続けている。
しかも、クラシック音楽とロックとはあんまり相性がよくない、と思う。
クラシック音楽単体では好きだし、ロックも好きだ。でも混ざると面白さが半減するような。
相性という面で言えば、ジャズとロックの相性の良さとは全く逆で、おもしろいなーとおもう。

クラシック音楽の訓練を十分に受けたミュージシャンが、頭の中で温めた音を譜面におとして、それを何のよどみなくすらすら弾けるようになるまで訓練し、音質も重箱の隅をつついたような目新しさでマイクロマネージ。できました。発表会では日頃の訓練の成果もあってノンミス。
そんなのは聞いててスリリングじゃないだろう。ロックじゃない。
そう思っていた。

つまり、今回のTony LevinのStick Men、全く期待していなかった。
ところがどっこい。
これが凄まじかった。
一曲目からアンコールまで最前でかぶりつき。またやってしまった。

単純に大量に訓練を積んだミュージシャンの音は、どんなジャンルであれ気持ちがいいらしい。
曰く、ミュージシャンシップのすごさ。
見た事もないような訳の分からない楽器をいとも簡単に操るというのは、それだけで圧倒的な威圧感だった。
このチャップマンスティック(http://www.stick.com)という楽器。ギターの弦の上にベースの弦が上下逆向きでついているという。都合10弦。
それをフラットピックでかき鳴らすや、フィンガーピックでつま弾くではない。
指でフレットボードをタップして音を出す。ベース弦もある分、ヴァンヘイレンやスタンリージョーダンの奏法の応用編。



なんでこんな高度にわけの分かんない音楽を、しかもかなり手の込んだ加工した音で、でもなんの澱みもなくスラスラと弾く。いちいち楽しそう。
特にTony Levinは。
他のメンバーPat Mastelotto, Markus Reuterは単に仏頂面(特にMarkus 笑)なのだけれど、Tony Levinの愛嬌の良さや普通の人っぷりは、その出ている音とのギャップとの間で、凄まじく異様に感じた。
しかもあの風貌。超細身。スキンヘッドに口ひげ。んーコワい。
Adrian Belewを見たときも同じ印象をもった。このKing Crimsonの人たちのヘンさ加減はいったいどこから来たのか。

謎は深まるばかり。

でもあんまり深入りすべきジャンルではないような気もする。
感覚的に。
端から聞いているレベルで満足できそう。