2014年4月20日日曜日

April/ 2014 Television Japan Tour

Television 
4/16/2014 @ Club Upset, Ikeshita, Japan
4/18/2014 @ Hatsudai Doors, Hatsudai, Japan
Tom Verlaine and Jimmy Rip
4/20/2014 @ Koenji High, Koenji, Japan

テレヴィジョン。
なんておかしな名前のバンドなんだろう。
アメリカではテレビのことはTV(ティーヴィー)ということが多いしように思うし、日本でもテレビ。
テレヴィジョンという言葉自体アナクロな響きになってしまっている今日この頃。

このバンドとであったのはいつ頃かははっきり覚えていないが、ちょうど中学終わりのころだったように思う。
同じマンションに住んでいるロックな知り合いにカセットテープを貸してもらった。
それがMarquee Moonというアルバムだった。
同じ時に確かNina Hargen、Patti SmithのEaster、Canなんかも貸してもらっていたと思う。
全てに反応したが、とりわけ訳が分かんないままハマりまくったのがTelevisionだった。
Marquee MoonというCDを買いに走り、そしてどうやら不評だったらしいAdventure(1978)も聞いた。
ちなみに人はこのアルバムに何が不満なのか未だにわからないでいる。
Marquee Moonに比べて緊張感がない?ばかいえ。緊張感しかねぇじゃねぇか。
さらに1994年発表の再結成テレヴィジョン不評の3rdアルバム。これがまたとんでもない傑作。
This Tuneって曲を聴いてみな。
1880 or so、聞いてみろ。
凡百の不満吐き出したいだけのパンクバンドとは訳が違うわ。

ここにテレヴィジョンの違いがある。
まさによく言われる「パンク」ではないのだ。
ませすぎていたんだと思う。
若かったわりにはしっかりした(伝統的な)ミュージシャンシップが身に付いていた。
具体的に言えば、「音にメッセージをのせる、何かを伝える」だとか、さらに愚かにも「流行に合う音楽を」だとか、彼らはそういうレベルで音楽をとらえていなかった。
音楽を純粋に音ととらえて、音のマジックを楽しんでいたはず。
若者の不平不満を音にのせて吐き出すことに終止し続けた70年代の「パンクロック」なんてのは、正直37になった自分にはすでに若干聞きにくいジャンルになりつつある。
キツい。現実に頭に来ているなんてのは、こっちにとっては特に新しいことでもなくベテランなのだ。
怒りのメッセージは聞きたくない。たとえそれが次の世代のメッセージであっても!!!笑

テレヴィジョンは一部の人間を除いて知らない。
実はそれはアメリカ本国でも同じ。Johnny Rotten, Ramones, Blondie, Talking Heads, Black Flag。ここらはどうやらみんな知っているみたいだ。
Patti Smithもかなりビッグ。
でもTelevisionとくると、かなーーーり狭まる。

マジで終わってる。と思う。

Grateful Deadを発見する前はTelevisionしかなかった。
Tom Verlaineのソロアルバムも当時は入手困難で大変だったが、全部買っていちいちハマった。

そんなTelevisionがフジロックに来た。2002年7月26日、レッドマーキー。
あのテンション。
初来日やトムのソロショーには間に合わなかった自分にはTV, Tom初体験。
2列目に陣取って。TomとRichard Lloydのアンサンブルを聴けたのはあれが最後だった。
貴重な体験をさせてもらったと思う。

その後DeadやKimockにハマっても、TomのソロがThrill Jockyから出た時は地味だが一人大興奮して聞き続けていた。
LAの映画館で無声映画に音を付けるイベントにTomとJimmyが出るんで、8時間車をとばして見に行った。
Early show、Late showとも最前で見た。
最高だった。
無断でショーを録音していて、トムに怒られた。
デッドシーンで怒られたときに仕入れた知恵。テープを壊すか、上げるか。
怒り心頭のトムが目の前にいるという、かなりシュールなシーンで。
「MDどうぞ。だから許して」というのが精一杯だった。笑
「わかった、まぁ自分の録音聞きたかったし。(←結構拍子抜け)」
「(バックステージに戻って行こうとするトム)あ、トム。サインちょうだい。」
って図々しい奴。その時もらったサインは家宝として大事にとってある。

次はまたしてもフジロック。2009年7月24日。グリーンステージ。
Patti Smithと一緒に演るという。
「死んでも行きます」
って雨降ってぬかるむ中、二列目まで行った。
https://www.youtube.com/watch?v=e9RIRPRF6Hs
Tomさん、特に特別なことはしなかったように覚えている。
常にPattiにスポットライトがあたっている中、とても謙虚にも確実に一歩(多分五歩くらい)引いたギターだった。

たしかTomをみるのはそれ以来。



名古屋のショー。
最前。Fred Smithの真ん前に陣取る。
パンクなおじさん達がとても盛り上がっていた。
英語が話せないからだろう、わーとかぎゃー。あと「ろっくんろーる」とかそんな声援。
そんな盛り上がりまくる観客にステージに出てきてトムさん開口一番、低ーーーい声で

”Relax”

とにかくこの晩、バンドはのりにのっていた。
なぜだろう?と不思議になるほどバンドアンサンブルがかっちりハマり、とにかく感動した。
トムさんも上機嫌。あんなにマイクの前でにこにこしているトムは今までではじめてみた。
3曲も聞いたことのない曲(新曲?)をやってくれた。
Venusの前にJimmy Ripが後ろ向いて何かしてると思ったら、メトロノーム。
ちゃんと正しいテンポで演んのね。えらいなー。こんなしっかりとやるべきことをやるバンドだったっけ?



4/16/2014 
Club Upset @ Ikeshita, Nagoya, Japan
7:17 開演
New
1880 or So
Venus
Little Johnny Jewel
See No Evil
Elevation
New (I’m gonna find you)
Glory
Prove It
New (Just one)
Marquee Moon

Encore
Guiding Light
9:07 終演

一日オフで初台のショー。
こちらは幕が開いて開口一番
「照明が眩しいから、右上のをちょっと落として。」
真っ暗になる→明かりつく→前以上に明るくなる
みたいなのの繰り返しで、しまいに「あーまぁしょうがないわ」みたいなであきらめたトムさん。
得意の1880 or soではじめたものの全然離陸できない。Venusもまだだめ。
LJJでちょっと浮いたものの、まだまだ。
Prove itでやっとまたちょっと浮く。
そして怒濤の新しい曲でガツーんとやっとこさ離陸。
でも曲の後半引っ張りすぎて若干だれてやや失速。
という具合に、やや浮いたものの最終的に最後までうまく離陸できず。。。
不機嫌なトムさんを反映するかのように、バンドもアンサンブルが名古屋のときほどカッツリきまってませんでした。






4/18/2014 
Hatsudai Doors @ Hatsudai, Tokyo, Japan

1880 or so
Venus
Little Johnny Jewel
Glory
Elevation
New (I’m gonna find you)
Prove It
New (Just one)
Guiding Light
Marquee Moon

Encore
See No Evil





今回のTVのショーは正直Marquee Moonからの曲は、Prove Itを除いてそれ程面白くなかった。(”Prove It”ってみんなが合唱で叫ぶのが面白かっただけ)
もう聞き飽きたし、むこうも明らかに演り飽きていた。
冒険する余地がないほど作り込まれてしまっているから仕方がないというのもある。
とにかくアルバムMarquee Moonからこれほどまでの曲を演ってくれたのが、何よりも驚きだった。
ほとんど半分はこのアルバムからだったわけで。
ファンサービスなのか、たしかにこれらを聞かないと客が納得しないのがコワいのかもしれないけど、もうちょっと好きな事してもらってもよかったように思う。
それでブーブー言う客がいたらその客のレベルが低いのだ。そこに照準を合わせる必要はない。
それにしても
1880 or So, Little Johnny Jewel。それから新しい曲。
特に長尺の(Just Oneと繰り返す、アジア系のスケールの曲)は最高だった。
Foxhole, Dream’s Dream, Friction(なぜ演らなかった?!), This tune, Call Mr. Leeここらあたりのイマが聞きたかった。


さてさてどんなショーになるかのTomとJimmyデュオショー。
実はこれが一番よかった。
開演前、ステージに向かって右側最前列。
向かって左がトム、右がジミー。
それぞれアコースティックギターがステージ上に置かれている。
TVの時もそうだけれど、トムが特に。
トムが特にステージ上でリラックスしているときはバンドであれデュオであれ離陸する。
トムが何かステージ上で冒険をはじめると、ジミーはそれに呼応して彼も冒険しはじめる。
冒険というのは、決められたことやレコードと同じことをやるのではなく、アドリブでその場に合うことを自分の引き出しから引っ張りだすこと。
引っ張りだしてきたものが結果としてかっちり合うと大成功で、ぐんぐん曲自身が生命をもってどこかにバンドと客を連れて行ってくれる。
そうなるともう観ている側も含めて「気持ちよくて仕方がない」と、こうなる。
たとえそれがかっちり合わなくても、みている側としては「興味深く拝見」の様な感じになる。



普通ステージに立つと人に見られているという事から、「とりあえず曲をちゃんと失敗せずに恥をかかずに1曲づつ演りきりましょう」ということに終始することが多い。
冒険はギャンブルで、危険を冒して勝負するよりも安全を取ることを優先してしまいがちだからだ。
観ている側としてはこれほどつまらないショーはない。
僕だけかもしれないが、なにも完璧にレコードと同じものをショーに期待していない。
レコードと同じだったら、わざわざ会場まで足を運んで高いチケット買って突っ立って何時間もショーを観るよりも、寝転がってCD聞いてる方がよっぽど楽だからだ。

ここにミュージシャンのステージ慣れや度胸という要素が入ってくる。
どこまで客の観ている目の前で、曲に命をふきこむ事ができるか。
ましてや古い曲を演るのならなおさら。
常に練習していたりステージを多くこなしているミュージシャンには自信にあふれていて、それは一番確実に客に伝わる。
もちろんその時のコンディションにもよるけど。

この日はデュオショーで小回りが利くという事もあってか、二人で冒険しまくっていた。
結果最高だった。
セットはTVのセカンドからFireなんて飛び道具的な曲もあったけど、基本的にはトムさんのソロから。
生きていてよかった。
全部彼のソロに20年近くハマっていてよかった。
最近のお気に入りのソロアルバムからも演ってくれた。
セットリストが書けると言うのは、光栄な事だ。
知らない曲がほとんどない。



4/20/2014
Koenji High, Koenji, Tokyo

At 4 a.m.
Documentary
Prove It
Orbit
Stalingrad
? (I can’t forget)
The Earth Is In The Sky
The Man In The Backyard
Pillow
Fire
Anna
Words From The Front
Venus
Kingdom Come
Ancient Egypt
Emak Bakia - (From Music For Experimental Film DVD)
Nice Actress

Encore
O Foolish Heart

2nd Encore
Rain, Sidewalk

今回も去年のKimockのショー同様リユナイトがあった。
初台のショーでは元バンドメンバー合流。ショーの後にはもう一人のいぬくんも加わって久しぶりの完全なバンドリユニオンになった。リユニオンといっても思い出横丁で一緒に酒を飲んでただけだけど。それはそれで。
高円寺では去年のキモックのベイホールにも参加のいつものかわいいお二人と一緒に。
音楽を通じての友人というのは、ただの友達よりも繋がりが妙に強固な感じになっていいなぁー。
同じ音楽をきいて場の空気感もシェアできるってのは本当に素晴らしい。
一生忘れない思い出が一つ増えてとても幸せです。

2014年1月25日土曜日

01/24/2014 Stick men @ Harlow’s, Sacramento, CA



いやー最高だった。
理屈が分からない分、ポーンと入ってきた。

しかし、理屈っぽい音楽が嫌いだというただそれだけの理由で「プログレッシブロック」というジャンルは自分からとーてーもー遠いところにあり続けている。
しかも、クラシック音楽とロックとはあんまり相性がよくない、と思う。
クラシック音楽単体では好きだし、ロックも好きだ。でも混ざると面白さが半減するような。
相性という面で言えば、ジャズとロックの相性の良さとは全く逆で、おもしろいなーとおもう。

クラシック音楽の訓練を十分に受けたミュージシャンが、頭の中で温めた音を譜面におとして、それを何のよどみなくすらすら弾けるようになるまで訓練し、音質も重箱の隅をつついたような目新しさでマイクロマネージ。できました。発表会では日頃の訓練の成果もあってノンミス。
そんなのは聞いててスリリングじゃないだろう。ロックじゃない。
そう思っていた。

つまり、今回のTony LevinのStick Men、全く期待していなかった。
ところがどっこい。
これが凄まじかった。
一曲目からアンコールまで最前でかぶりつき。またやってしまった。

単純に大量に訓練を積んだミュージシャンの音は、どんなジャンルであれ気持ちがいいらしい。
曰く、ミュージシャンシップのすごさ。
見た事もないような訳の分からない楽器をいとも簡単に操るというのは、それだけで圧倒的な威圧感だった。
このチャップマンスティック(http://www.stick.com)という楽器。ギターの弦の上にベースの弦が上下逆向きでついているという。都合10弦。
それをフラットピックでかき鳴らすや、フィンガーピックでつま弾くではない。
指でフレットボードをタップして音を出す。ベース弦もある分、ヴァンヘイレンやスタンリージョーダンの奏法の応用編。



なんでこんな高度にわけの分かんない音楽を、しかもかなり手の込んだ加工した音で、でもなんの澱みもなくスラスラと弾く。いちいち楽しそう。
特にTony Levinは。
他のメンバーPat Mastelotto, Markus Reuterは単に仏頂面(特にMarkus 笑)なのだけれど、Tony Levinの愛嬌の良さや普通の人っぷりは、その出ている音とのギャップとの間で、凄まじく異様に感じた。
しかもあの風貌。超細身。スキンヘッドに口ひげ。んーコワい。
Adrian Belewを見たときも同じ印象をもった。このKing Crimsonの人たちのヘンさ加減はいったいどこから来たのか。

謎は深まるばかり。

でもあんまり深入りすべきジャンルではないような気もする。
感覚的に。
端から聞いているレベルで満足できそう。

2014年1月18日土曜日

01/17/2014 David Lindley @ Sebastopol Community Cultural Center, Sebastopol, CA




待ちに待ったDavid Lindleyのショー。
10月からBerkeleyでひとり暮らしはじめてから急に時間ができた。
久々のひとり暮らしでなにか変わった事が起こるのかなと思っていたけど、別にそれ程でもない。
淡々と日を暮らす中で小さな楽しみを噛み締めるような地味ーーな生活。こんなのは学生時代ぶり。

働いていないおかげで、ギターの時間が増えた。

起きてから寝るまで、食事の時間とたまの昼寝の時間シャワーの時間を除いて、目が覚めている時間は大体ギターを弾く。
14時間起きているとしたら、最低10時間は弾く日々が続いた。

今までしたかったのにできなかった、FPRで録りためたギターのレクチャーの復習をはじめた。
今までキモック分が3年。ミスターデイブ分が1年。
それぞれ4日間にわたる録音は膨大だ。

キモック2010年分の録音は過去に2回聞いた。
キモックと同時にリンドレーに取りかかったところ、今年に入ってリンドレーの方に完全にはまってしまった。
楽しくてしょうがない。
愉快なおっさんが、みんなのジョークを聞き爆笑しながらのレクチャーは他にはない。
しかもとてもわかりやすい。
誰もがたのしんでいる、この空気。
ファーピースランチ。また今年の5月にもやってくる。いけたらいいなー。

こんなだから、一言一句聞き逃さず、ノートを取りながらここ数ヶ月聞き続けた。
もちろん、ギターを弾きながら。
昨年の5月のギターワークショップに出たときは、ビギナーだった。知識ゼロ。
ラップスティールをどう練習したら上達するのか知りたいという気持ちしかなかった。
FPRから帰ってきて、ルーティンの日々が始まった。
大きな音でギターを引き続けた。ミスターデーブが言った通りに練習した。

Meat Grinder Bluesで始まったショーはMonkey Wash Donkey Rinseをはさんで、アンコールのCat Food Sandwichで終わった。
完璧なショー。

Setlist

Meat Grinder Blues
Cuckoo
Beneath the Vast Indifference of Heaven
Pretty Polly
About to Make Me Leave Home Girl
Little Sadie
8/7 Suite
Mutineer
Johnson Boys
Monkey Wash Donkey Rinse

Encore
Cat Food Sandwich







今回のセットでは基本はいつも通り。
しかし、「いままで、ほとんど演った事がないのを試してみよう」という前触れで始まったMeat Grinder Blues、最高。
Bonnie Raittのカヴァー、Leave House。
大好きなMonkey Wash Donkey Rinseがナマで聞けたのは大感動。
Warren Zevonのカヴァーが合計3曲。Beneath, Mutineer, Monkey。全てWarrenのアルバムMuniteerから。
Cuckoo, Pretty Polly, Johnson boys, Little Sadieは全てトラディッショナル。

ショーの後はいつも通りのCDサイン、写真撮影がロビーで始まった。



みんながそれぞれ話し終わったのを見計らって、スッとDaveの前に出てみた。
「あーーー」
みたいな声のような声じゃないようなののあと、驚きの笑顔で、そしてハグ。
ミスターデーブは、FPRで会った奇妙なアジア人を覚えてくれていた。
「MCで僕の街の名古屋の事に触れてくれてありがとうございます、とても嬉しかったです。あの曲のインストでは河内音頭のテイストも入っていて...」
「ちょっとだけだけどね、聞いててわかった?」
「そりゃわかりますよ、和風テイストについては日本人の僕にはすぐわかりますよ。日本を思い出せてもらえて嬉しかったです」
「あの河内音頭が聞こえてきたバーは、最初俺は入ろうよ、って言ったんだよ。そしたらプロモーターがさ、
ノーデイブ。あれはライトウィングの人たちが集まるバーで、彼らは必ずしも外国人が好きじゃないんだよ。って言うから、じゃーやめときましょーってさ。」
「そいうえば、あれからかなり練習しました。一曲聞いてもらえないですか?アドヴァイスがもらえたらと思って。」
「シュアーーーーギター持ってきな」

ギターをトランクから出しながら、震えている自分に気がついた。
だいいち、デーブの「シュアー」の声が一段と低かった。
天下のDavid Lindleyにギターを聞いてもらって、アドヴァイスをもらおうとしている自分のあまりの無謀さに笑えてきた。

ミスターデーブの大ファンのスティーブ(もちろんキモックではありません)が隣で、おいおいマジでやるんだな、こりゃすごい事になったな、と言っている。
煽るな煽るな
でも面白くなってきた、こりゃ言い出してしまった以上やるしかない。

外でチューニングを終えて、ロビーでいすを借りた。
座ってポロンポロンやっていると、デーブが肩越しに近づいてきた。あのときの緊張感は忘れられない。
「どんなもんだ?」という声が聞こえてきたので、スライドバーを引きずって音をふるわせてみた。
アメリカーナのヴィブラート、次にブルーズのヴィブラート。

これならいけるかも。

意を決してリズムを刻みはじめた。
“Old Coot From Tennessee”
「テネシー出身の変わったおっさん」というタイトルのトラディッショナルナンバー。
そのおっさんは教会にも行った事がない。神を信じない。
人生はあがいても変えられるものではないから、毎日たのしむ事を旨として生きている。
彼はうたをうたって、みんなに気づかせた。
「俺はぴょんぴょん飛び跳ねたり、大声でわめきちらしたりしながら、なんだかんだやって生きのび、そして死んでいくんだ。
俺のこの人生は全然うまい事いってない。あんたらは俺が死んでから俺の事をごちゃごちゃ言うんだろ、でも言いたい奴には言わせておくさ。
俺はぴょんぴょん飛び跳ねたり、大声でわめきちらしたりしながら、なんだかんだやって生きのび、そして死んでいくんだ。」
という。

ソロを弾きはじめると、キツくなってきて一か所でミスった。
Mr.デーブはノリノリで僕の肩越しで踊ったり一緒に歌ったりしていた。
ミスった瞬間にデーブ大笑い、「俺もここでいっつも間違えるんだー」
ちょっとリラックスしたためか、難しめのリフが難なくできた。
「ひぇーYou got it」

結局2題目の歌って、ソロに行ったあたりで周りの注目のからストレスアウト、残念ながら爆死してしまったのだが。
「どんな感じだった?」と立ち上がってたずねたときのデーブの笑顔と言ったらなかった。
いまだかつて人間のあそこまで幸せそうな顔を見た事がない。
「一目ユーが弾いているのを見たときから、お前が大丈夫だっていうのを分かってたんだよ」
とビッグハグ。あまりに光栄で歯の根元が1センチくらい浮いたように感じた。
「ヴィブラートちゃんとできてましたか?」
「ああ。ウマくできてたよ。それにしてもリズム刻み。格段にうまくなったなー、いくつか失敗しているのには気がついたけど、それも気にせずにガンガン進んでいったのはとてもいい、そうでなければならない。この歌はとても高いから歌いづらいだろ、カポ使いな。今年のFPRは来るかい?」
「いけるか分からないけど、是非いきたいと思ってます。」
「教えるべき事がまだまだあるんだ、違ったチューニングの事についても、あるしハンマリング、プリングオフなんかについてもね。」
「あー道は長そうだー。」
「笑」

生きていてよかった。


これ以外に言葉が出なかった。
実は自分の度胸にも驚かされた。
後になってちゃんと3題目まで歌わなかった事が悔やまれた。
あそこで爆死してはいけなかった、だましだましでも引き続けて3題目まで行くべきだった。
いまだに悔しくてしょうがない。
今年の5月、FPRで彼の前でリベンジする。
今度は失敗してもつまづいても、最後まで弾ききってやろうと思う。

2014年1月12日日曜日

01/11/2014 Jerry Miller and Terry Haggerty Band @ Ashkenaz, Berkeley, CA






今すんでいる家から歩いて10分。Ashkenaz。
Berkeleyという街は変テコな街だ。
閑静な住宅街が主なんだけど、ダウンタウンやテレグラフにはとんでもなく妙な輩がいっぱいいる。
僕もどちらかというと妙な輩なんだけど、閑静なところに紛れている。

それはさておきバークレーはレイドバックな街で住みやすい。ラディカルだと言われながらも、サンフランシスコのようなハードコア感、ギスギス感はない。
でもエンターテイメントがサンフランシスコやオークランドに比べるとイマイチ。
というのは大きなフィルモアだとかヨシズのようなライブベニューが少ないように思う。
いい感じの大きさのハコは、ダウンタウンのフライトアンドサルヴェージ(Freight & Salvage)、ウェスト/ノースバークレーのアシュケナズ(Ashkenaz)、ギルマンのパンククラブ924。いずれもノンプロフィット。
あとグリークシアターがUCBerkeleyにあると言えばあるが、その規模でコンサートができるアーティストは限られる。デッドとかディランとか見た。
もうちょっとナイトライフを充実してもいいと思うのだが、市が許可しないらしい。
エンターテイメントはダウンタウンの一か所に集中させる計画で、他では許可がおりにくいという話だ。
なぜか?ちょっとでも騒音を出すとバークレー市民はすぐにクレームを出すというのが理由らしい。
その反動ともいえるのが、カフェ。これはそこらじゅうにある。
カフェではいつもジャズバンドが小さめの音だが毎晩いい演奏を聞かせる。

Terry Haggertyともサウスバークレーのカフェトリエステ、そこで出会った。
KVHHのショーには間に合わなかった。もちろんSons of Champlinも見ていない。
僕の中では彼はとんでもないモンスタージャズギタリスト。小さなカフェでとんでもないことをしている、ガタイのでっかいおっさんというのが僕のTerry像。

数年前から追っかけはじめて一押しのバンドフォーメーションがコレ。
Jerry Miller & Terry Haggerty。
ラウドだから。
ジェリーの破れかぶれでブライトなブルーズギターと、テリーの抑えたジャズインプロギターのコンビネーションが絶妙。
レパートリは多分ジェリーサイドの曲がほとんどで、ロック/ブルーズという王道な感じなんだけど、ここに「なんでもこい」テリーが有無をいわせないような凄まじいギターで畳み込む。
今回もいつも通り。
ジェリーはミュージックマンのアンプでIbanezのAFSってタイプだと思う。それにTSをかませるだけのシンプルなセッティング。
ピックアップは終止ネック側で固定。あとはトーンはフルアップで、ボリュームコントロールを少々。
これだけであの気味が悪いくらいブライトなトーンが出るってのはすごい。
歌うときはリズムを刻み、歌わないときは終止フィルイン、もしくはほとんどソロばっかり。
テリーがソロをとっているときでも関係ないところで、おもしろい事をしていたりするのもコレまたすごい。ほとんど邪魔になっていないからだ。
でもたまーに邪魔だ。つまり意識してソロのスペースを共有していない。

ブルーズ命。右端がテリーの奥さん、ケイティー。

テリーのセッティングはわかりません。今度直に聞いてきます。
ギターはいつものへんてこなギター。キャビネットはBrownってかいてあった。見たことないでっかいのが2台。それにプリアンプがTwo Rock。
前はケンタウロスで歪ませてたが、今回はアンプのスウィッチで歪ませてました。
この歪みこそ、最近の彼のシグニチャーです。ベイエリアのサイケシーンのアーティストのなかでは多分一番深く歪んでると思う。
ファズと言ってもいいくらい。
彼のアルバムFirst Takeでも。いいよーこれ。
http://www.cdbaby.com/cd/terryhaggerty2

存分に畳み込み中

今回は会場の奥で携帯いじってたら、テリーさん「ヘーイ!」ってな感じで来た。
彼はFPRに行ってギグをしてから、一層仲良くしてもらっている。
彼の奥さんのケイティーも来た。そしたら、元の奥さんとの間の息子も来て紹介された。
元の奥さんも見た。「超ハードコアヒッピー、現役」というのが第一印象。
Berkeleyは色々な意味でどこからも近いので、色々な人が来て今回はファミリーショーのようになっていた。

「今度電話するよ」
「オッケー」
今度彼からギターのレッスンを受ける予定。

2013年12月17日火曜日

12/14, 15/2013 Steve Kimock & Friends feat. Bobby Vega, Bill Vitt, Jeff Chimenti & Dan Lobowits @ Sweetwater Music Hall, Mill Valley, CA

                                                      Red White and Blue (Day 3)



3日間のランが一気に売り切れ、15日の日曜日が追加されこれまた一気にソールドアウトという。
近年まれに見る大人気だったこの4日間のキモックラン。
確かにこのメンツでJerry Garciaのレパートリを演るのであれば、このベイエリアでチケットが売り切れるのは当たり前っちゃ当たり前なんだけど…


それにしても一昨年からのSteve, Bernie, Andy, Wallyという鉄壁のツアーフォーメーションで、思った以上に会場で隙間が目立ってたのを思い返すと皮肉なものです。
キモックのサイドプロジェクトはあくまでサイドという趣が強く、この前のソウルグラスもそう。
やっぱツアーでがっつりしのぎをけずったメンバーと、あうんの呼吸にモノを言わせてあぶらがのりに乗った演奏を聴かしてもらう方が個人的には好み。
ツアーメンバーとしか出せないグルーブって確実にあるじゃないっすか。
まぁ、スティーブにしてみれば、Chimentiとのからみは、来年のRatdogとのツアーの予行練習的なものもあるんだろうけど。

        「たまにはね、ジェリーにリスペクトするときがあってもいいんじゃないかと思って」(Day 3 Opening)
                                     
そんなこんなで、正直今回はお金もなかったし興味もそれ程なかったし、って放っておいたらあっという間にソールドアウトになってしまって、焦っていた次第。
友人のスティーブがエクストラを持っているってことで、二日間一銭も払わず(苦笑)、なんとかありつけました。

それにしても。

このショーがここまでホットになるとは思っていなかった。


Bill Vittを見るのは今年のヴァレンタインデーのTony SaundersのKeystone Revisited以来。
あの時はそんなに気にもならなかったのだけど、とーてもソフトにドラムを叩く人。
もしかしてバンドで使い分けているのかもしれないけど、ラウドなKimock, Vegaの間に入るととてもソフトなのだ。
最初は正直「だ、大丈夫か?」と思ったのだけれど、それが面白い風にバンドケミストリーに作用しているのに気がついた。

ソロ/ジャムのパターンに2通りあって、
ひとつはいつも通り、KimockもしくはChimentiがガンガンに弾きまくると言うパターン。
                                     usual suspects!!

二つ目は、これがとてもいい感じだったのだけれど、最初は「あれ、だれかがソロを弾きあぐねているのかな」と思ったのだが、実は違った。
ジャムっていた。
お互いがちょっとづつフィルインを入れつつ、相互作用じゃないけど、インスパイアしながら行き先を探っていく感じ。
で、そのグルーブが、Vittさんがバシバシ強く煽らないおかげで、とーてもリラックスしていて凄まじく気持ちがいい。
ジョンモーローやグレッグアントンだったらジャムに食い込んでくるだろうところを、彼はものすごく客観的にジャムを見て、結果としてその他のメンバーを立たせている。
意識してやっているかどうかはわからないけど、恐れ入りました。
彼のスタイルとしてはジャズドラムがベースなんだろうけど、あのグルーブ感は今までになかった。
「我」を主張しない、とてもオーガニックなグルーブ。「和」を感じた。



SK&F 12/14/13
Sweetwater Music Hall
Mill Valley, CA

Set 1
Mystery Train
Anorexia
Positively 4th Street
I Was Made to Love You
How Sweet it Is
Stella Blue

Set 2
Deal (instrumental)
Scarlet Begonias
Mississippi Moon
Hillbillies
Encore
Who's Lovin' You Tonight


開演前からここまで尋常ならぬオーディエンスのエナジーを感じたのは久しぶり。
みんな興奮しすぎて「こわー」ってやつです。
それそのはず、ふたを開けてみればAnorexia, Hillbillies以外はJerry related。
Dylan, Stevie Wonderというののカバーもあるけど、ジェリーがカバーしたもののカバー。
4th streetはアップテンポでJerryのリズムのとり方とはちょっと違ったけど、それはそれでポップな感じでよかった。
このセットリストすごくバランスとれてていい。

はっきりいって、ぜんぶよかった。

しかしその中でもMississippi Moonには完全に参った。
あの、スローで難しい曲が完全に正しい形で再現されたのは感動ものだった。
あとStella。笑えたのは、ステラがはじまった瞬間からどこからともなくオーディエンスが「シーーーーっ」って言いはじめて。
おしゃべり連中や酔っぱらい連中をだまらせた事。
で、みんなちゃんとシーンとするところが、えらい 笑

はじめから終わりまで、全く文句なし。
完璧。


SK&F 12/15/13
Sweetwater Music Hall
Mill Valley, CA

Set 1
After Midnight**
Norwegian Wood (instrumental)
Boogie On Reggae Woman**
Come Together (instrumental)
They Love Each Other**
Gomorrah (instrumental)

Set 2
Tangled Hangers (instrumental)
Takes a lot to laugh Takes a train to cry
Franklin's Tower**+ >
Walk on the Wild Side tease**+ >
Franklin's Tower**+
Born Under a Bad Sign**+
Going Down The Road Feeling Bad**
We Bid You Good Night*

E: The Harder They Come**

** Lebo & Sunshine vocals
+ Al Schneir guitar
* Sunshine vocals

セカンドナイト。
ファーストセットはこれまた昨晩から引き続いて超ホット。
あのNorwegian Woodの流れるような美しさは何だったんだろう。
あっけにとられて見てました。
そのあとのBoogie on the reggae woman!!
もうこの時点で完全にノックアウト。
これまた気味が悪い程の盛り上がりを見せたファーストセット。
ずっとあのJerryのギターWolfを弾いてたKimock。
目の前にいっぱい自分のギターがスタンバイしているにも関わらず、手放しませんでした。
お守りかなんかを握りしめてる子供みたいに。

セカンドセットはスティーブ、正直疲れてた。後から聞いたところによると、風邪ひいて超体調不良だったらしい。
客はそんなことかまわず、ガンガンギンギンに乗ってたけど。
ヴォーカルの入りとか、どうフィニッシュに持っていくか、ソロを誰がとるか、どのくらいとって誰に回すかとか。
やっぱりサイドプロジェクトって難しいのは、そこらへん。
臨機応変にやらないとあからさまに、ぼろがでちゃう。
スティーブは乗っているとメンバーに指示を上手に出せるんですが、疲れてくると明らかにそれができなくなってしまうんですよね。
一歩踏み出してしまった後で、「あれ、こうなるんじゃなかったの?」みたいになる。それがセカンドセットだった。
かといってボロボロになるわけもなく。
押さえるところは押さえた感じで。

             Leboがよーく頑張ってた。
            Sunshineも。いー顔してます。いー声だし。
つなぎなんかでヤバっておもうと、すっとそれをすくってくれたのがこの二人でした。プロフェッショナル。

あとMoe.の人もゲスト参加したけど、これはあくまでおまけだったでしょう。
             Moe. guy

Bobby Vegaのこと、何も言ってませんが。
このひと、問答無用にいつも絶好調なのはナゼ?
あー今日疲れてるなとか、機嫌悪いわーとかそういうのが全然なし。
煽るわ煽るわ、キモックが疲れててもへっちゃらで「もっとこい、もっとこい」。
こんなにハズレがないベーシストはみたことないです。オーディエンスの扱いもいいし、しかも雰囲気に全然のまれてない。
もう既に伝説のベーシスト。



そしてこのランは今後永く語り継がれるランになると思う。
ホントあの二日間はいったい何だったんだろう。いまだにぼーっとしてしまうくらいのエナジーでした。

                                     「毎度どうもー」

2013年12月12日木曜日

12/11/2013 Lee Ranaldo and The Dust @ Chapel, San Francisco, CA


会場に入った瞬間に耳をつんざくような轟音に打ちのめされた。
そうだった。この感覚は久しぶりだ。
パンク以降のアーティストの手ごたえならぬ、耳ごたえ。

「?」の感覚。
気持ちいいのか、よくないのかわからない。
アートとして優れているのか、よくないのかわからない。

この感覚に悩まされていた、10年くらい前。Grateful Deadにはまる前だ。
Nirvanaをリアルタイムで味わえたのはラッキーだった。
でもそれ以降の「パンク」は個人的には全然くえなかった。
確かに新しかったかもしれないが、かっこいいとも思えなかったし、かといって踊れるかというと踊れもしない。
Greendayにはまっている仲間とは自然と疎遠になっていったし、同じように、新しい「パンク」やら「ロック」の波に乗れなかった友達は音楽から離れていった。
今となっては笑えるが、若かったがうえにマジだった。
あえて口にはださなかったが、「お前ダサい音楽聞いている=イケてない。だからつるまない」

そんないやな自分が、Dick’s Picks11の一曲目のMorning Dewのただならぬ雰囲気に勝手にやられて、ひとりでジャムバンドをかじるようになった。
友達もそんなにいなかったし、名古屋でひとりデッドを聞きながら寝転がって「あーサンフランシスコってこんな音の街なのか、どんなんだろうな」と想いを馳せていた。
試しにタイダイを着てみた。が、あまりに自分にも合わないし、周りにも合わないのでやめた。笑

話がそれたが、デッドの音楽が教えてくれたのは、「考えるな」と言うことだ。
たるい曲であれ、インテンスな曲であれ全てあるがまま受け入れる事。
信じていれば、自然とあるべき場所にたどり着く。
大切なのはいるべき時にいるべき場所にいる事だ。

「?」の感覚は?のままでいいし、わからなければ素直に「わからない」でいいのだ。
そこに理解する努力はまったく要らない。
楽しめれば勝ちで、楽しめなければあんたが悪い。


ところでこの日「?」な音を出していたのは主役のLeeではない。
Bill Orcutt and Jacob Felixという前座のフリージャズデュオ。



Billがギター。テレキャスにビンテージTwin Reverbというとてもシンプルなセッティングで、気味が悪いくらいbrushyな音が出ていた。
ドラマーがこれまたすごかった。このドラミングは一瞬で「いい」と思った。
ギターはいいか悪いかはフリージャズのファンじゃないので全然わからないが、Fが好きなギタリストだなーと思った。
6弦の解放弦のおとがFにチューニングされていて、なにかとその音から入る。
とっかかりはいつもF。
それが、がりがりがりと高音域に上がっていく。0.5秒くらいの間に。
指がちゃんと動いていて音が一音一音ちゃんと出ているので、えらいなーと思った。

何を考えてこういう音楽をやっているのか、何が彼らをそうさせたのが、全然わからないし音楽から聞こえてこない。
こういうクールなのもいいなと思った。
聞く者の詮索を拒絶する音楽。
音以外何もない音楽。
たまにはいいなー。


Lee。

Leeを見たのは何年ぶりか。
Sonic Youthを見たのがいつが最後だったか、全然覚えてない。
こういうのをやりたい人だったのか。
はじめて知った。
ポップ。必ず曲の中にサビがある。展開もあるし、ソロもあるし。

バイオリンのボーをつかったり、

鈴みたいなのをならしたり、



小技もある。
が、基本的に曲のストラクチャーがものすごくわかりやすいし、親しみやすい。
なにか全く受け入れがたい事をやってくれる事をうっすらと期待していったのだが、見事に裏切られた。
具体的にいうと「Lee is Free」みたいな曲を延々1時間半ぶっ続けでやるんだろーなーと思ってた。
おそらくLee and the Dustというのは彼のポップロックプロジェクトなんだろう。

何よりもすげーなーと思ったのはドラマーのSteve Shelly。



テンポが全然ずれない。
すんばらしーなー。存分楽しませてもらいました。


素朴なポイントアウト。
ソニックユースのギターはステッカーが凄まじい。綺麗に見た目重視ではってあるかというと全然そうではなさそう。
サーストンもそんな癖があったように思うが、「次の曲は〜」って曲紹介をかならず入れるのが面白い。大体じゃらんじゃらんギターをならしながらだったりするし、聞こえないじゃん。正直曲のタイトルなんて、気にもならん 笑
エフェクトペダルにセッティングが具体的にステッカーではってある。「トレブルはここ、レベルはここ」みたいな感じで。つまみ、曲の途中でいじったりしたくならないのかなーとか。

2013年12月6日金曜日

12/05/2013 Kaki King @ Cafe du Nord, San Francisco, CA

おきのさんが数年前に「かとうくん、カキキング見た方がいいよ」と言っていた。
昔「David Lindleyのオープニングで見た」と妻が言っていた。
この二点から、すげえ人に違いないと思ってた。

ぶっ飛ばされる準備はできていた。むしろできるだけ遠くまでぶっ飛ばしてほしかった。
終わってみて、予想以上にぶっ飛ばされてしまった自分がいてびっくりした。
驚きのぶっ飛ばされ様だった。

カーキキング。

             タッピングとボディーを叩いて音を出すカーキさん。


基本的にギターのみのインストがメイン。
12弦ミニギター、7弦ギター、ミュータント琴ギター、普通の6弦オベーションギター、この4本をとっかえひっかえ。

           これはラップスティールではなくミュータント琴ギター。 

起こすとこんな感じ。
         色々なコントロールが付いていて、オクターブ上の音やら3度、5度の音やら出ます。

ギグの間中、脇に常にギターテクの女の人がいて、彼女が一曲ごとにチューニングを変えていたようだ。
この日はサンフランシスコ、異常に寒く、彼女の座っている後ろにはオイルヒーターが置かれていた。
一瞬でも手をかざす瞬間があるかと、じっと見ていたが(いやらしーなー)一回もそんなそぶりもなく、手は常にあったまっていたようだ。
手が冷えるといくらいいギタリストでも、指がもつれる。
あれだけ動いていれば手が冷える瞬間もなかったかもしれない、そう思えるくらいに別の生物のように指が動いていた。
彼女の場合ネックを上からも握ったりするし、ボディーを手で叩いてドラム音を出したりもするので、余計に積み上げた訓練と経験が目に見えるかのようだった。

それと数曲足のしたに置いてある箱を踏みならし、バスドラのような音を出していた。
片方でバスドラをやって、もう片方で鈴を鳴らしたりもした。

一曲弾いては、ちょっとおしゃべりをして場の雰囲気が和んだと思ったら、アップテンポで複雑なコード展開の曲を平気でこなす。
でまたちょっとしゃべって、次はシンプルだけど、やはり訳の分からないコードの曲をやる。
たまにギターを弾きながら変な顔をする。
「緊張と緩和」というセオリーがあるが、まさにそれだった。